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近代台湾都市案内集成 全20巻

シリーズ・近代アジアの都市と日本
近代台湾都市案内集成 全20巻

[監修・解説] 栗原純 [監修・解説] 鍾淑敏

揃定価363,000円(揃本体330,000円) 
ISBN 978-4-8433-4229-9 C3325
A5判/上製/クロス装/函入
刊行年月 2013年07月

関連情報

本書の内容

近代日本人の「台湾イメージ」の探究と日台関係史研究のための基礎的文献集。

【監修にあたって】 東京女子大学教授 栗原 純/中央研究院台湾史研究所副所長 鍾 淑 敏

 台湾は、日清戦争により獲得された日本帝国最初の植民地である。日本はその後、対外戦争を繰り返し、関東州・樺太南部、朝鮮、南洋群島とその支配を拡大し、やがて「満洲国」の建国にいたる。台湾は帝国日本の原点となる海外領土であった。  
 統治初期、日本の支配は住民による激しい武力的抵抗を受け、また、ペストやマラリアなど感染症の犠牲者を多く出したため、「瘴癘(しょうれい)の地」という印象を内地の者に与えたが、19世紀末の台湾は茶・砂糖・樟脳の国際的な産地であり、米を中国大陸に移出するなど、豊壌の地であり、その領有は大きな経済的意義を有していた。  
 また、台湾は、香港・上海を拠点とするイギリス、フィリピンに進出したアメリカ、東インドを領有するオランダなどの列強の勢力圏に近接しており、日本の「南進基地」という戦略的に重要な位置を占め、1930年代には工業化も本格的に推進されていく。  
 統治に当たり、台湾総督府は島内の政治的統制、産業の発展を意図してインフラ整備を重視し、縦貫鉄道の敷設に邁進する。本シリーズが総督府鉄道部の編集した『鉄道案内』から始まることには、統治の根幹として建設された鉄道網に沿って各地が発展してきたという歴史的背景がある。  
 第二回配本では、鉄道沿線の観光案内にとどまらず、台湾の自然、産業、歴史、社会などについて記された内容のものを収録しており、現地在住の知識人や内地からの旅行者により描かれた台湾の近代的発展過程をうかがうことができる。台湾はほぼ真ん中を北回帰線が通ることから、「南国」・「常夏」と称されるが、富士山よりも高い山々の存在する台湾の気候、自然は多様であり、農産物も北部の茶、中部の米、南部の砂糖など、地域による特産品が知られている。  
 さらに第三回配本は、代表的な都市の清代から現代までの歴史、発展をまとめた各地方史を中心とする。台北は19世紀後半、茶の集散地として発展し、その後、政治的中心地となり、基隆は港湾都市、台南は歴史遺産の残る古都などの特徴がみられ、台湾社会は複雑で多面的な顔を持つことが理解できると思われる。  
 台湾は日本領土であり、しかも「外地」であった。本シリーズの復刻が内地における「外地」台湾の印象、日本帝国内における台湾の持つ歴史的性格についてより深く理解する機会となることを願ってやまない。

特色と編纂方針

●本シリーズは3回の配本に分け、旅行、地理、民俗等の視点から台湾を紹介した資料を収録。第1回では、鉄  道網の拡大と沿線地域の発展を記録したガイドブック、『台湾鉄道旅行案内』の初回版と最終版ほか6冊を復刻。
●第2回では、日本人の台湾イメージの変遷を探る手掛かりとして、明治から昭和にかけて台湾へ渡航した日本  人の手記や、旅行案内等を収録。また、総督府が参考資料として編纂した地誌類もあわせて収録。
●第3回では、これまで注目される機会の少なかった花蓮、高雄等の地方都市を中心に、定住した日本人が各地 域での発展を図った足跡を示す資料を収録。また、台湾への農業移民に関して、総督府の発行した移住案内や事業報告書等の資料を最大限収集し、移民事業の全体像がつかめるよう配慮した。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第1回配本・全6巻 『台湾鉄道旅行案内』シリーズ

刊行年月 2013年07月 揃定価90,200円 (揃本体82,000円) ISBN978-4-8433-4230-5

『台湾鉄道旅行案内』とは、台湾総督府交通局鉄道部(後に日本旅行協会台湾支部等)が数年おきに編集し刊行した鉄道を中心とするガイドブック。大正5(1916)年に刊行され、その後、昭和17(1942)年まで12版が刊行された。版を追って記述が詳細となる。また、一連のガイドブックによって、日本統治後半期の鉄道網の拡大とそれに伴う沿線区域の発展が見てとれる。巻末の広告も興味深い。旅行案内にとどまらず、台湾社会の変容を具体的に読み取れる最良の台湾案内である。今回、初版と最終版、そしてその間の画期となる三つの版を収める。さらに『台湾鉄道旅行案内』の前身に当たる台湾総督府鉄道部が最初に発行したガイドブックである、『台湾鉄道名所案内』も収録した。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第1巻 台湾鉄道名所案内 1908年

刊行年月 2013年07月 定価11,000円 (本体10,000円) ISBN978-4-8433-4233-6

台湾総督府鉄道部編(1908年・江里口商会)

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第2巻 台湾鉄道旅行案内 1916年

刊行年月 2013年07月 定価11,000円 (本体10,000円) ISBN978-4-8433-4234-3

台湾総督府交通局鉄道部編刊(1916年)

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第3巻 台湾鉄道旅行案内 1923年

刊行年月 2013年07月 定価17,600円 (本体16,000円) ISBN978-4-8433-4235-0

台湾総督府交通局鉄道部編刊(1923年)

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第4巻 台湾鉄道旅行案内 1930年

刊行年月 2013年07月 定価19,800円 (本体18,000円) ISBN978-4-8433-4236-7

台湾総督府交通局鉄道部編刊(1930年)

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第5巻 台湾鉄道旅行案内 1940年

刊行年月 2013年07月 定価17,600円 (本体16,000円) ISBN978-4-8433-4237-4

日本旅行協会台湾支部編刊(1940年)

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第6巻 台湾鉄道旅行案内 1942年

刊行年月 2013年07月 定価13,200円 (本体12,000円) ISBN978-4-8433-4238-1

台湾総督府交通局鉄道部編(1942年・東亜旅行社台湾支部)

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第2回配本・全6巻 台湾全般の案内記

刊行年月 2014年02月 揃定価118,800円 (揃本体108,000円) ISBN978-4-8433-4231-2

初期の新領地の民俗社会研究から近代的整備を経たあとの台湾観光ガイドまでを収録。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第7巻 台湾案内/台湾南支事情

刊行年月 2014年02月 定価16,500円 (本体15,000円) ISBN978-4-8433-4239-8

●台湾案内 入江英(1897年・東陽堂)
領有直後は実態不明であった台湾について、陸軍の嘱託を受けた著者が、沿岸部から高山まで「蕃人の言を誦」しながら調査した報告書。地理、交通、産業、先住民等についての簡便な説明が主であるが、巻末には先住民の言語一覧を附し、実地へ赴く者への便を図っている。
●台湾南支事情 藤崎精四郎(1918年・台湾案内社)
日本の国策にとって重要な台湾及びその貿易相手である華南地域の現状を紹介するために編纂された、と本書中で述べる。福州、アモイ、汕頭、香港などの華南地域の経済状況を記し、台湾に関しては、銀行、製糖、製脳、新聞等の153社の所在地や経営者、経営状況などを簡便に説明する。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第8巻 台湾名勝旧蹟誌

刊行年月 2014年02月 定価31,900円 (本体29,000円) ISBN978-4-8433-4240-4

杉山靖憲(1916年・台湾総督府)
名勝旧蹟の記録が散在していることに鑑み、総督府の命によって編纂される。城跡、記念碑、公園、滝等の330余りの名勝について地理、歴史的経緯を豊富な写真とともに紹介。著者は、日本、中国、オランダ等の文献を綿密に検討した上に、実地調査も行っているため、信憑性の高い資料となっている。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第9巻 台湾の風景

刊行年月 2014年02月 定価11,000円 (本体10,000円) ISBN978-4-8433-4241-1

田村剛(1928年・雄山閣)
著者は、「日本の国立公園の父」と呼ばれた林学博士。本書は、台湾総督府から公園調査を依頼されて訪れた台湾の紀行文。その帰途に不慮の事故に遭い、療養中の苦痛から逃れるために執筆したと田村は序文で述べる。しかし、専門家の鋭い視点が随所に光り、台湾公園史、観光史研究にとどまらない台湾都市研究においても欠かせない文献である。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第10巻 常夏之台湾

刊行年月 2014年02月 定価12,100円 (本体11,000円) ISBN978-4-8433-4242-8

加藤駿(1928年・常夏之台湾社)
統治から30年余りが経過したにも関わらず、日本本土で台湾が十分に理解されていないため、旅行者の羅針盤とする目的で書かれた。台湾の温暖な気候や産業の発展、農業の豊作等を伝える他、旅行上の注意、航路や鉄道の利用法、旅費の概算から現地花柳界までを、写真付きで紹介する。台湾への渡航が一般化し始めた時期を示す資料である。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第11巻 台湾の旅/台湾旅行の栞/趣味の台湾

刊行年月 2014年02月 定価19,800円 (本体18,000円) ISBN978-4-8433-4243-5

●台湾の旅 台湾教育会(1927年)
冒頭の例言で、昭和2年11月、台北で開かれた全国師範学校長会議の台湾視察の参考資料として編まれたことが記される。視察目的に即して綴られるが、一般にも相当役立つものを目指したとも書かれ、主要都市の地図も附す。役立つ工夫が凝らされた旅行ガイド。
●台湾旅行の栞  宮前嘉久蔵(1934年・東西旅行案内所)
「本書は台湾が如何に天恵に富み、久住の地として好個であるかと云ふ事を内地の人々に知らす事と台湾旅行者の便に供する目的で発刊した」と、はしがきで述べる。気候など基本的な説明から、「台湾一周日程」やそのモデルケースなどを明示する。昭和初期にはすでに日本本土からの台湾への観光コースが確立していたことが分かる。  
●趣味の台湾  宮川次郎(1941年・日本旅行協会台湾支部)
著者は台湾では著名なジャーナリストで趣味人としても知られる。序で、「本書は趣味より観たる台湾で、未だ曾て試みられなかった新形式の台湾紹介」であり、「趣味的角度より観る時は、如何に親しむ可く、如何に愛す可き郷土であるか」という。台湾の玩具、料理、文化等についての珍しいエッセイ。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第12巻 南部台湾誌

刊行年月 2014年02月 定価27,500円 (本体25,000円) ISBN978-4-8433-4244-2

台南州共栄会編刊(1934年)
本書は明治期の官撰地方誌に、新たに増補を加えたものである。清朝時代の文献に依拠して、各地域の沿革、行政、習慣等、他の公式記録には見られない事蹟を伝えている。「南部」と題しているものの記述は全島に及んでおり、領有初期の台湾を知るのに恰好の資料である。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第3回配本・全8巻 台湾各地域・都市の案内記

刊行年月 2015年05月 揃定価154,000円 (揃本体140,000円) ISBN978-4-8433-4232-9

台湾の各都市・地域の都市案内を収める。1920年代・30年代の日本統治による都市整備が一応の安定を得た時期の、公的機関発行の資料的案内を中心に収める。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第13巻 東台湾

刊行年月 2015年05月 定価19,800円 (本体18,000円) ISBN978-4-8433-4764-5

橋本白水(1922年・南国出版協会)
橋本白水は新聞記者として台湾東部について多くの著作を遺した人物である。特に本書は代表的なものであり、前半では鉄道部長や花蓮港庁長等、各界の有力者へのインタビューを通じて発展の方策を探り、後半では大正期台湾東部の現状を紹介する。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第14巻 台湾総督府官営移民事業報告書

刊行年月 2015年05月 定価29,700円 (本体27,000円) ISBN978-4-8433-4765-2

台湾総督府編刊(1919年)
台湾総督府は官営事業として1909年から18年にかけて台湾東部への農業移民を奨励していた。本書はその終了にあたって編纂された報告書であり、多数の写真や統計資料とともに、土地の区画整理、移民の募集、農産の増収等、事業の成果を強調する一方で、先住民との軋轢や風水害等による移民事業継続の難しさをも暗示している。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第15巻 台湾に於ける母国人農業植民 東部台湾開発研究資料 第3輯

刊行年月 2015年05月 定価15,400円 (本体14,000円) ISBN978-4-8433-4766-9

赤木猛市(1929年・台湾総督府)
総督府殖産局農務課の職員赤木猛市が編纂した資料を参考用として出版したもの。官営、私営、拓殖会社等の各種移民事業の概要、及びその詳細な財務数値や事業関係者の氏名、関係法規類等の情報を含み、20年を迎えた移民事業を回顧する際に、必須の資料となっている。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第16巻 台湾官営移住案内/三移民村/吉野村概况 官営移民村/大和村建設志

刊行年月 2015年05月 定価16,500円 (本体15,000円) ISBN978-4-8433-4767-6

●台湾官営移住案内 台湾総督府殖産局編(1913年・台湾総督府殖産局)
大正初期に移住希望者を募集するために作成されたものであり、移住者への注意書きに加えて台湾を理想的な土地に見せようとする内容が興味深い。  
●三移民村 花蓮港庁編刊(1928年)
花蓮港庁にあった吉野村、豊田村、林田村について昭和初期の開墾や生産の状況を平易な文章で伝えるほか、「移民の感想」と題して入植者の手記を掲載しており、生の声として貴重である。  
●官営移民村 吉野村概况 吉野村編刊(1939年)
経営が安定してきた昭和十年代の報告書である。配分された土地の開墾がほぼ完了した時期であり、土地利用の状況や生産高の統計を含み、農業移民の最終的な結果を示す。  
●大和村建設志  郡茂徳編(1942年・保證責任大和村建築信用購買利用組合)
大和村とは、台中市郊外で1938年から建設が始まった日本人向けの高級住宅地であり、出版時には90戸が完成していた。本書は建設の主体となった組合の年表、財務、規約、建築様式等の資料や住民の感想等を採録しており、銀行支店長や会社役員など、台湾における有力者であった日本人の生活の一端を窺わせる貴重な記録である。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第17巻 台北市史

刊行年月 2015年05月 定価31,900円 (本体29,000円) ISBN978-4-8433-4768-3

台湾通信社編刊(1931年)
台北市政十周年を記念して台湾通信社が編纂した資料。台湾領有から1930年代始めまでの歴史を綴っているが、内海忠司市尹による序文に表れているように、特に衛生や水道、教育、治安等、民生の改善を強調する内容になっている。巻末に詳細な年表と統計を附す。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第18巻 新興台湾の工場を視る 高雄編

刊行年月 2015年05月 定価11,000円 (本体10,000円) ISBN978-4-8433-4769-0

稲岡暹(1936年・高雄新報社)
1935年から36年にかけて『高雄新報』に連載された高雄の工場の見学記をまとめたもの。セメント、製鉄、炭酸、肥料、アルコール等の重工業を中心に各工場の豊富な写真と、現場担当者へのインタビューを多く含み、産業史資料としての価値は高い。なお、「高雄編」以外の続刊は確認できない。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第19巻 澎湖を古今に渉りて/美濃庄要覧

刊行年月 2015年05月 定価15,400円 (本体14,000円) ISBN978-4-8433-4770-6

●澎湖を古今に渉りて 杉山靖憲(1925年・澎湖三十周年招魂大祭奉賛会)
澎湖諸島の領有30年を記念して作成された。前半では漢文史料に基づきながら、倭寇、鄭成功、日清戦争等にまつわる澎湖の事績を概述し、後半では1920年代の社会状況を紹介、巻末に媽祖廟やクールベー中将の墓等、史蹟の解説を附す。下関条約で台湾本島とともに割譲された澎湖諸島の歴史を知る上で有用である。  
●美濃庄要覧 美濃庄役場編刊(1938年)
現在、高雄市の一部となっている美濃庄(竹頭角)の1930年代の情況をまとめた公式資料。同類の資料に見られるように、行政や経済、教育についてのデータを掲載しているが、産業の中心は稲作と養豚であり、当時は一山村に過ぎなかったことを示す。観光地として有名な同地の過去の姿を知る上で貴重な資料である。

シリーズ・近代アジアの都市と日本 近代台湾都市案内集成 第20巻 史蹟名勝天然紀念物調査資料 

刊行年月 2015年05月 定価14,300円 (本体13,000円) ISBN978-4-8433-4771-3

内務局編刊(1931年)
台湾において注目すべき史蹟等について、各州庁の調査記録に基づき編纂したもの。山岳や石碑・寺廟の所在地、所有者、由来等、300件余りについて簡便な解説を加えている。日本領有後に作られた神社や軍人の記念碑等も多く、総督府の歴史観を探る上で手がかりとなる。