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関連情報

• 「英語教育　1936〜1947年刊　全8巻＋別巻１」のカタログはこちらです。（pdf/1,401KB）
• 英語教育史重要文献集成　第Ⅰ期　全5巻
• 英語教育史重要文献集成　第Ⅱ期　全5巻
• 英語教育史重要文献集成　第Ⅲ期　全5巻

本書の内容

「英語教育」を初めて冠した幻の専門誌 『英語教育』（一九三六〜一九四七）が、 広島原爆による資料焼失を乗り越え、いま甦る。 英米文学・英語学・英語教育を総合し、 理論と実践を結合した、 最高水準の論考・記事八〇〇余篇を集録。

刊行にあたって 　　　　　　　　江利川 春雄

　日本の英語教育の歩みをたどる上で、英語関係雑誌は第一級の資料である。その中にあって、日本で初めて「英語教育」を冠した専門誌が『英語教育』（1936〜1947年、全９巻40冊＋別冊特輯号２冊）で、英語教育研究の一大拠点だった広島文理科大学（現広島大学）の英語英文学研究室（1939年より英語教育研究所）によって編集された。
　『英語教育』は、教師主体の「英語教授」から、学習者の視点も加えた「英語教育」への転換を先駆的に体現し、表題とした。当時の英語アカデミズムは英文学・英語学中心で、英語教育の学問としての認知度は低かった。にもかかわらず、同誌は英米文学・英語学・英語教育を総合し、編集陣に中学校教員も加えることで、理論と実践の往還をめざした画期的な英語雑誌となった。その根底には、広義の「英語教育」には英米文学や英語学の素養が不可欠であるとの理念がある。それは同時に、英米文学や英語学の専攻者にも英語教育の知識が必要であることを意味し、タコ壺化が進む今日の英語教育界への戒めにもなっている。
　『英語教育』には、質の高い論文に加え、「英語法講座」（山本忠雄）、「英作文講座」（須貝清一・Collins）、「英文法講座」（河合茂）、「英詩評釈」（小川二郎）などの連続講座や、中学校の「第一種、第二種新制度による英語教授実施の状況」「多読本位教授法」などに関する調査報告、各地の授業参観報告や指導案、書評、論文紹介なども盛り込まれている。また、焦眉の問題に対する著名人からの回答を集めた「英語教育と新文化創造」（1942年３月）、「大東亜戦争と英語教授」（1942年５月）、「新制度下の女学校英語教授」（1943年2月）や、「英語教育時評」（16編）、「個人消息」（24編）なども当時の英語教育界の動向を伝える貴重な資料となっている。
　執筆陣も一流で、広島文理大・高師関係者だけでなく、磯尾哲夫、大塚高信、佐々木逹、中島文雄、福原麟太郎、松川昇太郎など全国の錚々たる人々が寄稿している（後述）。戦前期日本における英語研究の水準を知る上で欠かせない基本文献である。
　しかし、『英語教育』は悲運の雑誌でもあった。当初は月刊誌として市販され好評を博したものの、戦時体制下で英語への圧迫が強まる中、会員限定の季刊誌となり、出版統制により1943（昭和18）年11月に語学教育研究所の機関誌『語学教育』と統合された。戦後の1947（昭和22）年９月に復活し、１冊だけ発行されたが終刊（年表参照）。刊行の時期がアジア・太平洋戦争と敗戦占領の激動期と重なった上に、1945（昭和20）年８月６日の原爆により、編集・発行元の広島文理科大学は壊滅的な被害を受け、関連資料の一切が灰燼に帰した。そのため、『英語教育』は入手がきわめて困難な幻の雑誌となり、全巻を所蔵する図書館は存在しない。別冊特輯号の『英語英文学論文集』に至っては、わずか4館（うち２冊揃は２館）のみである。
　今回、全９巻40冊＋別冊特輯号２冊を完全復刻し、その全貌が初めて明らかになる。集録されている論考・記事は大小800余編、全体で約3,000ページに達する。日本の英米文学・英語学・英語教育の発展過程を明らかにし、今日的な示唆を得るために、活用を願ってやまない。 　（和歌山大学教育学部教授・日本英語教育史学会会長）

【本書の特色】

●「英語教育」を初めて冠した幻の専門誌『英語教育』（1936〜1947年、全9巻40冊）と別冊特輯号『英語英文学論文集』（1938・1940、全2冊）を完全復刻。論考・記事800余篇を集録。
●英語教育研究の一大拠点・広島文理科大学（現広島大学）で編集され、小日向定次郎、定宗数松、小川二郎、山本忠雄、中島文雄、福原麟太郎、櫻井役、桝井迪夫、飯野至誠など、全国の最高水準の専門家が寄稿。
●英米文学・英語学・英語教育を総合し、理論と実践を結合した画期的な編集。学校現場の実践研究・調査報告も豊富で、今日的な示唆に富む。
●別巻に、別冊特輯号『英語英文学論文集』（2冊）、および総目次、総索引、詳細な解題を付す。