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香港都市案内集成 全13巻

シリーズ・近代アジアの都市と日本
香港都市案内集成 全13巻

[監修・解説] 濱下武志 [監修・解説] 李 培 德

揃定価216,700円(揃本体197,000円) 
ISBN 978-4-8433-4392-0 C3325
A5判/上製/クロス装/函入
刊行年月 2013年11月

関連情報

本書の内容

アジアの中の日本と香港と中国の、関係史研究のための基礎的資料集。現在入手可能な文献、公文書、論文等を最大限収録。

監修にあたって  東京大学特任准教授 李 培 德

 香港における日本人の活動は、最も古くは1841年、香港の開港初期にまで遡ることができる。1868年、日本の明治維新において、国家の近代化政策実行のために、香港は日本のアジアにおける商業活動の最も重要な海外拠点の一つであり、日本人は現地の人、物、金のネットワークをふんだんに利用した。1920年代に至り、日本人は相次いで商会、学校、病院、寺院、新聞社を設立し、元よりあった領事館、商社、銀行、海運会社等に加えて、完結した日本人コミュニティを形成した。1937年、台湾総督府は『明治初年に於ける香港日本人』を刊行した。本書は早い時期から香港に居住した日本人の生活体験と記憶を記録しており、日本人の香港移民史として重要な記録を残している。
 本叢書が対象とする時期は、大まかに四つに分けられる。
 (1)1853年の日本の開国前夜より1911年中国の辛亥革命勃発まで。この時期に日本は明治維新を経て、香港より、植民地の華人社会が消化した多くの西洋文明を吸収した。(2)1912年の中華民国成立から1937年日中戦争勃発直前まで。この時期の香港の日本人社会は次第に成熟していった。(3)1937年の日中戦争の勃発から1941年の太平洋戦争勃発直前まで。香港は中国内地の抗日を支援する最も重要な後方補給基地と考えられたため、日本は香港を不断に注視し、政府の官僚や学者は頻繁に香港を訪問していた。(4)1941年12月の太平洋戦争勃発から1945年8月の日本敗戦・降服まで。この時期日本は香港を占領し、俗に「三年零八箇月」と言われる軍政を展開した。
 また、資料の性格は大まかに五つに分類される。(1)調査的なもの。例えば、香港の政治、経済、社会等に関する調査である。(2)ハンドブックや参考資料的なもの。主に日本人の香港への旅行、或いは日本企業が香港で行った商業・貿易活動について、各種情報を提供した。このほか、現地の日本人社会を対象として、香港居住に関する情報を提供したものもある。(3)政治宣伝的なもの。こうした資料は日本の香港占領時期に多く出現し、多くは「大東亜」戦争の賛美を目的とした。(4)学術研究的なもの。政治、経済、社会、文化の多方面より香港について、或いは香港と日本、中国、イギリスとの関係について論じているが、一部の政策の指示を促す社会上の輿論をも含んでいる。こうした観点の多くは、社会的なメディアを通じて、広められた。(5)政府の保存する文献。例えば外交文書や領事館報告である。
 本叢書が収録した資料は監修者が篩にかけて、同類の資料の中で代表的なものを選択している。これらの資料は日本が明治維新以来、二度の世界大戦を経て香港を観察、研究した具体的な成果である。本叢書の資料は主に、様々な時期に日本政府と民間機関が作成したものであり、その中には外務省通商局、台湾総督府、満鉄経済調査会、東亜研究所、台湾銀行、三井物産、東京商業高等学校、朝日新聞社、桐生屋商会(桐生屋出版部)等が含まれる。このほか、駐香港日本領事館、香港日本商工会議所、香港日報社、香港東洋経済社、堀内書店等、香港に在った多くの日本人組織の資料も含んでいる。これらの参考資料は日本と香港―中国―イギリスの多角的な関係、或いは香港の日本人社会、近代アジアにおける日本の海外発展等を理解する上で、極めて高い価値を有している。

●特にお薦めしたい方
中国近代史、日本近代史、中国経済史・社会史、国際関係史、日中関係史の研究者・研究機関など。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 香港都市案内集成 第1回配本 全6巻

刊行年月 2013年11月 揃定価106,700円 (揃本体97,000円) ISBN978-4-8433-4393-7

シリーズ・近代アジアの都市と日本 香港都市案内集成 第1巻 香港事情概要/台湾、南支那、香港及海峡植民地ニ於ケル 欧洲戦乱ノ影響/香港要覧/香港概観(三井物産株式会社香港支店著)

刊行年月 2013年11月 定価16,500円 (本体15,000円) ISBN978-4-8433-4395-1

 ●香港事情概要(南支那及南洋調査 第五) 
 根本台湾銀行書記調査(1916年・台湾総督府)
香港の沿革、港湾設備、貿易、特殊税金等についての簡潔な報告。第一次世界大戦の時代状況を反映し、イギリスの地位の不動、ポルトガルの優柔不断、ドイツの興隆等、アジアにおけるヨーロッパの対立に注目するなど、興味深い視点を示している。
 ●台湾、南支那、香港及海峡植民地ニ於ケル
 欧洲戦乱ノ影響(南支那及南洋調査 第八)
 台湾銀行調査(1916年・台湾総督府)
第一次世界大戦が台湾経済に大きく影響したため、実態の解明に資すべく編纂された。台湾本島の状況及び、香港を含む中国各都市との貿易統計、石炭、綿糸等の商品取引の状況を詳説する。香港については「敵艦の来襲を告げるデマがあり、マカオ・広東に避難する者は数千に達した」と、混乱した様子を伝えている。
 ●香港要覧(南支那及南洋調査 第五十五) 
 台湾総督官房調査課(1922年・台湾総督官房調査課)
台湾総督府の参考資料である「南支那及南洋調査」の1冊。香港の通商に注目する類書が多いのに対して、本書では特に行政や監獄を中心とする統治機構、伝染病を予防する衛生機関、人種別の教育政策に説明を割いており、植民地経営のモデルとして香港を意識していた観点が興味深い。
 ●香港概観 
 三井物産株式会社香港支店(1939年・三井物産株式会社香港支店)
日中戦争期、三井物産香港支店による調査報告。同時期の交通や財政に関する統計や現地日本人の情報を多く含み、上海・広東が陥落したが故に香港の地位が爾後益々重要になると展望する。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 香港都市案内集成 第2巻 香港事情 

刊行年月 2013年11月 定価15,400円 (本体14,000円) ISBN978-4-8433-4396-8

 ●香港事情
 外務省通商局(1917年・外務省通商局)
在香港領事館書記生野田実之助による調査報告。香港の百科事典ともいうべき全般的な説明をしているが、特に同業組合や海運に関する情報の他、香港独特の商習慣や海運に関して、類書には見られない説明を加えている。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 香港都市案内集成 第3巻 香港概観(前田宝治郎著)

刊行年月 2013年11月 定価25,300円 (本体23,000円) ISBN978-4-8433-4397-5

 ●香港概観 
 前田宝治郎(1919年・前田宝治郎)
著者は三井物産香港支店の社員。香港は中国・東南アジア間の貿易拠点であるにも関わらず、日本人向けの情報が少なかったため、商客の便を図って執筆された。社内の調査資料や官庁の発表、香港の英字紙等に基づいた貿易や船舶に関する情報が主であるが、娯楽施設や日本人の状況も含んでおり、第一次大戦期の香港に関する格好の資料である。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 香港都市案内集成 第4巻 香港通過商業調査報告書ほか

刊行年月 2013年11月 定価23,100円 (本体21,000円) ISBN978-4-8433-4398-2

 ●香港通過商業調査報告書 
 伊藤武男(1909年・東京高等商業学校)
本書は、東京高等商業学校の「修学旅行制度」により作成された香港の現地調査報告書である。当時、日本では英語資料しか利用できなかったことに鑑み、現地企業や香港政庁、商工会議所等に赴き、貿易、商習慣、殖民政策等について信頼すべき情報を収集している。
 ●神戸華商ノ香港広東貿易事情
 満鉄経済調査会編(1936年・満鉄経済調査会)
調査にあたったのは満鉄嘱託の岡崎弘文。日貨排斥の傾向が強まる中で、対華南貿易に重要な地位を占める神戸華僑について、日本商人との関係、売買契約・決済の方式、香港広東間の交通状態等を示す他、神戸華商団体の定款等、重要資料を採録する。
 ●香港華僑概説 
 下條義克(1939年・東亜研究所)
著者は東亜同文書院の学生であり、夏季旅行の調査報告として本書をまとめた。本書の主眼は、抗戦経済に重要な地位を占めた香港華僑の実力把握にあり、居住地、有力華僑の職業、資産、経歴の紹介や、彼等の経営する企業・新聞の統計等のデータを多く含み、現在から見ても援蒋ルートの研究資料として有効である。
 ●香港と海南島 附澳門・広東・広州湾
 (朝日東亜リポート 1) 
 朝日新聞社東亜問題調査会編(1939年・朝日新聞社)
日中戦争の動向に伴い、華南地域への注目が高まったことに鑑み発行されたレポート。経済や交通等に関する当時最新の情報を集めていることに加え、英米の言説を紹介しつつ、極東における香港の政治的地位を強調する。太平洋戦争が勃発するまで数年の、日本の香港に対する見方を示す恰好の書である。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 香港都市案内集成 第5巻 南 洋 前編

刊行年月 2013年11月 定価12,100円 (本体11,000円) ISBN978-4-8433-4399-9

 ●南 洋 前 編 
 林金五郎編述(1917年・桐生屋出版部)
本書の目的は、「植民地主義に出遅れた日本が、南洋での発展を図るためにはまず南洋を知悉することにある」と著者は説く。香港の歴史や産業等に加えて、特に現地日本人についてページを多く割いており、大正時代に日本人社会が香港で形成されてきたことを示す希有な一冊。マレー半島について記した後半部分及びインドネシアについて記した後編は割愛した。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 香港都市案内集成 第6巻 香港の港勢と貿易

刊行年月 2013年11月 定価14,300円 (本体13,000円) ISBN978-4-8433-4400-2

 ●香港の港勢と貿易
 井出季和太(1922年・台湾総督官房調査課)
台湾総督府税関事務官であった著者が、1921年3月から4月にかけて香港を視察調査した際の報告書。港湾設備、行政機関、船舶・貨物の取締、手数料等、施設・制度に関する記述は詳細を極め、対香港貿易に関わる者にとっての実用書に徹した作りとなっている。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 香港都市案内集成 第2回配本 全7巻

刊行年月 2014年12月 揃定価110,000円 (揃本体100,000円) ISBN978-4-8433-4394-4

シリーズ・近代アジアの都市と日本 香港都市案内集成 第7巻 明治初年に於ける香港日本人

刊行年月 2014年12月 定価15,400円 (本体14,000円) ISBN978-4-8433-4401-9

 ●明治初年に於ける香港日本人 
 奥田乙治郎(1937年・台湾総督府熱帯産業調査会)
在香港領事館書記生奥田乙治郎が、領事館所蔵の古文書をもとに前年『香港日報』に寄稿し、台湾総督府の参考資料としたもの。領事館の設置、現地邦人の動向、日本軍艦の入港等を編年で叙述する。また、巻末に明治期から定住する日本人のオーラル・ヒストリーを掲載しており、19世紀の日本と香港の関係を研究する際に、不可欠の資料となっている。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 香港都市案内集成 第8巻 香港・海南島の建設

刊行年月 2014年12月 定価18,700円 (本体17,000円) ISBN978-4-8433-4402-6

 ●香港・海南島の建設
 秀島達雄(1942年・松山房)
日本の使命はイギリスの圧政から香港をアジアに還元することにあるという視点から、イギリス統治下の行政、司法、経済の分析に加えて、日本の占領以後については、豊富な経済統計とともに金融政策の紹介に重きを置く。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 香港都市案内集成 第9巻 香港案内/香港年鑑/在香日本人の参考

刊行年月 2014年12月 定価18,700円 (本体17,000円) ISBN978-4-8433-4403-3

 ●香港案内 
 香港日報社(1928年・香港日報社)
奧付に「定価50セント」と記され、現地で日本人向けに販売されていたことを示す。100頁余りのコンパクトな体裁ながら、主な行政施設、観光名所、銀行等の所在地や交通機関の利用方法を説明するほか、「邦人公益施設団体」、「在留邦人商工録」として日本人の団体や企業、学校、寺院等を紹介する。また、汽船会社やホテルの広告を掲載しており、当時香港を旅した日本人の行動を具体的に知ることができる。
 ●香港年鑑
 香港日本商工会議所(1941年・香港日本商工会議所)
本書は、香港日本商工会議所が「最初の試み」として編纂した参考資料であり、一般には販売されなかった。貿易会社の閲覧に供するため、金融、物価、産業等に関する状況の説明と豊富な統計に加えて、「日本人商工銘鑑」を採録しており、太平洋戦争直前における在香日本人の活動を知る貴重な手掛かりとなっている(翌年以降の発行は確認されていない)。
 ●在香日本人の参考 
 香港占領地総督部報道部編(1943年・堀内書店)
占領下香港に在住した日本人に対して、行動の規範、日本人向けの施設、衛生の注意等を解説したもの、後半に香港神社、忠霊塔、攻略戦の解説、手続きの書式等を附す。本書は現在、国内での所蔵が確認できず、また、在留日本人への政策を示した資料として極めて価値が高い。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 香港都市案内集成 第10巻 軍政下の香港 新生した大東亜の中核

刊行年月 2014年12月 定価15,400円 (本体14,000円) ISBN978-4-8433-4404-0

 ●軍政下の香港 新生した大東亜の中核
 東洋経済新報社編(1944年・香港東洋経済社)
「大東亜の中核」建設の視点から、香港総督部より提供された資料をもとに軍政を紹介する。日本語学校や香港神社等の写真・図版を含んでおり、日本語資料の少ない占領期香港の研究に資する部分が多い。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 香港都市案内集成 第11巻 香港関係日本語論文集

刊行年月 2014年12月 定価11,000円 (本体10,000円) ISBN978-4-8433-4405-7

 ●香港関係日本語論文集
本巻では、村田孜郎『広東と香港』(1938年・銀座書房)、石井礼助『香港の経済諸問題』(1942年・東洋経済新報社)等、歴史・政治・経済の個別分野において重要な論文、報告、講演録を採録する。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 香港都市案内集成 第12巻 香港関係日本外交文書及び領事報告資料

刊行年月 2014年12月 定価22,000円 (本体20,000円) ISBN978-4-8433-4406-4

 ●香港関係日本外交文書及び領事報告資料
「日本外交文書」及び「領事報告資料」より日本と香港との外交関係の中で特に重要なものを選択して纏める。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 香港都市案内集成 第13巻 解説・年表

刊行年月 2014年12月 定価8,800円 (本体8,000円) ISBN978-4-8433-4407-1

 ●解説・年表