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ゆまにだより

ゆまにだより(関西オフィス K) 投稿日:2018/09/12 NEW!

 過日、高校同期全体が集まる同窓会に参加した。席に着いたが、見知った顔が近くにいない。どうしようかと思っていたら、たまたま遅れて私の隣の席に座った人物が、大学時代に北海道を旅行した際、彼の下宿先である札幌のアパートにも泊めてもらうなど、お世話になった友人だった。この日は結局彼と3次会まで付き合うことになった。
 その友人はこの同窓会にあわせて夏季休暇を取り、インドから帰国した某大手ゼネコンに勤める建築士で、日本の大手メーカーの現地工場を建設中だという。彼が現場トップ、部下はすべてインド人で指示は英語で通用するらしい。インド人は日本人に通じない国民性を持ち合わせているとのことで、意思疎通が難しいとは言っていたが、インドの元気さを大いにアピールしていた。
 数年前の推計データではあるが、面白い数字がある。国の平均年齢なのだが、インド国民の平均年齢は27歳なのだそうである。ちなみに中国36.7歳、日本46.1歳となっている。数年前のデータなので、現在ではさらに年齢差が開いていることだろう。「世界の工場」が日本から中国に移って久しいが、友人が今インドで大掛かりな工場を建設していることからもインドやその周辺の新興国にその地位が移っていくことが伺える。
 インドと日本を対比して話していると、自ずと東京オリンピック後の日本の予想になり、今後日本に起こるだろう不安を共有することになった。
 例えば、彼の愛息は現在大学生で、その愛息が受験時の進路相談で彼と話し合った際、尊敬する父親の背中を見て、建築学科を目指したいと言ったらしい。それに彼は強く反対し、結局IT関係の職業につながる学部に進学したという。
 今後、特に東京五輪後の日本国内では建築の需要が大きく後退することになるという見立てのようである。

 日本は行け行けどんどんの時代はとっくに終わっており、普段の生活に寄り添った、人に優しい施策が重要になっているのだが、現状はまだまだ大型プロジェクトの推進に力点を置いた政策が幅を利かせている。
 速やかな発想の転換を望むものである。

 高齢者が多く住む地域に住み、大阪北部地震で若干の被害を受けた私は、約10秒の大きな揺れがその後徐々に引き起こす様々な変化を目の当たりにしている最中ということもあり、何かと考えさせられる夏になった。

今こそ、世界に発信を!(第三営業部 T) 投稿日:2018/08/13

 8月の原稿の依頼を受けた・・・。
 何について書こうか迷ったが、8月といえば、8月6日の広島原爆の日、8月9日の長崎原爆の日、そして8月15日の終戦記念日のある月である。
 たまたま先日、秋頃に刊行を予定している『ビジュアル こんなに恐ろしい核兵器(全2巻)』(仮)を、書店へ説明する機会があったので、そこことについて書いてみようと思う。

 まず、なぜ今、「核兵器廃絶」なのでしょうか?
 
 あの忌まわしい原爆投下から73年の月日がたち、被爆者の平均年齢は80歳を超え「ヒバクシャのいない時代」が近づいているといわれています。
 実際に被爆者・戦争体験者の声を聞く機会が少なくなる中、子どもたちにとって核兵器や戦争は遠い過去の物語となってしまっています。

 しかし、ご存知のように地球上には、いまだに1万発以上の核兵器があると言われています。現在の水爆と呼ばれる核兵器は、あのヒロシマ・ナガサキの原爆の100倍~1000倍以上の威力があるといわれています。
 一瞬にして人々の生活を奪い、無差別に命を奪う、非人道的な核兵器を未来の子どもたちに残さないことが私たち大人の責任ではないかと思っています。

 さて、この一年、緊張する国際情勢の中で、平和に希望を与える出来事が相次いで起こりました。
 一つは昨年7月7日、国連で核兵器禁止条約が採択されたことです。この条約採択は、長年、核兵器廃絶を願ってきた人、とりわけ被爆者の方にとっては歴史的な日となりました。
 しかしながら、日本政府はこの条約に参加しないと明言し、条約決議に反対をしました。このことは被爆者をはじめ多くの国民を失望させる結果となりました。
 核兵器禁止条約に日本が反対をしたことについては賛否両論ありますが、日本がアメリカの核の傘に守られ、これを強化しようとしていると思われても仕方のない選択でした。
 唯一の被爆国である日本こそが説得力を持ち、核兵器廃絶のイニシアチブを発揮できるはずなんです。そのような側面からも、この本が世界の核兵器廃絶への流れを推し進める一助になれれば幸いです。

 そして、もう一つの大きな出来事とは、まだ記憶にも新しい6月12日に行われた米朝首脳会談と共同声明の発表です。この声明により、核をめぐる朝鮮半島の緊張状態を終わらせ、北東アジアが平和への大きな一歩を踏み出しました。
 しかし、あの会談で何か変わったでしょうか?また何がこれから変わるのでしょうか?甚だ疑問に感じるところが大きいです。
 
 また、日本が核兵器のリスクと共に忘れてはならない問題がもう一つあります。それは原発の問題です。核兵器と原発は似て非なるものですが密接に繋がっています。
 日本の原子力政策は、先の東日本大震災での福島事故の教訓を忘れてしまい、矛盾に満ちたまま前に進もうとしています。
 それゆえ、日本が声を上げて取り組まなくてはならない核兵器廃絶という課題への大きな障害にもなってしまっています。

 確かに、世界の核兵器の数は、6万~7万発の核兵器があったと言われている冷戦時に比べたら減少してきています。
 しかしながら、現在、世界にある核物質(軍事用と非軍事用がありますが)を核兵器に使用すると、なんと10万発以上の核兵器が作れるという事実もあるんです。
 さらに、この数は年々増加しているというから驚きです。

 約束することは簡単にできます。しかし、それを実行にうつすことこそが大事だと改めて思います。

 私たちは、世界情勢が大きく「核廃絶」へと舵を切る転換期に、この本を通して、今、私たちに何ができるか、そして何をすべきなのかを考える必要があります。
 大人と子どもが頭を突き合わせこの本を読み、核兵器というものを一緒に考えるキッカケになってくれたらと願わずにはいられません。

〈秋頃刊行開始予定〉
☆ビジュアル こんなに恐ろしい核兵器 全2巻(仮) 揃本体4,600円 B5判/上製/オールカラー

僕らは幸せだった(出版部 K) 投稿日:2018/07/04

 大学時代のゼミの同窓会が毎年あり、今年も出かけた。中心に座るべき先生は亡くなられて久しいが、毎回五、六十人ぐらい集まる。今年同期は五人が出席した。けっこう騒がしい会場の片隅で、その同期の一人と読書について話していたのだが、彼が言った言葉にはっとさせられた。「紙の匂い、インクの匂いを感じながら本を開く喜びを知っている僕らは幸せだった」という一言だった。
 彼は製鉄会社に就職し、会社の大きな合併や分社などを経験している。電算化、IT化、ロボット化など、製造現場の自動化や経営管理の情報化などの改革を推し進めてきたであろう。現在もエンジニアリング会社の幹部の一人として、次から次に現れてくるハード、ソフトにわたる新しい技術に対応しているはずである。そういった職場にあったからこそ、彼はきっと、一冊の本を開く時間を大切にしてきたのだと思う。
 この一言から強く感じたのは、柔軟な彼の姿勢である。デジタル技術が我々の社会や生活に入りこんでくるのは自然の流れであると彼は考えているのだろう。こういった技術革新の流れに抗していたら、世界規模の企業間競争の中で生き残ることはできない。それはそれと認めた上で、紙の本の楽しみを自らの人生の中に置いている。そして、「紙の匂い、インクの匂い」への思いを語る。それは、最近、身の回りに腹の立つことが多くなったと感じていた私、固陋な老人になりつつある私には、反省を促す、やわらかな言葉であった。


 書誌書目シリーズ112『古典籍索引叢書―宮内庁書陵部蔵『類標』―』は、第三回(全八巻)が7月に刊行されるが、この壮大な索引群を眺めていると、江戸後期の人々の情熱を素晴らしいと思う。いろいろな切り口で索引を作っている。事象をばらし、ばらしたものを比較検討する情報工学的な試みである。本文を確定させ、大量に出版するという研究と出版の社会的条件がそろったのが、この時代であった。江戸時代はやはり「近代」かもしれないと改めて思わせる。
 この試みを、同時代の文学者や国学者はどう見ていたのであろうか。うるわしき古典文学の作品を切り刻む作業に冷淡だった人も少なからずいたであろう。もし、私が当時の人間だったら、冷淡な方に加わっただろう。

 
 今ある馴染んだものや、古い懐かしいものを大切に思いつつ、新しいものを拒まないやわらかな心を持ちたいと思う。…と書くと当たり前のことのようだが、我が身を振り返って、これは大変難しいことだと思う。

自分のルーツ(営業推進部 A) 投稿日:2018/06/08

 ゆまに書房では、ほぼ毎月中央紙やブロック紙・地方紙に新刊の広告を掲載しています。それをご覧になって、パンフレットの請求のお電話やおはがきをくださる方がいらっしゃいます
(パンフ・出版目録ご入用の際は営業推進部までいつでもお申し付けください。)

 先日も、何件か『「満洲国」地方誌集成 全17巻』(第1回配本 全5巻 5月刊行済)のパンフ請求があったのですが、その中のお一人は、満洲で生まれた80代の方でした。
 「私は満洲で生まれたんだけども、吉林省についても載っているのかな・・・ぜひ見てみたいな・・・」
とおっしゃっていました。なかなか調べようのないご自分の出生地の当時の様子などがきっと気になっているのかな・・・と思いました。
 
 また、あるとき出版部のKさんと満洲についてちょっと話をしていたら、近くで作業をしていたアルバイトさんが、
 「私の祖母が満洲で踊り子をしていたんですが、当時の史料など残っていないでしょうか・・・」
とKさんに質問をしていました。

 自分のルーツはやはり気になるものですよね。テレビでも、日本人の名前の由来だとか、著名人の家族の歴史を辿る番組がありますが、プロの取材力をもって調べあげられた自分の歴史を見た最後には感慨深げに黙って目頭を熱くしている方が多いですよね。他人の話なのに、見ているだけでも感動してしまうのはなぜでしょうか・・・。

 世界史、日本史ありますが、自分にも、電車で隣に座っている人にも、誰にも大なり小なり歴史があって今存在していることをちょっとだけ意識してみると、なんだか、一日一日を大切に、周りの人も大切にしないといけないな、と改めて感じるのでした。

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 4月に『昭和天皇戦後巡幸資料集成 第1回配本 全6巻』を刊行しました。その中には、天皇をお迎えしたその土地の代議士、市長、校長、小学生などの詩歌や感想文が数多く収録されています。もしかしたら、みなさんのお祖父さん、お祖母さんの感想文があるかも?!しれません。

 ゆまに書房は、みなさんのルーツを知る手がかりになるかもしれない貴重な史料を多くの人に研究、目にしてもらえるようにまとめ、後世に遺していく役割も担っている出版社です。
 今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

検索すると見えてくる、新しい書籍の魅力(第一営業部 H.K) 投稿日:2018/05/09

検索すると見えてくる、新しい書籍の魅力(第一営業部 H.K)

 先日、ふと「電子書籍元年」という言葉があったなあと思い、それはいつのことを指すのか調べてみました。
2010年のことを指す言葉のようですね。
あれから早くも8年が経ったのですね。

 ゆまに書房では比較的に早くから電子書籍を提供させていただいたと自負しておりますが、現在ではネットアドバンス、丸善雄松堂、EBSCO JAPAN、紀伊國屋書店の各社が運営されているプラットフォームに電子書籍を搭載していただいております。
最近電子書籍のご注文を頂くことが増えてきているなあと実感できるようになりました。
本当にありがとうございます。

今回改めてどのプラットフォームにどのタイトルを搭載していただいているかをまとめてホームページに掲載してみました。
http://www.yumani.co.jp/np/searchresult.html?lgen_id=16

ホームページに今まで「電子書籍」の項目はありましたが、あまり使っておりませんでしたので、ページがとても賑やかになりました。
各プラットフォームに搭載していただいているタイトルも少しずつではありますが増えてきており、ちょっと誇らしい感じがします。

 もうみなさんご存じのことでしょうが、電子書籍の魅力はその検索にあると思います。
実際に使ってみると本当に面白くて色々検索してしまって、時間が過ぎていきます。
その中には思わぬ発見があるのも少なくありません。

例えば小社の電子書籍には「社史で見る日本経済史 植民地編」や「社史で見る日本のモノづくり」というシリーズがあります。
企業の歴史を研究される方がよく使われる資料である社史ですが、それのみならず様々な周辺情報が入っているのも社史の魅力です。
それを引き出すためには検索してみるのが一番ではないかと思います。

今回1つの例を御案内しますね。
小社では最近観光、ツーリズムに関する書籍を多数刊行しております。
「社史で見る日本経済史 植民地編」シリーズの中にも「東亜旅行社満洲支部十五年誌」という社史が収録されていますが、その他の社史にも何か観光に関する情報が無いか調べて見るために「観光」という用語で検索してみました。


すると「朝鮮瓦斯電気株式会社発達史」の中にこの会社の電気の供給地域の特色や名勝を紹介した章を見つけることができました。
(上の図を参照ください。丸善雄松堂さんの電子書籍プラットフォーム Maruzen eBook Libraryでの検索結果をご紹介します。)

何故この会社の社史に観光に関する記事が?と不思議に思いましたが、この会社は温泉の開発や電車の経営も行っていたそうなので、そのアピールのためだったのかも知れません。
とても興味深い結果を得ることができました。
さらにこの「社史で見る日本経済史 植民地編」シリーズ全体で「電車」というキーワードで検索してみると他の電気会社である「京城電気」の社史の中にもやはり電車の経営に関する記述がありました。
そしてこの社史を読んでいくと朝鮮と満洲の旅行プランなども載っていて…などなど、色々な関連も見えてきて、興味が尽きることがありません。

このような結果が得られるのは全文検索できる電子書籍ならではないでしょうか。
楽しいので是非みなさんにもトライしていただけたらと思うのですが…

 また最近、北米の大学図書館のライブラリアンの方たちとの共同企画で小社の学術書籍目次データを少しずつですが公開しております。
こちらはこのプログラム(http://current.ndl.go.jp/node/27968)の成果として作られたもので、マルチボリュームセットと言われる他巻に及ぶセットの目次をPDF,テキスト化して公開することで第何巻の何ページに必要な記事や文が載っているかを検索して知ることができると言うものです。
ゆまに書房からは18タイトルの目次データを提供いたしました。
https://digital.lib.washington.edu/researchworks/handle/1773/41429
もちろん1巻ずつ読んで行って必要な記事などを発見した場合の喜びはひとしおでしょうが、お忙しい方には是非検索していただきたいですね。
目的に早くたどり着けると思います。
他の出版社さんのタイトルも載っていますよ。

 目次のデータも検索してみると新たな発見があるので楽しいですよね。
まだこちらは公開していないのですが、私も編集担当者に「ジャパン・ツーリスト・ビューロー
ツーリスト 第Ⅰ期 大正篇 」の目次データをもらったので色々並べ替えてみたりしています。
http://www.yumani.co.jp/np/isbn/9784843351833

どんな著名な人が執筆しているのだろう?当時の外国人旅行客は日本の何に興味を持っているのか?外国人旅行客が沢山滞在しているのはどこ?などなど目次を見てみると分かることが沢山あります。
このデータを見ることによって私もセールストークが増えましたし、どのお客さんにお勧めしたら良いのかイメージが湧くようになりました。
時間があったら目次にキーワードを付けて並べ替えてみたいとも思っていたりします。
今後もじっくり見てみます。

 電子書籍も目次データもゆまに書房の刊行物のおもしろさをより伝えることができ、違ったおもしろさを見つけていただく良いツールだと思っています。
今後も引き続き電子書籍タイトルや目次データをご提供できるように努力して参りますので、是非ご支援ください!

『昭和天皇戦後巡幸資料集成』の刊行に際して(出版部 M) 投稿日:2018/04/10

『昭和天皇戦後巡幸資料集成』の刊行に際して(出版部 M)

 弊社は、今年4月より3回に分けて、昭和天皇の戦後巡幸に関する公式資料を収集したシリーズ『昭和天皇戦後巡幸資料集成』を刊行する。
 現在、今上天皇の生前退位の影響から、昭和天皇の事蹟への関心も高まり、ドキュメンタリー番組の放送やノンフィクションの刊行が相次いでいる。
 こうした一連のブームにあやかったわけではないが、資料出版として戦後巡幸にスポットを当ててみようと思ったのは昨夏のことである。きっかけはほんの些細なことで、「歴史の教科書で読んだ、戦後巡幸とはなんだったのだろう」とふと思い出したに過ぎない。
 明治から昭和戦前期にかけて、巡幸のあった地方ではこれを記念する「巡幸誌」を刊行していたことは知っていたため、国会図書館等で戦後の「巡幸誌」を探して見た。最初は、20点程度、復刻版にして10巻で収まるかと思っていたが、徹底的に調べてみると40点ほどあり、これを収録すると全18巻という、やや長めのシリーズとなることが判明した。
 そのため、秋からは全国各地の図書館に電話して、資料借用のお願いをする日々が続いた。突然の依頼を受けた職員の方からは、困惑されるやらあきれられるやらで、ご迷惑をおかけしたが、最終的には多くの図書館より利用を承諾していただいた。また、近現代の天皇制を専攻されている瀬畑源長野県短期大学助教にこの企画を提案したところ、快く監修を引き受けてくださった。その他、このシリーズの刊行には、数えきれないほど多くの方よりご協力をいただている。心より感謝を申し上げる次第である。
 「巡幸誌」は記念品として、県や市の担当課が精魂を込めて作成したものである。とはいえ、その多くは図書館の隅に埋もれ、長い間読む人もいなかったようである。しかし、これらの忘れられた資料であっても、テーマを定めて根気よく探求していけば、新たな価値を発揮するということは、意外な発見であった。
 本シリーズは、こうして昭和21年から30年までの「巡幸誌」を収集し、再び世に出す目処がついた。
 昭和30年代以降、天皇の地方巡幸は国民体育大会や植樹祭といった定例的な行事を中心として継続されることとなる。平成に入ってからは、大規模災害の起こった地域において、被災者の慰問のために行われることも多くなった。こうした定例行事や慰問が終了したあとも、「巡幸誌」はその記録として続々と作成され続けている。最近の「巡幸誌」においても、天皇と国民との直接対話の出発点として、戦後巡幸は必ず言及される。
 こうして見れば、戦前、戦後、そして現代という時代の変遷はあれ、「巡幸誌」は天皇制のあり方を記録した重要な資料であることは間違いない。
 本シリーズが民主・平和国家の建設へと踏み出そうとした戦後の一時期を検証する資料として活用されれば幸いである。

〝ざんねんな〟?陳列(第二営業部 T) 投稿日:2018/03/12

〝ざんねんな〟?陳列(第二営業部 T)

 以前、外商専門書店に勤めていたときに、優秀な営業マンになるには、とにかく類書との違いがきちんと説明できること!と、教わったことがある…。そのことをふと思い出した場面に最近遭遇した。

 ゆまに書房は、日本ライブラリー出版会(明石書店・岩波書店・河出書房新社・三省堂・日本図書センター・平凡社・丸善出版・山と溪谷社・ゆまに書房・吉川弘文館の10社からなるグループ。全国の学校・公共図書館に営業・巡回販売を行っている)に所属しており、先日、たまたま営業先の学校で、二社の類書パンフレットを案内する際に、その違いが全くわからなかった。
 
 もし、一方でも自社の本であれば、きちんとその違いが説明できたであろうに、全くの勉強不足だったことを反省している。

 まあ、このご時世、類書でごった返してることの否めないのが現在の書店業界ではあるのだが・・・。
 何か一つ本がヒットすれば、そこに二匹目のドジョウを求め、ここぞとばかりにたちまち類似の本が群がり、溢れ返るのである。

 例えば、高橋書店の「ざんねんないきもの事典」という本が、シリーズ2冊で累計160万部を突破するという大ヒットを記録している。
すると、すかさず書店の店頭には、同じようなタイトルの本が一緒に並ぶ。
それがまた、相乗効果で売れてしまうというのだから、決して侮れない。
  
 完全な類書ではないのだが、そこには、ゆまに書房の「日本人と動物の歴史(全3巻)」は並んでいなかった…。
 ここからが本題なので、もう一度だけ言う。
ゆまに書房の「日本人と動物の歴史(全3巻)」は並んでいなかったのである。

 なぜなら、我々営業マンの宣伝不足なのか、冒頭に書いた類書との違いを説明し、新旧問わず店頭に並べてもらえてないことが要因なのかもしれない。
相乗効果で類書も併せて売れるのであれば、もちろんスペースに限りはあるが、そこにありったけの類書を並べてもらえたらな・・・と思わずにはいられない。

 「日本人と動物の歴史」には、他社ベストセラーに負けない雑学要素もたっぷりと盛り込まてていて、読んでいて実に面白いのだ。
 例えば、みつばちは、法律上は家畜に位置づけられているとか、カモシカは、シカの仲間ではなくウシ科の動物であるとか、クジラは、DNA分類ではカバの仲間であるとか、アシカとアザラシの決定的な違いはこうであるとか、どれを取っても写真や図版と一緒に歴史的な事柄とを結びつけた、大変ためになる情報ばかりで、子どもはもちろん、大人が読んでも楽しめる本になっている。

 しかも、代表的な50の動物を取り上げており、そこには、現在、上野動物園を賑わせているシャンシャンこと、パンダも登場する(残念ながら、シャンシャンの記述はないが・・・)。
 それもそのはず、著者は上野動物園の元園長さんなんです!

 「ざんねんないきもの事典」シリーズが、現在も書店の店頭で展開して売れているので、「日本人と動物の歴史(全3巻)」も一緒に並べていただいたり、紹介をさせていただいて、是非、多くの人に手に取ってもらって、見比べていただきたいと改めて思った次第です。

二冊の本(出版部 K) 投稿日:2018/02/09

職場の同僚が一冊の本を見せてくれた。『戦争調査会―幻の政府文書を読み解く』(井上寿一著・講談社現代新書)である。小社刊行『戦争調査会事務局書類』(全15巻)(広瀬順皓監修・長谷川貴志解題)が活用されているようだ。
 幣原喜重郎が、「今次ノ戦争敗北ノ原因及ビ実相ヲ明カニセムガ為二」1945年11月に創立し、活動を始めた戦争調査会は、委員と職員合わせて約100名という大プロジェクトであった。英知を集めて、なぜ戦争を始めてしまったのか、なぜ、途中でやめられなかったか、そしてなぜ負けたか、を研究しようとしたのだ。しかし翌年には連合軍に解散させられることになった。ただし、その記録は「戦争調査会事務局書類」という形で残された。その史料を読み解くことにより、得るものがさまざまにあるということである。
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 同じ同僚が、また別の一冊の本を見せてくれた。『日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実』(吉田裕著・中公文庫)という本である。その「はじめに」に、小社刊行『マッカーサーと戦った日本軍―ニューギニア戦の記録』(田中宏巳著)からの引用がある。

  日本では、開戦に至る経緯と終戦およびその後の占領政策に関する研究が盛んで、
政治史や近代史の研究者が非常に沢山の成果をあげてきた。しかし開戦と終戦の間、つまり煙管の筒の部分である戦争そのものを取り上げる研究者は少ない。戦争を対象にするのは「戦史」で、それは政治学や歴史学を専攻する研究者のやることではないとでも考えているのか、まったく手をつけようとしない。

 この投げかけに応えるため、「歴史学の立場から「戦史」を主題化してみたい」としてまとめられたのが『日本軍兵士』である。1章で、兵士の戦病死、餓死、海没死、自殺などを述べ、2章では、体力、栄養、装備などに注目する。3章では軍事思想、軍の組織的欠陥、また、国家としての立ち遅れを指摘する。
 そうしたことに関心がある読者には、あらためて『マッカーサーと戦った日本―ニューギニア戦の記録』をお勧めしたい。様々な史料に当たり、現地の土を踏んで、一つ一つの作戦・戦闘を解説し、全体の戦況をについて述べる「史書」であるが、無謀な行軍の果てに泥濘に立ってまま死んだ兵士、移動する将軍を警護する台湾原住民出身の兵士たち、また、日本の漁村から徴用され最後はどこでどうなったかわからない漁船乗り組み員など、ひとりひとりの人間にとって戦争とは何だったのかを考えさせる本である。
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 今そこにある危機としての北朝鮮問題、そして米軍基地問題、世界各地の戦闘やテロ、今後の政治の動きの中で大きな問題となる憲法問題、国際的な場で進められている核兵器廃絶の動き等々、日本国民として考えるべきことがたくさんある。そのために、今、小社の出版物がなにがしか役に立てれば、と思う次第である。

 追記:小社刊『15歳の短歌・俳句・川柳』③には「どうして戦争があるの?」という章がある。そこに載っている半田良平の一首を思い出した。
若きらが親に先立ち去(い)ぬる世を幾世し積まば国は栄えむ (半田良平)

新春のご挨拶 投稿日:2018/01/12

新春のご挨拶

 新春のご挨拶を申し上げます。
 旧年中は格別のご支援を賜り厚く御礼申し上げます。
 
 昨年9月、プライベート旅行でフランスに行った。3回目の訪問である。パリのSAINT-GERMAIN-DES-PRES(サンジェルマン・デ・プレ)が特にお気に入りで、その大通りは今でも昔の良きパリの面影を残し、今では唯一パリの知性と文化を醸し出すところである。そのSAINT-GERMAIN-DES-PRESはセーヌ川の左岸にある大通りで、オルセー美術館からソルボンヌ大学やコレージュ・ド・フランスなど多くの大学があるQUARTIER LATAIN(カルチェ ラタン)に続く。その大通りの中心的な場所に「LES DEUX MAGOTS」(レ ドゥー マゴ)や「Café de FLORE」(カフェ・ド・フロール)、「Brasserie LIPP」(ブラッスリー リップ)などの有名なカフェが居並ぶ。これらの三つのカフェは第二次世界大戦後、サルトルやボーボォワール、カミュ、グレコ、ゴダールたち哲学者や芸術家、文学者たちのたまり場で日常的に議論を交わされたことで世界的に著名なカフェである。特に「LES DEUX MAGOTS」は1933年に「DEUX MAGOTS賞」を、「Café de FLORE」も1994年にフロール賞をそれぞれ設立し、無名作家たちを支援している。

 私は「LES DEUX MAGOTS」の通りに面したテラスでワイン(やはりここでは白ワインがいい)
を飲みながら過ごす時間がたまらなく好きである。かつて20代の中ごろ私は「LESDEUXMAGOTS」にあこがれて出版社を立ち上げた。もう44年も前のことである。理想ばかりが先行して、思いの半分も目標を達成することが出来ていない。理想と現実の乖離に戸惑うばかりである。
 
 昨年暮れの12日、『大人になるまでに読みたい15歳の詩Ⅱ⑤たたかう』(谷川俊太郎・巻頭文、和合亮一・編エッセイ)を刊行した。本シリーズは「第Ⅰ」が好評のため続編として『④あそぶ』(谷川俊太郎・巻頭文、青木健・編エッセイ)、『⑥わらう』(谷川俊太郎・巻頭文、蜂飼耳・編エッセイ)の全3巻本として刊行したものである。
 
 本書の和合亮一氏のエッセイの中に

「きみはいま、何かと闘っているだろうか。
 拳をかざそうとするとき、きみの背中を後ろから押すものがある。
 それは何か。
 泉のようにやまない情熱だ。
 熱い炎を背負い、本当に闘いたいものと思う存分向き合いたまえ。
 そのために、いつでも詩を傍らに。
 共に闘う親友のように、隣に置いておくのがいい。」
 
 の一文がある。
  
 齢を重ねるとなかなか厳しいが、いつもそのような姿勢で出版活動に携わっていきたいと私は思っている。

 本年も倍旧の御支援・ご指導を賜りますようお願い申し上げます。

 2018年 正月

                           株式会社ゆまに書房
                             代表取締役社長 荒井秀夫

大人になるまでに読みたい15歳の詩 第Ⅱ期(出版部 T) 投稿日:2017/12/15

大人になるまでに読みたい15歳の詩 第Ⅱ期(出版部 T)

この12月に、好評だった『15歳の詩』の第Ⅱ期が刊行になります。
今回の3冊は『あそぶ』(青木健・編)、『たたかう』(和合亮一・編)、『わらう』(蜂飼耳・編)です。
今回も巻頭文には谷川俊太郎氏の玉稿をいただいています。『わらう』の巻頭文、「詩への入りかた」にシリーズの概要すべてが集約されています。
私のヘタな言葉より、それを引用させていただくことで、刊行のお知らせとさせていただきたく思います。

「この『15歳の詩』シリーズはいわゆるアンソロジー(詞華集)の形で、古今東西の詩が集められています。各巻の巻頭文を書くために通読を繰り返して、私はこれまで味わったことのないのびやかな気持ちに襲われました。それは「詩人たちはみんないい詩を書いているなあ」という、同業者同士(!)の仲間意識に支えられたなんとも素朴な感動でした。過去に何度も読んで知っている詩も多いのですが、たとえよく知っている詩であっても、受ける感動が初めてのように新しい。その点では詩は音楽に通じていますし、年齢によって好きな音楽が移り変わるように詩の好みも年齢、経験によって変わりますが、いったん好きになった詩を嫌いになることはまずありません。」
『わらう』巻頭文「詩への入りかた」より

この1冊が、読者のみなさまに心に残る詩篇との出会いとなることを願います。