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英語教育史重要文献集成 第Ⅲ期 全5巻

英語教育史重要文献集成 第Ⅲ期 全5巻

[監修・解題] 江利川 春雄

揃定価99,000円(揃本体90,000円) 
ISBN 978-4-8433-5636-4 C3382
A5判/上製/カバー装
刊行年月 2019年11月

関連情報

本書の内容

明治期から敗戦直後まで、70年以上にわたって培われてきた英語教育研究のエッセンス。今こそ読まれるべき、入手・閲覧困難な文献を多数収録。好評のシリーズ、第3弾。

刊行にあたって   江利川 春雄 和歌山大学教育学部教授・日本英語教育史学会会長

 2020年度より小学校3年生から外国語活動を実施し、5年生からは正式教科として外国語(英語)を教えることになった。グローバル化への対応策として、国を挙げて英語教育を強化しようとしているのである。
 だが、英語教育の未来を拓くためには、先人たちの過去の奮闘から謙虚に学ぶ必要がある。たとえば、小学校での英語教育は明治中期から敗戦直後まで60年以上実施されており、日本の子どもにふさわしい教材や教授法が工夫されてきた。中等学校の英語教育論はさらに進化を遂げ、今日読んでも驚嘆すべきものが少なくない。英語を庶民層にも普及させた通信教育や、太平洋戦争期および敗戦・占領下での英語教育は、文化史的にも貴重である。歴史の闇に埋もれさせるには、あまりに惜しい。
 そこで、この「英語教育史重要文献集成」では、日本の英語教育史において欠くことのできない重要文献のうち、特に今日的な示唆に富むものを精選して復刻する。いずれも国立国会図書館デジタルコレクションで一般公開されておらず、所蔵する図書館も皆無ないし僅少な、入手や閲覧が困難な文献である。好評をいただいた第Ⅰ期・第Ⅱ期に続き、第Ⅲ期として以下の5巻を刊行する。
 第11巻「英語教育論 1」は、英語教育界の最高指導者だった岡倉由三郎の歴史的名著『英語教育』増補版(1937)を完全復刻する。この増補版は、初版(1911)に20本もの論考と岡倉の略伝・著作目録を加え、ページ数が約2倍となった。岡倉英語教育論の集大成である。
 第12巻「英語教育論 2」は、日本における外国語教育史を語る上で欠かせない文献でありながら、入手がきわめて困難な幻の5本を収録。大阪外国語学校『中学校に於ける外国語に就いて』(1924)は、英語以外の外国語教育の必要性を提言。ハロルド・パーマ『日本に於ける英語教育の比較的不成功なる原因:リーダーシステムの解説及教授法』(1929頃)と三島和介『文部省嘱託英語顧問パーマ氏講演筆記』(1924頃)は、ともに「パーマー選集」(全10巻)未収録の重要論考。日本の英語教育と教科書の問題点を率直に指摘し、対案を提示する。南満洲鉄道株式会社地方部学務課編「英語教育ニ関スル専門家ノ意見」(1933)は福原麟太郎ら当代一流の専門家らの英語教育論を集約。石川林四郎『英語教育の理論と問題』(1937)は戦前期英語教育論の到達水準を示す。
 第13巻「英語通信教育」は、正規の英語教育を受けられなかった庶民層にも英語を学ぶ機会を与え、英語学習人口の裾野を広げた通信教育の資料11点。いずれも図書館未所蔵。
 第14巻「戦時下の英語」は、太平洋戦争期における英語教育の知られざる実態を示す文献4点。うち3点は、現物が1冊のみ確認できる超レア本。『軍用英語会話』(1942)は、南方戦線での軍事行動用に日本軍が刊行した英会話教材。文部省専門学務局編『高等学校外国語教授研究会講演集』(1942)は、文部省で開催された(旧制)高等学校外国語教授研究会(英・独・仏)での講演・研究発表43本を収録。海軍兵学校『英語参考書 其ノ一(英語学習指針)』(1944)は、敗戦前年の海軍での英語教育・学習方針書。米国戦争省編English-Japanese Phrase Card (1945)は、アメリカ軍が対日戦争末期に使用した英語—日本語会話カード。日本軍に降伏を要求する表現が生々しい。
 第15巻「敗戦・占領下の英語」は、占領期・英語教育復興期の重要文献7点を収録。GHQ編Japanese Phrase Book for the Occupation Forces(1946)は、日本に駐留した連合国占領軍(進駐軍)用の英和対訳の日本語表現集。占領軍から見た敗戦直後の世相を反映し、文化史的にも貴重。語学教育研究所編『戦後の外国語』(1947)と磯尾哲夫『英語教授の理論と実際』(1948)は、ともに戦前期のパーマーの教授法を引き継ぎ、新生日本の外国語教育の進むべき道を提示した記念碑的な作品。米軍直接統治下の沖縄の小学校で使用された手書き・ガリ版刷りの英語教科書(4冊)は、過酷な沖縄の教育史を語る第一級資料。
 先人たちは、学校に通えた子にも、通えなかった子にも、日本人にふさわしい外国語の教授法・学習法と教材を提供してきた。そうした営為は、過酷な戦時下、敗戦・占領下でも続けられた。それらは、外国語を学ぶ根本的な意味を問いかけるとともに、これからの英語教育に幾多のヒントを与えてくれる。
 歴史は知恵の宝庫である。そのことを、本復刻シリーズは再確認させてくれるであろう。活用を願ってやまない。

【本書の特色】

●日本の英語教育史において欠くことのできない重要文献のうち、特に今日的な示唆に富むものを精選して復刻。
●質の高い英語教育論や教材が盛り込まれており、今日読んでも驚嘆すべきものを厳選。
●どの文献も国立国会図書館デジタルコレクションで一般公開されておらず、所蔵する図書館も皆無ないし僅少で、入手や閲覧が困難。
●各巻末には監修者による詳細な解説を附す。

英語教育史重要文献集成 第Ⅲ期 第11巻 英語教育論 1

刊行年月 2019年11月 定価22,000円 (本体20,000円) ISBN978-4-8433-5637-1

日本英語教育界の最高の名著といわれる岡倉由三郎の『英語教育』増補版(1937)。明治末の初版(1911)を約2倍に増補した定本。小学校英語やアクティブラーニングをも論じるなど、今こそ読み直したい古典的名品。
岡倉由三郎[著]
英語教育〔増補版〕 1937年 研究社

英語教育史重要文献集成 第Ⅲ期 第12巻 英語教育論 2

刊行年月 2019年11月 定価20,900円 (本体19,000円) ISBN978-4-8433-5638-8

日本における外国語教育の歩みを語る上で欠かせない文献でありながら、入手困難な幻の5点を収録。
大阪外国語学校[編・発行] 
中学校に於ける外国語に就いて
1924年
三島和介[筆記]
文部省嘱託英語顧問パーマ氏講演筆記 1924年頃 海軍兵学校発行
ハロルド・パーマ[著] 
日本に於ける英語教育の比較的不成功なる原因 リーダーシステムの解説及教授法
1929年頃 英語教授研究所発行
南満洲鉄道株式会社地方部学務課[編・発行] 
英語教育ニ関スル専門家ノ意見 1933年
石川林四郎[著] 
英語教育の理論と問題 1937年 研究社

英語教育史重要文献集成 第Ⅲ期 第13巻 英語通信教育

刊行年月 2019年11月 定価18,700円 (本体17,000円) ISBN978-4-8433-5639-5

経済的理由などで進学できなかった庶民層に英語学習の機会をもたらし、英語教育の普及に寄与した通信教育。その一次資料を初めて系統的に復刻する。
大日本英語学会一覧 1898年/イーストレーキ英語学会一覧 1902年/新式英語通信教授 学則一覧 1912年/大日本英語通信学校学制一覧 教授録見本 1915年頃/研究社英語通信講座 附入学案内 1928年/実用英語講座 入会規定・内容見本 1928年/英語通信社之教授一班(会則) 1930年頃/井上英語講義録 新学期内容見本 1937年/欧文社通信添削会 内容紹介 1942年/日本英語教育協会の英語通信教育案内 1952年/井上英語通信講座 入学案内 1953年

英語教育史重要文献集成 第Ⅲ期 第14巻 戦時下の英語

刊行年月 2019年11月 定価15,400円 (本体14,000円) ISBN978-4-8433-5640-1

謎に包まれてきた太平洋戦争期の日米両軍を含む語学教育。その実態を証言する幻の文献群。
日本軍[編・発行]
軍用英語会話 1942年
文部省専門学務局[編・発行]
高等学校外国語教授研究会講演集 1942年
海軍兵学校[編・発行]
英語参考書 其ノ一(英語学習指針) 1944年
米国戦争省[編・発行]
English-Japanese Phrase Card 1945年

英語教育史重要文献集成 第Ⅲ期 第15巻 敗戦・占領下の英語

刊行年月 2019年11月 定価22,000円 (本体20,000円) ISBN978-4-8433-5641-8

戦後英語教育の出発点となった敗戦・占領下のレアな語学教育文献7点。占領軍の日英対訳教材や沖縄のガリ版刷り英語教科書は文化史的にも貴重。
語学教育研究所[編]
戦後の外国語 1947年 開拓社発行
Information and Education Section, GHQ, AFPAC[編集・発行]
Japanese Phrase Book for the Occupation Forces(占領軍用英和対訳表現集) 1946年 
磯尾哲夫[著]
英語教授の理論と実際 1948年 教育文化研究会発行
<沖縄のガリ版刷り英語教科書>
英語のエホン/English-book 英語読本 初等学校用1・2/Let's Learn English 初等学校用