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関連情報

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• コレクション・モダン都市文化　第1期　全20巻
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本書の内容

昭和初期に開花したモダニズムの総合的資料集 全100巻、待望の堂々完結！！

刊行のことば　東洋大学教授　和田博文

　一九世紀後半〜二〇世紀前半の日本で、身体や意識の空間を拡張することは、自らを近代化していくための必要不可欠な方法だった。実学（医学・軍事学・経済学・工学・法学など）の分野でも、教養（演劇・音楽・哲学・美術・文学など）と目される分野でも、時代を切り拓こうと志す、数多くの青年が欧米に向かっている。彼らがヨーロッパとの往還に利用したのは、欧州航路とシベリア鉄道である。
　この一世紀の間に欧米の列強は、アジアやアフリカの植民地化を完了し、やがて世界再分割のために世界大戦に突入する。身体や意識の空間の拡張を、個人レベルではなく国家レベルで捉えると、日本の帝国主義が朝鮮半島・台湾・満州へと、支配地域を拡大していった地図が見えてくる。船舶と鉄道は植民地支配に大きな役割を果たし、第一次世界大戦後は飛行機がそこに加わった。満鉄はその典型的な一例である。日本の身体や意識の空間の拡張は、東アジアだけで起きたのではない。それは南洋にも向かい、北米や南米への移民という形でも現れた。
　モダニズム（＝モダンなものに価値を見出す主義）は近代全般を通じて見られる。しかし関東大震災を象徴的なターニング・ポイントとして、一九二〇年代〜三〇年代のモダニズムは、都市モダニズムと呼ぶべき段階に入っていく。モダン都市は東京だけに出現したのではない。北の札幌、中央の名古屋、西の博多でも、モダン都市への歩みは着実に進んでいった。都市のような大きな行政区域ではなく、ミニマムなスポットでも、モダン都市文化を考察することはできる。美術館や画廊にはモダニズムの尖端が出現し、図書館にはモダニズムの記録が蓄積されていった。
　戦争は文化の一つの形態である。一九四〇年代の「大東亜戦争」は、帝国主義がモダニズムを駆使して作り出す、死と滅亡のドラマだった。中国大陸への侵略は、線が延びるばかりで泥沼化していく。東南アジアでの戦闘は、短期的な勝利を収めたかに見えたが、長い消耗戦の始まりだった。国民精神総動員が進行する過程で、モダニズムは戦争へと組織されるが、他方で自らの物資的基盤を失って消滅していく。Ｂ29の空襲や原爆投下後の光景は、この時代のモダニズムの到達地点を示している。装備のない銃後の防空では、対処するすべなどなかった。

【本書の特色】

●文学・美術・映画・演劇・経済・商業・建築・交通・スポーツ・ファッシ
ョンなど、多面的な視点から一九二〇年代〜一九三〇年代のモダン都市文化の魅力を把握できる叢書です。第5期をもちまして全100巻完結です。
●第5期、全20巻は「シベリア鉄道」「台湾のモダニズム」「美術館と画廊」「 図書館と読書」「欧州航路」「北米の日本人」「国民精神総動員」「銃後の生活」など、今回も多種多様なテーマ別に構成しました。
●戦前までに刊行された、各巻のテーマの代表的な文献を収録しました。
●収録した単行本は、いずれも今日では稀覯本となっているものばかりです。
●各巻の編者は、第一線で活躍する研究者がそれぞれ担当しています。
●各巻末に編者による詳細なエッセイ・解題・関連年表・主要参考文献を収録。読者がそのテーマをより深く探求していくための、水先案内役となるよう配慮しました。
●図版が豊富で、ビジュアル的にも楽しめる叢書です。原本のカラー図版は、原本通りカラーにて収録しました。
●今後のモダニズム研究に必須の文献です。