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語学教育 1942~1972年刊 全10巻+別巻1【new!】

語学教育研究所編
語学教育 1942~1972年刊 全10巻+別巻1【new!】

[監修] 江利川春雄 [解題] 江利川春雄 河村和也

揃定価316,800円(揃本体288,000円) 
ISBN 978-4-8433-6292-1 C3382
A5判/上製/カバー装

関連情報

本書の内容

一世紀にわたる外国語教育改革の旗手・語学教育研究所。その機関誌『語学教育』(1942〜1972)全114冊を完全復刻。一流執筆陣による語学教育全般に及ぶ論考が戦時下・戦後復興期・高度成長期の語学教育の変遷を明らかにする。

本書の特色

●1923年の創設から100年を迎える語学教育研究所の機関誌『語学教育』。第二次世界大戦期・敗戦占領期・戦後発展期の外国語教育界を記録した全122号・114冊・約4,600ページを完全復刻。
●英語教育を中心に、ドイツ語、フランス語、中国語、日本語など多様な語学教育の目的論、教授法、教材論、教師論、調査研究、実践報告などを包括的に掲載。今日的な示唆に富む。
●日本の語学教育界を代表する一流の執筆陣。市河三喜、福原麟太郎、土居光知、櫻井役、中島文雄、太田朗、青木常雄、石橋幸太郎、星山三郎、五十嵐新次郎、小川芳男など。
●別巻に総目次、総索引、詳細な解題を付す。

刊行にあたって     江利川 春雄

 『語学教育』(1942〜1972年刊)は、日本の外国語教育改革をリードしてきた語学教育研究所(語研)の機関誌である。語研の前身は1923(大正12)年に文部省内に設立された英語教授研究所で、ハロルド・E・パーマー所長を中心に、音声を重視したオーラル・メソッドの普及活動、各種の調査研究、英語教科書・教授法書の刊行、毎年の英語教授研究大会の開催などによって日本の英語教育界に巨大な足跡を残してきた。
 研究所の機関誌 The Bulletin of the Institute for Research in English Teaching(第179号まで名著普及会が1985年に復刻)は、戦時下の1942(昭和17)年2月発行の第180号より『語学教育』に改題され、それまでの英文本位から邦文本位に改められた。1944(昭和19)年11月には、出版統制により広島文理科大学英語教育研究所発行の『英語教育』(ゆまに書房が2020〜2021年に復刻)を併合し、戦時下で唯一刊行を許された語学教育専門誌となった。
 今回の復刻版は、『語学教育』の初号である第180号(1942年)から終刊の301号(1972年)までの30年間に刊行された、合併号を含む全122号・114冊である。すでに復刻されているThe Bulletin と連続することで、創設から半世紀に及ぶ研究所の活動の全容が初めて明らかになる。それは同時に、1920年代から50年間の日本の語学教育史そのものを通観させてくれる。
 『語学教育』は、当初は英語以外にドイツ語、フランス語、中国語、タガログ語、日本語などに関する論考も掲載され、戦後は英語教育を中心とするようになった。月刊誌として出発したが、敗戦前後に1年8カ月のブランクがあるなど、平均すると年に3.8冊の刊行だった。その実体に合わせるかのように、1967(昭和42)年11月の282号から季刊となった。
 『語学教育』は、アジア・太平洋戦争期に始まり、敗戦・占領下の学校教育改革期を経て高度経済成長期へと続く、語学教育の激動の足跡を証言する第一級の基本文献である。たとえば、戦時下での陸海軍の学校における外国語教育や「大東亜共栄圏」の諸言語に関する希有な論考、戦後の新制中学・高校での外国語教育のあり方や教材の扱い方、大衆化する大学での英文科の改革問題や教師教育の課題など、貴重な論考の宝庫である。必修語彙の選定や英語科教育課程の検討などの調査研究も有益である。それゆえ、川澄哲夫編『資料 日本英学史』(大修館書店、1978〜1998)に収録されている論考も少なくない。
 しかし、その学術的な価値の高さにもかかわらず、1945(昭和20)年春の大空襲による研究所の焼失や敗戦直後の混乱もあり、『語学教育』は散逸がはなはだしい。同誌を全冊揃える図書館は存在せず、語研にも全冊は揃っていない。そのため長らく復刻が待たれていた。このたび語学教育研究所理事会の了承を得て、完全復刻にこぎ着けることができた。ついに幻の雑誌の全貌が明らかになるのである。
 『語学教育』の寄稿者は、市河三喜、福原麟太郎、土居光知、櫻井役、青木常雄、山本忠雄、石橋幸太郎、星山三郎、飯野至誠、五十嵐新次郎、寺西武夫、皆川三郎、外山滋比古など、日本の語学教育界を代表する錚々たる人々で、質の高い論考を提供している。英語教育を中心としつつも、ドイツ語、フランス語等も含む語学教育の目的論、教授法、教材論、教師論、人物論、調査研究、実践報告、書評など実に包括的で、小学校の英語教育から大学の語学教育までをカバーし、今日的な示唆に富むものが多い。毎年の語学教育研究大会の報告も、英語教育界の歩みを知る上で欠かせない。
 2022(令和4)年はパーマー来日100周年、翌年は語学教育研究所の創設100周年にあたる。こうした記念すべきときに『語学教育』の全冊が復刻される。語学教育が混迷を深めるいま、未来の展望を切り拓くために、先人たちの過去の知的営為から謙虚に学びたい。積極的な活用を願ってやまない。
(和歌山大学名誉教授・日本英語教育史学会名誉会長)

『語学教育』関連年表

1922(大正11)年 3月  英人ハロルド・E・パーマー(1877〜1949)来日、文部省英語教授顧問に就任
1923(大正12)年5月  文部省内に英語教授研究所を創設、パーマー所長・澤柳政太郎理事長
       6月  英文機関誌 The Bulletin of the Institute for Research in English Teaching 創刊(略称 The Bulletin )
1924(大正13)年10月  第1回全国会員大会開催(翌年から英語教授研究大会と改称)
1930(昭和5)年3月  The Bulletin 第62号から邦文欄を設ける
1936(昭和11)年3月  パーマー所長辞任、英国に帰国。第二代所長に石川林四郎(東京文理科大学教授)就任(4月)
1941(昭和16)年8月  警視庁検閲課が The Bulletin の廃刊を迫る
       12月  英語教授研究所理事会が「語学教育研究所」(語研)への組織改編を決議、市河三喜(東京帝国大学教授)を第三代所長に、
           ドイツ語、フランス語、中国語の理事を追加(→翌年3月実施)
1942(昭和17)年2月  The Bulletin を『語学教育』(第180号)と改称
1944(昭和19)年11月  『語学教育』第196号より広島文理科大学英語教育研究所の『英語教育』を併合
1945(昭和20)年1月  『語学教育』第197号発行(戦時下の最終号)
       4月  戦災により文部省内の研究所が焼失、翌年3月に神田三崎町に移転
1946(昭和21)年4月  語学教育研究所が財団法人の認可を受ける
       9月  戦後初の『語学教育』第198号発行(前年春、印刷製本中に戦災で焼失した号の再刊)
1949(昭和24)年11月  パーマー死去。翌年の『語学教育』第210〜211号「パーマ博士を偲ぶ」
1962(昭和37)年5月  語学教育研究所編『英語教授法事典』(開拓社)刊行
1967(昭和42)年8月  『語研ニュースレター』創刊(1993年の第117号まで)
       11月  『語学教育』282号から季刊化、「学術論文と研究活動と実験報告を中心」に
1972(昭和47)年12月  『語学教育』第301号で終刊
1974(昭和49)年7月  『英語教育年鑑』創刊(1983年まで10冊刊行)
1985(昭和60)年1月  The Bulletin 復刻版刊行(名著普及会、全7冊)
       10月  研究部機関誌『英語教育研究』創刊(2001年の17号で終刊)
2002(平成14)年10月  機関誌『語研ジャーナル』創刊(継続中)
2012(平成24)年4月  語学教育研究所が一般財団法人となる
2023(令和5)年5月  語学教育研究所が100周年を迎える

『語学教育』の代表的な論考 *年代順。(  )内は号と発行年月。【例】(181,42・3)は第181号、1942年3月発行

●語学教育論

市河三喜「高等学校教育新課程と語学教授の問題」(181,42・3)、南石福二郎「戦時体制下に於ける英語科の問題」(181,42・3)、澤村寅二郎「中等学校における語学教育」(182,42・4)、星山三郎「満洲国の語学教育(主として英語について)」(183,42・5)、千葉勉「女子教育と外国語」(185,42・8)、岡本圭次郎「海軍と外国語」(192,43・11)、鈴木文史朗「大東亜戦争と外国語」(193,43・12)、福原麟太郎「四つの註文」(195,44・7)、五島忠久「高等学校に於ける語学教育上の諸問題」(199,47・5)、小川芳男「入試と英語教育の問題」(229,55・7)、皆川三郎「英語教育に対する社会の要望について」(231,56・1)、五十嵐新次郎「社会の要求と大学の英語教育」(232,56・5)、石橋幸太郎「英語教師心得帖(1)〜(6)」(247,60・10〜253,61・10)、東郷正延「ソ連の語学教育」(267,64・2)、一色マサ子・大橋健三郎ほか「座談会 大学英文学科の現状とそのあり方」(269,64・8)、佐山栄太郎・朱牟田夏雄ほか「座談会 日本の学術および大学の専門教育と外国語教育」(273,65・4)、稲村松雄「中学英語科指導要領改訂私案おぼえ書き」(277,66・10)、中尾清秋「幼児の英語早教育について」(278・279合併号,67・2)、外山滋比古「英語教師論」(282,67・11)、伊藤健三「新言語学と英語教育」(283,68・2)、太田朗・外山滋比古ほか「変形文法と英語教育」(290,70・1)など。

●目的論・教材論

飯野至誠ほか「中等英語教科書編纂に就ての希望」(182,42・4)、星山三郎「少国民の目に映じた外国語学習の意義」(190,43・7)、加藤正男「海軍兵学校に於ける外国語教育の目標及方法」(197,45・1)、星山三郎「『役に立つ英語』と学校教育」(247,60・10)、研究委員会「高校生の英語必修語彙(案)(5,000語集)語い選定の経過と趣意」(261・262合併号,63・3)など。

●教授法・指導法

「Let’s Learn EnglishとThe World Through Englishの取扱方(1)〜(3)」(201,48・3〜203,48・7)、黒田巍「フリースのオーラル・メソッド」(208,49・12)、星山三郎「フリーズ教授の方法論」(216,52・4)、清水貞助「能力別指導について」(221,53・5)、大前百合雄「地方高校に於ける英語教育の実情について」(230,55・10)、皆川三郎「生徒の学習意欲を向上させるための学習指導」(233,56・9)、E.G. Seidensticker「和文英訳の諸問題」(235,57・3)、萩原恭平「英文法の扱い方について」(268,64・4)、語学教育研究所「小学校の英語」(273,65・4)、柴崎昭爾「学習の動機づけと視聴覚的手法」(284,68・5)、中田富郎「英語教室とL.L.の活用について」(296,71・5)、永尾二郎「班学習(グループ)学習について」(296,71・5)など。

●人物論

福原麟太郎「エドマンド・ブランデン氏」(206,49・3)、市河三喜ほか「パーマ博士を偲ぶ」(210,50・5〜211,50・8)、太田朗「C. C. Friesの人と学問」(229,55・7)、西崎一郎「小泉八雲の修業時代」(231,56・1)、市河三喜「あゝ上田辰之助君」(234,56・12)、大西雅雄「Jones博士の追憶:Palmer博士との関係にもふれて」(284,68・5)、上野景福「市河三喜博士を悼む」(292,70・6)など。

●英語学・その他

土居光知「アメリカの英語」(213,51・3)、中島文雄「アメリカの英語の文法(1)〜(3)」(216,52・4〜218,52・7)、石橋幸太郎「ことばの意味と機構」(220,53・2)、黒川新一「米語の発音」(224,54・4〜225,54・7)、中島文雄「構造主義の言語観」(238,58・1)、宮田幸一「パーマ賞をいただいて」(248,60・12)、高田久寿「日比谷高校だより」(256,62・6)、毛利可信「日英語の比較と語学教育」(267,64・2)、島岡丘「日英語の音体系の比較」(278・279合併号,67・2)、福士俊朗「生成文法と英語学習のアルゴリズム化」(284,68・5)など。

●英語以外の語学教育

中平解「フランス語教授に就いて」(184,42・7)、神保格「標準日本語について」(186,42・11)、土居光知「西洋に於ける日本語の研究」(187,42・12)、倉石武四郎「支那語基本語彙」(191,43・8)、清水幾太郎「南方の言葉」(192,43・11)、倉石五郎「独逸語教育の現状と将来」(193,43・12)、櫻井役「タガログ語覚書」(196,44・11)、野村二郎「暁星学園とフランス語」(276,66・7)、水谷修「日本語教育の現状」(299,72・6)など。

語学教育研究所編 語学教育 1942~1972年刊 第1回配本 全5巻

刊行年月 2022年06月 揃定価147,400円 (揃本体134,000円) ISBN978-4-8433-6293-8 C3382

語学教育研究所編 語学教育 1942~1972年刊 第2回配本 全5巻

刊行年月 2022年12月 揃定価156,200円 (揃本体142,000円) ISBN978-4-8433-6299-0 C3382

語学教育研究所編 語学教育 1942~1972年刊 第3回配本 別巻 総目次/総索引/解題 

刊行年月 2023年07月 定価13,200円 (本体12,000円) ISBN978-4-8433-6305-8 C3382