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大正歌壇史私稿

大正歌壇史私稿

[著] 来嶋靖生

定価2,750円(本体2,500円) 
ISBN 978-4-8433-2831-6
四六判/上製カバー装/約256頁
刊行年月 2008年04月

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本書の内容

「第7回日本歌人クラブ評論賞」を受賞しました!

近代短歌の「円熟」期を展望した個性的な通史。

 「編年体大正文学全集」(全十五巻)に収められた「詩歌」部門のうち、短歌の編纂に当った著者が、初出雑誌を再現するという困難な作業を通して、近代短歌の「円熟」した時期―島木赤彦、斎藤茂吉、北原白秋、若山牧水、窪田空穂、土岐善麿、釈迢空らが切磋琢磨し成熟してゆく大正歌壇を展望した個性的な通史。
 現歌壇第一線の実作者でもある著者の視点は、現代短歌の抱える諸問題への考察を促すようにも書かれている。歌誌「槻の木」に七年にわたり連載されたものに大幅加筆した決定稿。

【本書の特色】
○同時性
同じ年にそれぞれの歌人が、どのような状況下に何を考え、作歌していたのか、できるだけ多くの歌人の動向を鳥瞰できるように書かれている。
○推敲過程の把握
歌集に収められている作品は、新聞雑誌の初出とは違う場合が少なくない。その異同を通して作者の創作意識をさぐる。
○技法の成立過程
大正中期、「アララギ」の「写生」は独自の深化をとげ、全国制覇といっていいほどの影響力をもつにいたる。それに対して、白秋、牧水、空穂、善麿、迢空などの技法がどのように成熟していったかを追う。
○ジャーナリズムとの関係
歌集は一般に商品としての市場性をもちにくいが、大正期にはわずかだが歌書出版に意欲を燃やす出版社があった。
○事実の周辺
すでに多く論じられている著名な作品や評論についての研究論議は、論理をあげつらうよりも、作品相互の関係、作品周辺の事情を解くように書かれている。