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『文藝時評大系』における『蟹工船』 投稿日:2009/02/09

 かつて小林多喜二の『蟹工船』が「戦旗」に掲載されたのは、大恐慌が世界中を襲った昭和4年のことでした。そして、またもアメリカ発の世界的不況が猛威を振るう今年、若手俳優 松田龍平主演で再度映画化されるようですね。

 『蟹工船』の時代を超えたブームは、多くの人を驚かせていますが、この作品が刊行された当時は、どのような反響があったのでしょうか。小社刊「文藝時評大系 昭和篇1 索引」で、『小林多喜二』と『蟹工船』を探してみました。さて、当時、どれだけ多くの時評で言及されたのでしょうか?

 刊行年の昭和4年、「小林多喜二」は51箇所、「蟹工船」は36箇所。やはり、刊行直後から大きな反響があったことがわかります。ことに、「戦旗」掲載直後の5月の時評からは、この作品への興奮が伝わってきます。少し引用してみます。

「作者の不屈な意力も感じられて愉快」(思久嶺)5月2日付『報知新聞』
「堂々と正面から押して来るところ、文句なしに作者の精力と気力の前に頭をさげたい感じがする」(林房雄)5月6日付『国民新聞』
「この作は國際的規模において、プロレタリアの姿を描きだしてをり、オホツク海の工船に虐使されてゐる労働者と丸ビルの重役とを一つの光景の中に見通させてゐる」(平林初之輔)5月7日付『東京朝日新聞』
「蟹工船といふ未だかつて文學に表れなかつた特殊の場面を描き出し、同時に資本主義社會のからくりを暴露した點に於てエポツクメーキングなものである」(上田進)5月22日付『信濃毎日新聞』

 これほど力漲る作品だからこそ、現代の人々の心を動かしたのですね。なお、「小林多喜二」への時評における言及は、昭和2年から20年までの間では、合計241箇所にもなります。では、昭和21年以降は?それは、3月に刊行予定の「文藝時評大系 昭和篇2 索引」にてお確かめください。

『江戸名所図会』、知識探索サイト JapanKnowledge に搭載 投稿日:2008/10/07

『江戸名所図会』が、知識探索サイト JapanKnowledge に搭載されています。
版本・挿画をキーワードで検索でき、拡大表示も可能です。

学術書目録「ゆまに書房重要文献情報 2008秋~年度末号」が出来ました 投稿日:2008/09/28

学術書目録「ゆまに書房重要文献情報 2008秋~年度末号」が出来ました

毎年秋に発行している学術書目録が出来ました。
ご希望の方は、ご連絡下さい。お送りいたします。

ゆまに書房営業部 eigyou@yumani.co.jp

第18回神保町ブックフェスティバルに出店します 11/1(土)~11/3(月)  投稿日:2008/09/28

今年も、第18回神保町ブックフェスティバル 11/1(土)~11/3(月) に出店いたします。これは、昭和35年より続く 「東京名物・神田古本まつり」 10/27(月)~ 11/3(月) の一環で、本好きにはたまらない楽しいイベントです。お越しの際は、ぜひゆまに書房ブースにもお立ち寄り下さい。