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文藝市場/カーマシヤストラ 全5巻

叢書エログロナンセンス 第Ⅱ期
文藝市場/カーマシヤストラ 全5巻

[監修・解説] 島村 輝

揃定価91,300円(揃本体83,000円) 
ISBN 978-4-8433-4852-9 C3390
A5判/上製/クロス装/カバー
刊行年月 2016年12月

関連情報

本書の内容

梅原北明個人の責任編集となってからの『文藝市場』、そして潜伏していた上海にて出版されたとされる『カーマシヤストラ』を収録。サブカルチャー領域の貴重資料、好評シリーズ第二弾。

『文藝市場』『カーマシヤストラ』復刻刊行にあたって  島村 輝 フェリス女学院大学教授

 『叢書エログロナンセンス』シリーズは、戦前ジャーナリズム界の異才・梅原北明を中心とした「珍書・奇書」類のうち、発刊当時の事情やその後の年月の経過によって閲覧・入手の困難となった書物、とりわけ多く「発売禁止」等の措置を受けた雑誌類を中心にして、復刻刊行しようとするものである。
 そのスタートとして、大正・昭和エログロナンセンスを牽引した出版人、梅原北明の代表的な雑誌『グロテスク』(一九二八年十一月〜一九三一年八月)を復刻刊行した。また永く幻と謳われ、僅かに城市郎の発禁本コレクションに、その書影を確認するに留まっていた『グロテスク』第二巻第六号(一九二九年六月)も、無事これを発見し収録することができたのは幸運であった。
 梅原北明の出版活動での到達点を『グロテスク』とするならば、その引火点は、同書肆より復刻刊行した『変態・資料』(一九二六〜二八年)であり、そして導火線となったのが、今回復刻となる、北明個人の責任編集となってからの『文藝市場』(一九二七年六月〜十月)、「日本にいるのが全くいやになつた。」と潜伏していた上海にて出版されたとされる『カーマシャストラ』(一九二七年十月〜一九二八年五月)である。
 『カーマシャストラ』が、本当に上海で発行されたのか、それとも日本国内での刊行をカムフラージュするためのものだったのかは定かでないが、一九二八年に上海より帰国後、北明は出版法違反で市ヶ谷拘置所に長期拘置される。そして、仮釈放の後『グロテスク』刊行の内容見本製作に着手するのである。
 今回の復刻により、『変態・資料』『文藝市場』『カーマシヤストラ』『グロテスク』という、北明が編集に携わった雑誌が揃うこととなる。
 サブカルチャーの領域から、近代をそして現代を照射する貴重資料であり、すべての文学・文化に関心を持つ人々が、この復刻を手許に置かれることを心から希望する。

【梅原北明 うめはら・ほくめい】
(一九〇一〜一九四六) 
大正・昭和のエログロナンセンス文化を牽引した編集者、翻訳家。明治三十三(一九〇〇)年、富山県に生まれる。大正七(一九一八)年、早稲田大学高等予科に入学、左傾化し翌々年中退。全国水平社の運動などに関わり関西で活動。関東大震災後、再び上京、出版社・新聞者に勤める。大正十四(一九二五)年、翻訳『全訳デカメロン』が話題となる。同年『露西亜大革命史』を刊行、プロ作家との繋がりを強めていき、大正十五(一九二六)年、雑誌『文芸市場』(一九二六〜一九二七)を創刊。その後、叢書『変態十二史』(一九二五)の刊行を皮切りに、雑誌『変態資料』(一九二六〜一九二八)などエログロ系にシフトしていく。その梅原の出版活動で最も著名な雑誌が『グロテスク』(一九二八〜一九三一)である。

叢書エログロナンセンス 第Ⅱ期 文藝市場/カーマシヤストラ 第1巻 関連資料(『文藝市場』第3巻第5号掲載の次号予告など) 『文藝市場』第3巻第6号(昭和2年6月) 『文藝市場』第3巻第7号(昭和2年7月)

刊行年月 2016年12月 定価17,600円 (本体16,000円) ISBN978-4-8433-4853-6

▼『文藝市場』第三巻第五号(昭和二年五月)より、次号予告などの関連資料を抄録
▼『文藝市場』第三巻第六号(昭和二年六月)
●「八百屋お七」二百五十年追善供養紀年文献集 「お七がためのお七祭」梅原北明/「文藝上に現れた八百屋お七」笹川臨風/「歌舞伎劇に現れたお七」渥美清太郎/「八百屋お七」藤沢衛彦/「お七と覗機関節」藤沢衛彦「反逆異聞竹橋騒動史(日本最初の軍隊の暴動)」梅原北明/「世界珍書解題(一)千一夜物語」酒井潔/「近世落書報道史(亦穂義士復讐の巻)」 梅原北明/「一日一夜物語」酒井潔/「新聞に出た記事本位の高橋お伝夜刄譚」梅原北明
●沢田撫松居士追悼 「沢田撫松君を悼む」佐藤紅緑/「沢田撫松居士を弔ふ」江見水蔭/「或日の沢田撫松君」生方敏郎/「撫松先生」田中貢太郎/「唯一の法廷文藝家」松崎天民/「隣人沢田撫松氏」木村毅/「沢田撫松氏の印象」石角春之助/ 「憶ひ出はつきない」井東憲/「沢田氏を悼む」青山倭文二/「寂光院泰嶽撫松居士」梅原北明「川柳変態性慾志(一)」佐藤紅霞
▼『文藝市場』第三巻第七号(昭和二年七月)
「日本性愛奥義篇(一)」酒井潔/「獣姦雑考(一)」梅原北明/「明治文藝雑談(一)硯友社とその一派の雑誌」斎藤昌三/「死刑執行所覗き」 小座間茂/「女衒考」梅原北明/「妖術者の群」藤沢衛彦/「世界文身考(一)」ハムブレイ(佐藤紅霞訳)
●東都暗黒面観察記  「東京不良少年往来」サトウ・ハチロー/「玉の井魔窟探検」石角春之助/「東都質屋往来」繁山鮎太郎/「人間倉庫」熊坂長範/「木賃宿巡礼」石角春之助「世界珍書解題(二)」アナンガ・ランガ 酒井潔/「増補艶本目録(五)」

叢書エログロナンセンス 第Ⅱ期 文藝市場/カーマシヤストラ 第2巻 『文藝市場』第3巻第8号(昭和2年8月) 『文藝市場』第3巻第9号 九月十月合本 世界デカメロン号(昭和2年10月)

刊行年月 2016年12月 定価24,200円 (本体22,000円) ISBN978-4-8433-4854-3

▼『文藝市場』第三巻第八号(昭和二年八月)
「宗教刑罰の残虐」酒井潔/「近世残虐犯罪史」梅原北明/「(小説)憔夫小屋の惨事」佐佐木俊郎/「てきや細身(香具師)(一)」和田信義/「浅草の今昔」石角春之助/「接吻の研究(一)」青小鳥
「故樋田悦之助初七日追悼座談会」 
出席者:斎藤昌三、伊藤竹酔、坂本篤(坂本書店主)、沢田撫松氏未亡人、樋田君令妹(愛子)、石角春之助、尾高三郎(新聞記者)、小座間茂(警視庁詰記者)、上森健一郎(変態資料)、大柴頼雄(国際文献刊行会)、酒井潔、梅原北明
「茶目一夕話」 出席者:斎藤昌三、伊藤竹酔、石角春洋、坂本篤、尾高三郎、小座間茂、上森健一郎、大柴頼雄、沢田撫松氏夫人、酒井潔、梅原北明
「世界珍書解題(三)」エル・クターブ 佐藤紅霞/「世界珍書解題(四)」ラティラハスヤ 泉芳
▼『文藝市場』第三巻第九号 九月十月合本 世界デカメロン号(昭和二年十月)
●「でかめろん」ジヨヴァンニ・ボッカッチョ作(梅原北明訳) 七日目第一話(幽霊様)/七日目第二話(妻君万能)/七日目第三話(寄生虫)/ 七日目第四話(良人の恐怖時代)/ 七日目第五話(壁の穴)/七日目第六話(一人芝居)/七日目第七話(泣き笑ひ)/七日目第八話(髪を切られた女)/七日目第九話(巫山の夢)/七日目第拾話(亡者の懺悔)/九日目第三話(男が妊娠したる話)/九日目第六話(寝台騒動)/九日目第拾話(牝馬になる妻)
●「ペルシア・デカメロン」道出茂好 (一)警戒/(二)勝利/(三)扈従の夢/(四)壺/(五)致し死に/(六)鳥(からす)/(七)鼻/(八)鸚鵡/(九)小咄三題
●「おろしや・夜話(ロシア・デカメロン)」酒井潔
●「えぷためろん」ナバル女王作(梅原北明訳) 皇子と代言人の妻(三日目第五話)/馬丁に化けたる皇子の話(三日目第六話)/世にも奇怪なる不倫譚(三日目第十話)
●「蚤十夜物語(英吉利)」佐藤紅霞
●「二日二夜物語」酒井潔
●「往昔丹波情調」 石角春之助 
男寝て待つ国/昔の丹波は女のよばい。/淫猥であつた理由/女がよばいをした理由/約束の時と女の隠語/早熟であつた理由/男よばいは失敗の因/姫の心盡し/後家の発展振り/喜劇もどきの姦通
●ロツプスの秘戯画 南江二郎 
La Faunesse/La Fleur lascive/"The Devil is in heaven/Alls Wrong with the World"/Eine Marria Magdalena/Coloaire/I,enleoement/Lidole/Der Damon der Geffall'sucht Fleur hypocrite !
●「古代東洋性慾教科書研究(承前)」 酒井潔 第二章 抱擁/第三章 接吻/第四章 爪の掻傷/第五章 歯の咬傷/第六章 性交様態の種々/第五章の補足/第七章 打撃と叫声/第八章 擬男性交と性交の準備/第八章の補足/第九章 口唇に於ける性交/第九章の補足/第十章 性交前後の用意と愛の喧嘩/第十章の補足
●「世界珍書解題(五)素女秘道徑」 梅原北明 「身辺雑記」

叢書エログロナンセンス 第Ⅱ期 文藝市場/カーマシヤストラ 第3巻 『カーマシヤストラ』No.1(第3巻第10号/昭和2年10月) 『カーマシヤストラ』No.2(第3巻第12号 第4巻第1号/昭和3年1月) 

刊行年月 2016年12月 定価16,500円 (本体15,000円) ISBN978-4-8433-4855-0

▼『カーマシヤストラ』№1 第三巻第十号(昭和二年十月)
●上海移転改題号(第三巻第十号) 「支那性的書物の解題と張競生氏一派の仕事に就て」酒井潔/「蚤十夜物語」紅霓娘 訳/「上海摩鏡見物記」梅原北明/「愛の魔術」酒井潔/「陰陽語雑叢」佐藤紅霞/「哈哈笑寸話(一)」清道士 編/「宰相夫人と道化役者」酒井潔/「(下巻)明治性的珍聞史(その一)」梅原北明(編)/「編輯余談」梅原北明、サー・フレデリツク・ジヨンース
▼『カーマシヤストラ』№2 第三巻第十二号 第四巻第一号(昭和三年一月)
「『通俗如意君伝』解題/「日本小咄集成(その一)」/「続浅草裏譚」石角春之助/「えくせ・ほも(誌上連作余技)」/「猥褻風俗史(自中世至近代)」エドアルド・フツクス/「女陰崇拝考」/「世界珍書案内(一)」
●№2「別冊」 「万古集」弓削朝臣狩高黒麿撰/「「末摘花」に露はれた婢女観」大曲駒村/「蚤十夜物語」紅霓女 訳

叢書エログロナンセンス 第Ⅱ期 文藝市場/カーマシヤストラ 第4巻 『カーマシヤストラ』No.3(第4巻第3号/昭和3年2月) 『カーマシヤストラ』No.4(第4巻第4号/昭和3年3月)

刊行年月 2016年12月 定価19,800円 (本体18,000円) ISBN978-4-8433-4856-7

▼『カーマシヤストラ』№3第四巻第三号(昭和三年二月)
「編輯前記」/「クロデイーヌ・ド・キュラムの調書(常ニ雄犬ト性交セル獣姦罪ニ関スル)」/「狂言痴語抄」/「サツド侯爵評伝」アルベツト・ユレンブルグ/「蚤十夜物語(第三夜)」/「続浅草裏譚(二)石角春之助/「日本小咄集成(その二)」/「狂蝶新語(巻之一)」一名邪正一如 巫山亭主人夢輔戯述/「猥褻風俗史(自中世至近代)」ヱドアルド・フックス
▼『カーマシヤストラ』№4第四巻第四号(昭和三年三月)
「編輯前記」/「性的見世物考」/「男根崇拝考(附、リンガムに関する一般的考察)」/「狂言痴語抄」(其二)」/「世界珍書案内(二)ミラボオ伯爵の「ヱロテカ・ビブリオン」その他」/「蚤十夜物語(第四夜)」/「狂蝶新語(巻之二)」一名邪正一如 巫山亭主人夢輔戯述/「続浅草裏譚(三)」石角春之助

叢書エログロナンセンス 第Ⅱ期 文藝市場/カーマシヤストラ 第5巻 『カーマシヤストラ』No.5(第4巻第5号/昭和3年4月) 関連資料/解題

刊行年月 2016年12月 定価13,200円 (本体12,000円) ISBN978-4-8433-4857-4

▼『カーマシヤストラ』№5 第四巻第五号(昭和三年四月)
「編輯前記」/「百戦必勝閨房大秘術」/「完撰末摘花【全句三千四百五十一】」
▼関連資料/解題