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近代中国都市案内集成 北京・天津編 全13巻

シリーズ・近代アジアの都市と日本
近代中国都市案内集成 北京・天津編 全13巻

[監修・解説] 吉澤誠一郎

揃定価311,300円(揃本体283,000円) 
ISBN 978-4-8433-3921-3 C3325
A5判/上製/クロス装/函入
刊行年月 2012年06月

関連情報

本書の内容

近代日本人の「中国イメージ」の探究と日中関係史研究のための基礎的文献集。 上海編に続く第2弾。北京と天津を収録。

監修にあたって      東京大学准教授 吉澤誠一郎

 北京と天津とは、近代の日本人に独特の体験をもたらした都市だった。北京は、辛亥革命以後も、かつて明清王朝の都だったことによる風格を保ち、日本とは大いに異なる皇帝政治の遺産に富むことで、あまたの日本人を魅了した。天津は、日本も含む多くの国々の租界が設定された港町であり、また中国政府の支配区域も含めて、地区ごとの多様性という点では中国でも随一だった。
 たとえば、1921年には、芥川龍之介が中国を約4か月間遍歴し、そのなかで北京や天津も訪れている。このときの紀行文や書簡には、芥川流の真剣な知的戯れのなかに、現地に対する所感が示されている。彼は、西洋化された上海に対しては罵倒の限りをつくしていたが、伝統の重みを感じさせる北京の雰囲気には親しみを覚えたという。天津から帰国の途に就くときには、租界の近代的街並みを前にして、むしろ北京に帰りたいとする気持ちを、機知に満ちた言い方で表明していた。
 今回、ゆまに書房から復刻される『近代中国都市案内集成 北京・天津編』もまた、近代日本人の北京・天津体験について理解するのに非常に有益な材料を多く含んでいる。芥川の文学的な筆致とは異なり、これらのむしろ実用的な意図で編集された都市案内は、当時の日本人の散文的な経験をよく伝えてくれるからである。
 今回のシリーズに収録されているなかにも、いくつか異なったタイプの書物が見られる。たとえば『北京誌』『天津誌』は、義和団事件後に設けられた清国駐屯軍司令部が編纂した一種の地誌である。非常に詳しく網羅的にそれぞれの都市の全体像を描こうとしており、清末の北京・天津を論じる場合には必ず参照すべき著作といえる。また、1922年再版の『天津北京案内』は、ビジネスや観光を目的として訪問する人々に対するガイドブックであり、大正時代における日本人の中国理解がもった傾向と限界とをよく示している。
 これら書物の成立が、華北において日本が有した政治的・軍事的・経済的なプレゼンスとも深い関係があることは、いうまでもない。また、その北京・天津についての見方を、すでに刊行されている『近代中国都市案内集成 上海編』と比較してみることも興味深い課題であろう。
 今回の復刻が、様々な知的関心を持つ人々によって広く利用されることを大いに期待している。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代中国都市案内集成 北京・天津編 第1回配本 全6巻

刊行年月 2012年06月 揃定価143,000円 (揃本体130,000円) ISBN978-4-8433-3922-0

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代中国都市案内集成 北京・天津編 第13巻 北京誌 清国駐屯軍司令部編(1908年・博文館)

刊行年月 2012年06月 定価40,700円 (本体37,000円) ISBN978-4-8433-3924-4

全39章に分けて、清末・北京の政治、経済、社会及び文化のすべてに渉る全体像を描き出す。「本書は北京に関する一切の事項を網羅し読者をして北京に関して一般観念を得せしむる」を目的とする(凡例)。近代北京研究の古典的労作と言える内容を有す。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代中国都市案内集成 北京・天津編 第14巻 北京名所案内 附天津概観 改版増補第5版 脇川寿泉(1921年・寿泉堂)

刊行年月 2012年06月 定価15,400円 (本体14,000円) ISBN978-4-8433-3925-1

本書は、観光を目的とした北京の旅行案内記として最初期の代表である。北京内外の名所、古蹟の紹介に、内外の公共施設や旅館、料理店などを収め、「天津概観」も附す。1916年の刊行以後「観光者の手引」として版を重ね、改版増補も出されたことが本書の好評を窺わせる。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代中国都市案内集成 北京・天津編 第15巻 北 京 丸山昏迷(1921年・丸山幸一郎)

刊行年月 2012年06月 定価35,200円 (本体32,000円) ISBN978-4-8433-3926-8

著者は、中国に在住し早世した日本人ジャーナリストで魯迅を初めて日本に紹介した。辛亥革命後の「新中国」に大きな期待をかけた著者が「現代北京を説明するを目的」にし、「名所旧蹟等の考証は努めて簡単にした」(凡例)という、独特な観点から本書は記述される。同時代の北京の様子を伝えることに意が注がれた内容である。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代中国都市案内集成 北京・天津編 第16巻 北京・名勝と風俗 村上知行(1934年・東亜公司)

刊行年月 2012年06月 定価19,800円 (本体18,000円) ISBN978-4-8433-3927-5

著者は、戦前、戦後を通して活躍した中国問題評論家で中国文学の翻訳家。特に四大奇書の翻訳で知られる。本書は、第一に案内記を目差しながらも、北京の民衆の「如何なる虐げの下にも屈せず」生きる姿に深い共感を寄せ、それを伝えることをも願い執筆される。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代中国都市案内集成 北京・天津編 第17巻 北京観光案内(大陸都市叢書第3輯) 石橋丑雄(1941年・ジャパン・ツーリスト・ビューロー〈日本国際観光局〉)

刊行年月 2012年06月 定価9,900円 (本体9,000円) ISBN978-4-8433-3928-2

北京に長く暮らし、天壇の古典研究をなし、かつまた北京を訪れる日本人の世話役としても著名な著者の観光案内。小冊子の形態ではあるが、人生の大半を北京で過ごした著者がその魅力をコンパクトに示し説明する。今日では歴史資料としての意義をも持つ観光案内記。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代中国都市案内集成 北京・天津編 第18巻 北京案内記 安藤更生編(1941年・新民印書館)

刊行年月 2012年06月 定価22,000円 (本体20,000円) ISBN978-4-8433-3929-9

日本人が北京で、「市民としての生活」を行うための書と「序」に述べる。「時局」を反映した「単なる観光都市ではない」「興亜の最主要基地」としての北京の案内書。かつまた遠隔者に「立体的地誌」を提供する   目的も兼ね、従来の案内記にはない「始めての企」と自負する近代日本人の北京案内記の総合を企図する。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代中国都市案内集成 北京・天津編 第2回配本 全7巻

刊行年月 2012年12月 揃定価168,300円 (揃本体153,000円) ISBN978-4-8433-3923-7

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代中国都市案内集成 北京・天津編 第19巻 天津誌 清国駐屯軍司令部編(1909年・博文館)

刊行年月 2012年12月 定価35,200円 (本体32,000円) ISBN978-4-8433-3930-5

本書の上梓に至る事情は巻頭の「天津誌編纂始末」に詳しい。時の仙波司令官が「北清研究に資する目的を以て」企図し、「在天津の本邦官民より得たる材料」を司令部にて「五年有半」をかけて編纂。多くの写真を収め、清末天津の全体像を描く。同様に編纂された『北京誌』と並ぶ、近代天津研究の古典的労作。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代中国都市案内集成 北京・天津編 第20巻 天津案内 富成一二編(1913年・中東石印局)

刊行年月 2012年12月 定価26,400円 (本体24,000円) ISBN978-4-8433-3931-2

辛亥革命勃発直前に稿を起こし、その進行と同じくして編述が進められる(凡例)。「大政変に遭遇したる為め本書前半に記述せる処往々にして支那昨今の情態と同じからざる」と謙遜するが、序文を寄せた天津総領事小幡酉吉が、よく天津の最新情報を蒐集したものと推奨する。清末民初の天津の事情を紹介する先駆的ガイドブック。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代中国都市案内集成 北京・天津編 第21巻 天津北京案内 訂正増補再版 上野大忠編著(1921年・日華公論社)

刊行年月 2012年12月 定価17,600円 (本体16,000円) ISBN978-4-8433-3932-9

第一次大戦によって本格化した中国進出の気運のなかで、急ぎ刊行した第一版(1920年)を訂正増補した再版を収録。「北支那の開発殊に天津の発展、並に日本北支那間の愈々顕著となれるに鑑み、旧来の案内書の不満足なる諸点を訂正補足する」(自序)。「天津の商工業と北京の諸勝とを土台として編著」する(例言)。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代中国都市案内集成 北京・天津編 第22巻 北支の新生活案内 小倉章宏(1937年・生活社)

刊行年月 2012年12月 定価16,500円 (本体15,000円) ISBN978-4-8433-3933-6

「日支文化提携」に奔走していると自負する著者が「北支」滞在の邦人への「生活心得」として執筆。「前篇に於て北支の概念を示し、後篇には民俗習性より商業習慣その他生活状況を説き、且つ資源と企業に必要なる知識を提供」する(「自序」)。著者が当時の中国の内部事情に精しかったことは、他の著作(『三中全会の結末と日支関係の新展開』など)からも窺える。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代中国都市案内集成 北京・天津編 第23巻 北支!!天津事情 早川録鋭編(1938年・天津出版社)

刊行年月 2012年12月 定価42,900円 (本体39,000円) ISBN978-4-8433-3934-3

天津の近況を伝える写真を多数掲げ、「発刊の辞」、「序」、本文、附録、広告を含めて千頁余。「本書の目的は総括的な天津事情及び過去三十有余年間の居留邦人の活動状況」と、「在留邦人の人名録を網羅し、営業別名簿を作成」することで(「序」)、「前篇 天津総記」「後篇 日本人と天津」に分かれる。「日中戦争」開始後に天津を拠点とした近代日本人の活動を総合した大著。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代中国都市案内集成 北京・天津編 第24巻 北支案内 布利秋(1938年・北支研究会出版)

刊行年月 2012年12月 定価22,000円 (本体20,000円) ISBN978-4-8433-3935-0

「本書の構成は筆者の支那体験を基本として」「北支八省の政治、経済、交通、文化その他、実際生活に即して」、その「内面を知らしめる点に意を」注ぐ(自序より)。九編に分かれ第一編の総論的文章に続き、第二編以下で「北支」各省の概況が筆者の見聞から具体的に綴られる。そして最後に「北京と天津」を描写する。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代中国都市案内集成 北京・天津編 第25巻 天津概観 附天津商工名録 天津日本人商業会議所(1927年・天津日本人商業会議所)/解説

刊行年月 2012年12月 定価7,700円 (本体7,000円) ISBN978-4-8433-3936-7

本書(昭和二年版)は同会議所が定期的に刊行していたものと思われ、昭和五年版も確認される。文章による説明は簡略にし、「最近天津在留日本人戸数人口統計表」などの統計を多く収め、上記の諸「天津案内」を数値から裏付ける。また、当時の天津の商工業者を「日外支」の三者に分け掲げる「天津商工人名録」も附す。