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近代中国指導者評論集成 全10巻

近代中国指導者評論集成 全10巻

[編・解題] 松本和久

揃定価159,500円(揃本体145,000円) 
ISBN 978-4-8433-5014-0 C3323
A5判/上製/クロス/カバー
刊行年月 2016年05月

関連情報

本書の内容

偉人・宿敵・盟友……。日本人は中国の指導者になにを見いだしたか?従来の評価の再検討をうながす、基礎的評論集。

刊行にあたって

戦前期の日本が政治経済上、最も大きく関与した国家が中国であった。明治維新以降、日中間では日清戦争、辛亥革命、二十一カ条要求、満洲事変、日中戦争等、政治的事件が頻発した。これに対応しようとする日本の姿勢変化に伴い、中国の指導者達への日本から見た評価も偉人、宿敵、盟友と様々な形で変遷する。本シリーズでは戦前期日本で刊行された、中国の政治指導者に関する人物論のうち、その者に対する明確な評価を打ち出していること、及び伝記的な資料として有用たること基準として、10冊を選択した。これらの資料より、近代の日中関係史において、日本人が同時代の中国人に対して何を見出そうとしたかを探る手がかりとなれば幸いである。

本書の特色

●清朝高官、軍閥、国民党幹部など、戦前の近代中国の指導者の人物評論を集成。日本語で書かれ、優れた内容をもち、希少性のある文献を厳選。
●日本人が近代中国の指導者をどのように評価していたかを知る絶好の資料。
●各巻末に解題を附す。
●中国近代史、日中関係史を学ぶ学生にとって有益な文献集。
●日中両国共に、従来悪玉論で片づけられていた人物の再評価をうながすための基礎文献集。

収録文献 (早稲田大学大学院政治学研究科 松本和久 記)

近代中国指導者評論集成 第1回配本 全5巻

刊行年月 2016年05月 揃定価91,300円 (揃本体83,000円) ISBN978-4-8433-5015-7

近代中国指導者評論集成 第1巻 蒋介石(石丸藤太著・1937年・春秋社)

刊行年月 2016年05月 定価18,700円 (本体17,000円) ISBN978-4-8433-5017-1

本書は川越・張群会談を機に、蒋介石に対する認識を改めるために執筆されたものである。著者は好戦的な言辞で知られた元海軍将校であるが、本書では、蒋を勤倹尚武の風を以て国内外の難事に当たりながら中国統一に邁進する近代的な人物として高く評価している。日中戦争直前における蒋介石評価として興味深い。

近代中国指導者評論集成 第2巻 宋美齢(村田孜郎著・1939年・ヘラルド雑誌社)

刊行年月 2016年05月 定価14,300円 (本体13,000円) ISBN978-4-8433-5018-8

読売新聞東亜部長であった著者は宋美齢こそ「抗戦支那の心臓」と位置づけ、宋の才知に溢れた前半生や西安事変における蒋介石の救出、重慶における抗日女性団体の組織に活躍する姿を描く。資料として宋が重慶で発表した論説や「西安半月記」(西安事変における蒋介石の手記)等の日本語訳を収録する。

近代中国指導者評論集成 第3巻 汪兆銘(森田正夫著・1939年・興亜文化協会)

刊行年月 2016年05月 定価23,100円 (本体21,000円) ISBN978-4-8433-5019-5

1939年5月、汪兆銘の来日後、汪に対する関心が高まったことにより多くの書籍が刊行された。本書はその一冊であり、辛亥革命から日中戦争に至る、汪を中心とした中国政治史を叙述し、末尾で蒋介石を打倒するリーダーとして強い期待を寄せている。また、本書に収録された声明書は『中華日報』(上海における汪政権機関紙)等より訳出されたものであり、資料としての信憑性は高い

近代中国指導者評論集成 第4巻 張学良の横顔(吉本浩三著・1932年・赤炉閣書房)

刊行年月 2016年05月 定価20,900円 (本体19,000円) ISBN978-4-8433-5020-1

本書は満洲事変前後における張作霖・張学良親子の行状をゴシップ的に描いたものである。張作霖が民衆に対して圧政を敷き、張学良が安逸に耽った挙句、敗軍の将として故郷を追われた姿を強調するなど、満洲事変時における世論の一つを示す資料として評価できよう。

近代中国指導者評論集成 第5巻 執政溥儀 宣統帝より執政まで(内山舜著・1932年・先進社)

刊行年月 2016年05月 定価14,300円 (本体13,000円) ISBN978-4-8433-5021-8

「満洲国」成立後、溥儀の執政就任が発表されたが、あまりに若くして清朝皇帝を退位したため、如何なる人物であるかは知られていなかった。著者はその関心に答えるために、朝日新聞社員として収集した資料を元に、近代中国史を背景に廃帝から天津での生活、執政就任までの流れ、そして溥儀の仁徳ある人柄を描き、新国家の要人としての輝かしい前途を示している。

近代中国指導者評論集成 第2回配本 全5巻

刊行年月 2016年11月 揃定価68,200円 (揃本体62,000円) ISBN978-4-8433-5016-4

近代中国指導者評論集成 第6巻 汪兆銘と新中央政府(中保与作著・1939年・宮越太陽堂書房)

刊行年月 2016年11月 定価12,100円 (本体11,000円) ISBN978-4-8433-5022-5

本書は主に汪兆銘派、重慶国民政府、日本政府の公式報道に依拠しながら、汪兆銘の重慶脱出から新政府樹立までの流れを主題としている。特に『南華日報』(香港における汪派機関紙)と中央通信社(国民党の報道機関)との声明の応酬は重慶政府分裂の政治過程の分析として、高い学術的価値を有する。

近代中国指導者評論集成 第7巻 怪傑 張作霖(園田一亀著・1923年・中華堂)

刊行年月 2016年11月 定価19,800円 (本体18,000円) ISBN978-4-8433-5023-2

『奉天新聞』の記者であり、満洲に関する多数の論著を発表した園田一亀による一冊である。本書では馬賊から身を起こし、他の軍閥や政治家との対立の中から擡頭し、東三省を統一し事実上の独立政権を築き上げるまでを詳細に叙述し、張作霖に関する最も信頼すべき半生記となっている。巻末に年譜と「奉天軍の現勢」を附す。

近代中国指導者評論集成 第8巻 大元帥 張作霖(浅野犀雄著・1928年・日華実業社)

刊行年月 2016年11月 定価12,100円 (本体11,000円) ISBN978-4-8433-5024-9

著者は本書執筆の目的を、批判の多かった「大元帥政治」が、むしろ日中関係に貢献するものであったことを示すためと説く。本書は張学良や松井七夫らより提供されたという電文や声明を豊富に引用しながら、張作霖が東三省を統一後、北京政府の実力を一時的に握りながらも、他の軍閥や国民革命軍に押され、遂には非業の死を遂げるまでを描いている。

近代中国指導者評論集成 第9巻 正伝 袁世凱(内藤順太郎著・1913年・博文館)

刊行年月 2016年11月 定価12,100円 (本体11,000円) ISBN978-4-8433-5025-6

辛亥革命後、日本の世論では袁世凱は「不学無術」と噂されていたが、本書はその前歴を辿ることで、寧ろ能吏たることを示したものである。朝鮮において日本の外交官を翻弄し、直隷総督時代に天津を回収し、辛亥革命時において混乱の収拾に手腕を発揮した等の事跡を紹介し、成立間もない中華民国において政治を強引に指導する姿勢も高く評価している。

近代中国指導者評論集成 第10巻 張謇自訂年譜(張謇著/鈴木択郎訳・1942年・内山書店)

刊行年月 2016年11月 定価12,100円 (本体11,000円) ISBN978-4-8433-5026-3

本書は清末において近代的工場の設立や立憲運動に活躍した官僚・張謇が1926年に死去する直前まで自ら作成した『嗇翁自訂年譜』を東亜同文書院教授・鈴木択郎が翻訳したものである。原文は漢文であるが平易な日本語に訳されており、張謇が関わった産業や政治だけでなく、清末民初の事件にも多く言及しており、中国近代史研究の一助となるだろう。