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江戸時代の蘭画と蘭書 -近世日蘭比較美術史-

江戸時代の蘭画と蘭書 -近世日蘭比較美術史-

[著] 磯崎康彦

揃定価39,600円(揃本体36,000円) 
ISBN 978-4-8433-1164-6 C3071
A5判上製/クロス装/函入

本書の内容

画像: 平賀源内 「西洋婦人」 布地油彩

収録図版500余点、新発見の貴重資料も多数紹介。前人未踏の実証的研究!

【本書の特色】
●江戸時代の美術の一分野を成した<蘭画>と、オランダ美術とを比較研究した論集。
●オランダ、ドイツ、デンマーク、ベルギーでの新発見の貴重資料も紹介、豊富な資料に基づいた10年間の実証的研究の集大成。
●日本の画家が影響を受けたさまざまな<蘭書>に関する研究でもあり、画家たちが交流した蘭学者にも多く触れる。日本美術史ばかりでなく近世の蘭学を中心とした文化史研究にも必須の一書。
●多数の図版を配し(総点数約500点)、詳細な索引を付す(下巻)、充実した内容の研究書。

刊行にあたって     磯崎康彦
 オランダ人を介してわが国に舶載された銅版画や蘭書は、現在のわたしたちが想像する以上に多量である。国内のみならず、オランダの大学・美術館・資料館に所蔵されているため、何度となくオランダへ足を運ばねばならなかった。本書は、かれら蘭画家たちの西洋画習得の過程を追究したものである。かれらの接した蘭書を一つ一つ探し出し、調査してみると、わが国の鎖国は、外国との接触を絶つ状態であったとはいえ、内実は、開かれた鎖国のように思えてしかたがない。かれらは、どのような蘭書を手にとり、蘭書のどういった挿絵や蘭文に驚きや興味を示し、それらを模写改作するなかで、西洋画を、ひいては西洋をどうとらえたのであろうか。こうした事柄を幾分なりとも解明できたならば、本書出版の意味もあろう。

江戸時代の蘭画と蘭書 -近世日蘭比較美術史- 上巻

刊行年月 2004年04月 定価19,800円 (本体18,000円) ISBN978-4-8433-1162-2 C3071
A5判上製/クロス装/函入

◆第1章◆江戸時代初期に舶載されたブラウ親子の壁掛け世界図?新井白石の「万国総図」と「泰西王侯騎馬図」屏風?(ブラウ親子の製作した壁掛け世界図/ブラウの世界図に見られる王侯騎馬図/「泰西王侯騎馬図」屏風)
◆第2章◆ヨーン・ヨンストン著『動物図譜』が投げかけた波紋(西欧博物学史におけるヨンストン著『動物図譜』の位置/ヨンストン著『動物図譜』とは、どのような蘭書か/ヨンストン著『動物図譜』の舶載と翻訳/宋紫石とヨンストン著『動物図譜』)
◆第3章◆秋田蘭画と蘭書(小田野直武の『解体新書』附図/ 平賀源内所蔵の蘭書と小田野直武、佐竹曙山/小田野直武、佐竹曙山の所有した西洋銅版画/直武、曙山所蔵の神話図と呼ばれる銅版画と彫刻家ケイセルの海神図/秋田蘭画における透視画法)
◆第4章◆将来されたライレッセ著『大絵画本』の波紋(ヘラルド・ドゥ・ライレッセの生涯/ライレッセの『大絵画本』/将来された『大絵画本』と平賀源内/小田野直武、佐竹曙山と『大絵画本』/ 司馬江漢のコンスト・シキルド・ブーク/森島中良著『紅毛雑話』と『大絵画本』/その後の『大絵画本』)
◆第5章◆司馬江漢と蘭書(司馬江漢の蘭画への志向/日本銅版画創製/江漢の西洋職人像と蘭書『職人ブック』/一角魚は、如何にして描かれたか/長崎遊学後の司馬江漢と蘭書/江漢の西洋画観)
◆第6章◆寛政四、五年、松平定信の入手した西洋銅版画を模写した絵師たち(松平定信の西洋画観/近藤重蔵の巻子本『荷蘭馬具図』?後半部の「蘭版西洋諸国馬図」?/近藤重蔵の巻子本『荷蘭馬具図』?前半部の「西洋馬具図」?/画家兼銅版画家ヨーハン・エリアス・リーディンガー/ リーディンガーの『銅版諸国馬画集』と『トルコ盛装馬』/リーディンガーの『狩人と鷹匠の生業』?若杉五十八とリーディンガー)
◆第7章◆舶載された五点のネーデルラント絵画?ファン・ロイエン花鳥図と石川大浪、谷文晁らの模写?(オランダに注文された五点の油絵/五百羅漢寺に施与された二点の紅毛油絵/紅毛油絵のその後の経過/石川大浪と孟高による「ファン・ロイエン花鳥図模写」/石川大浪と谷文晁の関係/谷文晁による「ファン・ロイエン花鳥図模写」)
◆第8章◆犀の図像的変遷?藤正範の「犀」と谷文晁の「犀」?(江戸時代以前の犀/規範となった犀の図像/ヨンストン著『動物図譜』の犀/江戸時代の犀図)

江戸時代の蘭画と蘭書 -近世日蘭比較美術史- 下巻

刊行年月 2005年03月 定価19,800円 (本体18,000円) ISBN978-4-8433-1163-9 C3071
A5判上製/クロス装/函入

◆第9章◆亜欧堂田善の生(田善の出生/絵画修業/松平定信の海防策と『公余探勝図』/江戸での田善/銅版画技法習得/田善と西洋模刻銅版画/一枚摺り西洋銅版画からの模刻/ 田善と蘭書/江戸風俗銅版画/ 田善最大の仕事、「新訂万国全図」の完成/肉筆洋風画/田善の帰郷)
◆第10章◆蠣崎波響の『南蛮騎士図』と「ネーデルラント一七州」地図(幕府と北方問題/北方問題下の松前藩と蠣崎響/『大選帝侯アトラス』/『大選帝侯アトラス』の第一〇図/蠣崎波響の『南蛮騎士図』)
◆第11章◆安田雷洲の「捕鯨図」と地理学(雷洲の生涯/雷洲の「捕鯨図」)
◆第12章◆出島絵師川原慶賀の「和蘭陀芝居図巻」と「出島俄芝居図」(ヤン・コック・ブロムホフの来日と二点の「ブロムホフ家族図」/文政三年九月一七日、一〇月一三日、二〇日、二二日の出来事/「性急者」と「二人猟師乳汁売娘」の写本と表現)
◆第13章◆シーボルトの江戸参府に随行した川原慶賀(江戸参府前のシーボルトと川原慶賀/大著『日本』における石版画挿図と原図/江戸への往路/江戸での川原慶賀/江戸からの復路)
◆第14章◆雪華模様とマルティネト著『格致問答』(描かれた雪華模様/マルティネト著『自然の教説問答』/普及したマルティネトの蘭書/蘭学者鷹見泉石/蘭画家鷹見泉石/猪俣昌之の『雪の説』とマルティネト著『格致問答』/『雪華図説』と『続雪華図説』/鷹見泉石所蔵のオッテンス「新世界全図」)
◆第15章◆渡辺崋山の西洋画と蘭書(西洋画学習以前/西洋画研究と蘭書/情報蒐集と蘭書の活用/蟄居後の絵画制作)
◆第16章◆何故、ナポレオンの肖像は描かれたか(ナポレオン時代のヨーロッパ情報/頼山陽の「仏郎王歌」/天文台でのナポレオン追究/『那波列翁伝初編』の原本/ナポレオンの肖像、描かれる)
◆第17章◆幕府直轄学校時代の川上冬崖(蕃書調所創立/蕃書調所と冬崖/冬崖と『ロビンソン・クルーソー』/冬崖、長崎海軍伝習生となる/冬崖、蘭書『世界周航日本への旅』の挿絵を模写す/画学局の設置/画学局の教導と冬崖/文久、慶応年間の冬崖/冬崖と西洋画)
◆総索引◆
◆初出一覧◆