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近代機密費史料集成 Ⅰ 外交機密費編 全6巻+別巻1

近代機密費史料集成 Ⅰ 外交機密費編 全6巻+別巻1
満洲事件費関係雑纂

[監修・編集・解説] 小山俊樹(帝京大学教授)

揃定価125,400円(揃本体114,000円) 
ISBN 978-4-8433-4612-9 C3321
A5判/上製
刊行年月 2014年10月

関連情報

本書の内容

満洲事変以来、通算62ヶ月にわたり中国大陸の在外公館で費消された、外交機密費の記録。

満洲事変の発生後、1932年1月から1937年3月までの通算62ヶ月にわたり、中国大陸の在外日本公館(大公使館・総領事館など)で費消された外交機密費の記録。事変に際し、外務本省から在外公館に支給された多額の機密費は、情報収集のための館員派遣や諸工作のほか、接待用の飲食、諜報員の雇用、警備の強化、新聞社等への対応、弔慰金、館員家族の退避などに用いられた。たとえば接待費を見れば、日本の軍人、満洲国官僚、日本から視察に来た官僚や議員、メディア関係者、地元の主要人物、諸外国の駐在外交官、そしてリットン調査団など、多彩な饗応相手が窺い知れる。本史料集は、外交機密費の使途や金額・支払先を記録した受払報告書を中心とする希少な文書を集成し、歴史的大事件のなかで行われた、日本の外交・情報活動の実態を浮き彫りにする。

監修のことば 小山俊樹

 「機密費」とは、秘密を要する活動にかかわる資金である。秘密の活動とは、主に機密情報の取扱いに関するものといわれている。戦前には各官庁の予算科目として「機密費」が存在し、戦後は「報償費」と名を変えている。国家予算のなかで、機密費は例外的に各官庁の自主的管理のもとに置かれ、議会や他官庁による使途の査察は制限される。しかも史料の公開は原則として望めないため、これまで機密費使途の実態が明らかになることは、ほとんどなかった。  だが近年その貴重な史料が、戦前期に関する限り、各所に残存することが明らかになりつつある。そこで今回、ゆまに書房から『近代機密費史料集成』シリーズの刊行が決定された。本シリーズでは、近代日本の公文書・私文書のうち、機密費の実態を示す一次史料を集成して、広く世に問うことを目的とする。  第㈵期に刊行する「外交機密費編」では、外務省外交史料館に現存する機密費史料を収録する。戦前期の「外交機密費」に関する文書は、ほとんどが敗戦とともに失われた。そのなかで、『満洲事件費関係雑纂』としてまとめられた簿冊二四点は、「外交機密費」史料の貴重な残存例である。戦前日本の在外公館における機密費の使途が、これほど大規模かつ詳細にわかる史料群は、他に類を見ない。  一九三一(昭和六)年九月一八日の柳条湖事件を契機として、満州事変が勃発した。このとき陸軍・海軍・外務の各省には、事変に応じて巨額の「満洲事件費」が交付され、その大部分は機密費であった。本史料群は、外務省の「満洲事件費」から、中国にある日本の在外公館に支出された昭和六〜十一年の機密費使途を記録した内部文書である。ここには満州事変という突発的非常事態に対応する在外公館の様相、外国人・軍人・メディア関係者などへの宣伝・饗応、諜報者を用いた情報収集などの具体例、さらに機密費と情報活動をめぐる本省と公館の往復文書など、外交現場の実態が金銭供与額とともに、赤裸々に書き残されている。原史料ならではの存在感は、読む人を圧倒するであろう。  日本近代政治史・外交史・軍事史・メディア史の専門家のみならず、中国近代史、日中関係史などに関心のある方にも、新たな発見をもたらしてくれると期待される。広く活用していただければ幸いである。 (帝京大学准教授)

本書の特色

●近代日本の機密費に関する希少な史料を編纂刊行。
●第Ⅰ期は、外交機密費の史料である「満洲事件費関係雑纂」(外務省外交史料館所蔵)を編纂して刊行する。
●満洲事変発生から約五年間にわたる中国・満洲の在外日本公館の微細な動向が、会計史料から如実に立ち現われる。
●事変に対応する館員と家族の安全対策に始まり、情報収集のための面会・飲食、工作費用、諜報員の雇用、マスメディア対策、他国外交官との交流など、緊迫する外交の現場を描く史料。
●外交官、政治家、軍人、満洲国官僚、外国の外交官、地元有力者、ジャーナリスト、大陸浪人、諜報員、日本人会幹部など、多彩な人物が登場する。
●別巻には、解題のほか、本史料に添付されている厖大な証憑(領収書)、および機密費をめぐる本省と在外公館の往復文書を所収する。

近代機密費史料集成 Ⅰ 外交機密費編 第1回 全5巻 満洲事件費関係雑纂

刊行年月 2014年10月 揃定価88,000円 (揃本体80,000円) ※分売不可 ISBN978-4-8433-4613-6

●第1巻●満洲事件費関係雑纂 受払簿 昭和6年度・昭和7年度(1)
●第2巻●満洲事件費関係雑纂 受払簿 昭和7年度(2)
●第3巻●満洲事件費関係雑纂 受払簿 昭和8年度(1)
●第4巻●満洲事件費関係雑纂 受払簿 昭和8年度(2)
●第5巻●満洲事件費関係雑纂 受払簿 昭和9年度

近代機密費史料集成 Ⅰ 外交機密費編 第2回 全1巻+別巻1 満洲事件費関係雑纂

刊行年月 2015年05月 揃定価37,400円 (揃本体34,000円) ※分売不可 ISBN978-4-8433-4614-3

●第6巻●満洲事件費関係雑纂 受払簿 昭和10年度・昭和11年度
●別 巻●満洲事件費関係雑纂 往復文書・領収書/解題