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くどきぶしの世界【new!】

くどきぶしの世界【new!】

[編著] 倉田喜弘

定価4,180円(本体3,800円) 
ISBN 978-4-8433-5952-5 C3073
A5判/上製/カバー装
刊行年月 2020年12月(予定)

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本書の内容

地震、悪疫、黒船、戦争、
経済、信仰、道中、心中、
佐倉宗吾、国定忠治、高橋お伝………。
幕末・維新期の
世相を伝える、
有力メディアの全貌。

幕末維新期の世相を歌った貴重な七七調の摺物「くどきぶし」を精選

目次

【一】地 震
一 北越地震口説(越後地震) 文政十一年
二 信州ぢしんやんれぶし(善光寺地震) 弘化四年
三 大坂下りなまづのかるわざ(香具師の口上) 安政二年
四 信州ぢしんやんれぶし(善光寺地震) 弘化四年  
五 相州小田原箱根地震くどき 嘉永六年
六 東海道五ヶ国地震くどき 嘉永七年
七 東海道大ぢしんくどきぶし 同・・
八 江戸大火ぢしんくどき(安政地震) 安政二年
九 吉原名よせ大地震やけはらくどき 同・・
*聖代要廼磐寿恵(災害番付)
【二】火 災
一〇  新板お七吉三くどき(明暦大火)
一一  火の要慎やんれぶし 弘化三年
一二  東京大火しんぶん  明治十二年
【三】風水害
一三  新板大あらしくどきぶし 安政三年
一四  江戸大風出水くどき 同・・
【四】病 気
一五  江戸近在近ごく悪病くとき(コレラ) 安政五年
一六  流行はしかくどきやんれぶし 文久二年
【五】信 仰
一七  金毘羅御利生記くどき
一八  新板源治くどきぶし(善光寺詣り) 弘化四年
【六】道中記
一九  日光道中恋ぢくどきぶし
二〇 東海道五十三次やんれぶし恋の道中
【七】世 相
二一 天日坊稚口説やんれぶし(御落胤騒動)
二二 平井権八くどき
二三 おん獅子がりやんれぶし 嘉永二年  
二四 新板浮世悪とうくどき(勢力富五郎)
二五 上州国貞むら忠治くどき(国定忠治)
二六 阿波鳴門順礼口説             
【八】開 国
二七 蒸気船茶殻口説(黒船来航) 嘉永六年
二八 此浦ぶねひやうばんくどき(同右) 同・・
二九 流行新板ひよふばんくどき 嘉永七年
三〇 しん板交易くどき(横浜開港) 安政六年
三一 弥生の雪桜田くどき(桜田門外の変) 明治十一年
【九】経 済
三二 長者銭屋一代くどき(銭屋五兵衛)
三三 東海道金銭くどき(天保通宝) 文久元年
【十】伝 承
三四 佐倉宗吾一代くどき
三五 しん板あんちんきよひめくどきふし
【十一】治 安
三六 常州湊たむろくどき節(天狗党)
三七 上野戦争くどき(彰義隊)
三八 鹿児島太平くどき(西南戦争) 明治十年
三九 鹿児島口説やんれぶし(西南戦争) 明治十一年
【十二】女三題
四〇 浅草御蔵前女のあだ打くどきぶし(女の仇討) 嘉永六年 
四一 奥州笠松峠女盗賊くどき(鬼神のお松)
四二 高橋おでんくどき 明治十三年
【十三】心 中
四三 鈴木もんどしら糸くどき(鈴木主水)
【十四】ちょぼくれ
四四 よぼくれ武士 嘉永七年
四五 ちよぼくれちよんがれ 安政二年
四六 時務作ちよぼくれ節 安政四年
四七 あべこべもんのちよぼくれ 万延元年
【十五】参考資料 
   くどき節の今昔(『佐渡新聞』) 明治四十五年

本書の特色

●編著者が収集したものの内、貴重と思われる四十七の作品を翻刻して収録。
●注を加え、事件の背景など参考事項も付記。専門家以外にも手に取りやすくした。
●幕末から明治にかけて、当時の庶民の興味関心事を伺うことができる。
●同類の「ちょぼくれ」や、くどき関連の新聞記事など、参考資料も充実。

倉田喜弘(くらた・よしひろ)一九三一年、大阪市生まれ。大阪市立大学経済学部卒。NHKに勤務。編著書:『一八八五年ロンドン日本人村』(朝日新聞社・一九八三年)、『日本近代思想大系18芸能』(岩波書店・一九八八年)、『近代日本芸能年表』全二巻(ゆまに書房・二〇一三年)、『川上音二郎欧米公演記録—付・貞奴の女優養成—』(ゆまに書房・二〇二〇年)、ほか多数。

刊行にあたって     倉田喜弘


 江戸時代の後期から明治末までのおよそ百年間、薄葉の摺物が多数出回った。「かわら板」ともいう。その中には、地震、火事、風水害などの天変地異、「コレラ」や「はしか」といった疫病の流行、さらに驚天動地の黒船来航もある。多彩な摺物の中には小説もあるが、「くどきぶし」ないし「くどきやんれぶし」と表題の付いた印刷物を集めてみた。
 歌詞はすべて七七調だけに、朗読に近い単純なフシ回しであっただろうと推測している。なお作品の最後は、「やんれ」あるいは「やんれエ」としめくくるので、「やんれぶし」とも「やんれエぶし」ともいう。
 「くどき」の普及は江戸末期の弘化、嘉永以降であろうが、書店や街角で売られたという。ちょうど黒船が来航し、日本国内では開国攘夷の嵐が吹き荒れた時代である。そして数十年後の明治末期に至るまで、「くどき」は出版され続ける。たとえば新聞小説の「金色夜叉」や「不如帰」、それに当時流行した義太夫節の「傾城阿波鳴門」などが、七七調の文体に変えられている。
 この、庶民に広く浸透した「摺物」は当時の有力なメディアであり、近代の新聞や芸能の源流の一つではないかと考えられるのである。