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日中戦争期「対日協力政権」 全10巻【new!】

日中戦争期「対日協力政権」 全10巻【new!】

[監修・解説] 関 智英

揃定価209,000円(揃本体190,000円) 
ISBN 978-4-8433-5757-6 C3321
A5判/上製/カバー
刊行年月 2020年07月(予定)

関連情報

本書の内容

「漢奸」と呼ばれ、 戦後忘れ去られた人々の理想とは いったい何であったのか? 「傀儡」とされてきた人々の 主体性に寄り添い、歴史観の転換を促す、 占領下中国に関する資料を集成。

刊行にあたって     関 智英

 日中戦争や上海史で先駆的な成果を残した古厩忠夫は、日中戦争を検討する際、延安・重慶・南京の三点から俯瞰するべきと指摘した。言うまでもなく、延安は毛沢東率いる中国共産党、重慶は將介石の重慶国民政府、そして南京は汪精衛の国民政府(汪政権)に代表される日本占領地を、それぞれ象徴的に示している。三つの勢力の関係は時期によって変化し、必ずしも均衡ではなかったものの、日中戦争を立体的に見る上で有効な提言である。
 しかしこうした視角が広く受け入れられるようになったのは最近のことである。とりわけ占領地に在った協力者に関する研究は長らく進まなかった。戦後大陸を支配した中国共産党率いる中華人民共和国も、台湾に移った中国国民党率いる中華民国も、ともに日中戦争の勝利をもって、自らの統治の正統性を担保してきた以上、日本と協力した中国人は、「漢奸」—漢民族の裏切り者—との否定的評価を免れることはできなかったのである。
 この影響は日本の学術界にも及んだ。戦後、研究者の関心は中国共産党の動向に向けられ、中国人協力者を肯定的に見ていたのは交流のあった旧軍人・外交官といった関係者か、保守系論壇に分類される人々の一部に限られていた。たとえ学術研究で占領地や協力者が取り上げられたとしても、そこで着目されたのは日本の支配を受け入れた被支配者としての側面であり、協力者が日本軍の占領という制限下にありながらも、彼らなりの意図や将来の構想をもって協力した、といった彼らの主体性に即した理解は欠落したままだったのである。
 本集成が扱うのは、こうした対日協力者や占領地を理解する上で欠くことのできない日本語刊行物群である。日中戦争勃発前夜に成立した冀東政府から蒙疆政権・維新政府・汪政権に関するものまで広く網羅し、出版地は日本国内のみならず、張家口・天津・上海・杭州・南京・武漢と占領各地に亘っている。発行部数は数千に及んだものもあるが、外地で刊行されたものはもちろん、日本国内で発行されたものも、時局性が強いが故に戦後はほぼ忘れられ、現存数は限られている。加えて紙資源が逼迫していた時期に刊行されたものも多いため、本刊行は資料の保存・継承という点でも意義ある企画と言えよう。
 全体は大きく二つの系統に分かれる。一つは『冀東綜覧』『蒙疆読本』『察南自治政府史』『維新教育概要』『浙江省経済便覧』といった、主に日本人が占領地政権やその施策について紹介・概説した刊行物である。いずれも年鑑類では把握できない、各政権に即した情報の宝庫である。もう一つは、『孔子論』(池宗墨)・『亜細亜の明日を語る』(王子恵)・『新中国の建設』(温宗堯)・『新生中国の政治指標』(伍澄宇)など、政権当事者の考えが直接現れた刊行物である。彼等が如何なる意図を持っていたのかを知る上で必見の資料と言えよう。
 本集成の刊行によって、日中戦争はもちろん、広く中国社会に対する理解が深まることを願っている。 
(津田塾大学学芸学部准教授)

【本書の特色】

●1930〜40年代、中国各地で設立された「対日協力政権」に関する公式・非公式資料を収集・復刻。
●抗戦陣営と袂を分かち、また、日本の占領下にあっても主体性を保とうとした、各政権の実像を探る手がかりとなる。
●第1〜6巻では、冀東防共自治政府、察南自治政府、蒙古聯合自治政府、中華民国維新政府、中華民国国民政府(汪兆銘政権)等の概要を示す資料を収録し、信頼度の高い情報を提供する。
●第7〜9巻では、池宗墨、伍澄宇、温宗堯ら各政権の理念を支えた人物の著作を収録し、彼らの思想史的な位置づけを可能にする。
●第10巻では、汪政権における政治宣伝に関する資料を収録するほか、監修者による解説を付し、シリーズ全体を俯瞰する。

●特におすすめしたい方● 
中国・日本近現代史研究者、植民地史研究者、各大学の図書館、公共図書館など。

【本書の収録文献】

●第1巻『北支那 臨時増刊 冀東自治一週年紀念号』 高木翔之助編・北支那社発行/1936年
    『冀東政権の正体』 高木翔之助著・北支那社発行/1937年
    『冀東から中華新政権へ』 高木翔之助著・北支那社発行/1938年
●第2巻『冀東綜覧 北支経済資料』増補版 神田隆介著・東洋事情研究会、巌松堂書店発行/1937年
●第3巻『蒙疆読本』 小林知治著・国防攻究会発行/1939年
    『察南自治政府史』 察南政庁資料科編・察南政庁発行/1941年
●第4巻『維新教育概要』 維新政府教育部顧問室編・発行/1940年
●第5巻『国民政府要覧 昭和十七年・中華民国三十一年版』 新武漢社編・発行/1942年
●第6巻『華北合作社運動史』 福田政雄著・華北合作事業総会発行/1944年
    『浙江省経済便覧』 浙江省連絡部編・浙江省連絡部第二科発行/1944年
●第7巻『孔子論』 池宗墨著・新東洋社、東洋事情研究会発行/1936年
    『王道経綸論集』 池宗墨著、川崎三郎編・大東亜協会発行/1941年
●第8巻『亜細亜の明日を語る』 王子恵著・亜細亜書房発行/1938年
    『盟邦の友へ』 林柏生著・藤田秀雄訳・郁文社発行/1942年
    『新生中国の政治指標』 伍澄宇著・宮坂政治訳・泉書房発行/1944年
●第9巻『中日事変各要点詳論』 温宗堯著・出版者不明/1939年
    『誅將救国論 全世界に告ぐ』 温宗堯著・昭和書房発行/1939年
    『新中国の建設』 温宗堯著・徐本謙訳・東亜公論社発行/1940年
●第10巻『中国新聞の理念と批判』 中華民国政府宣伝部中央報業経理処編・発行/1941年
    『大東亜戦争と新聞工作』 中華民国政府宣伝部中央報業経理処編・発行/1942年
    『新聞の組織と其の実践』 中華民国政府宣伝部中央報業経理処編・発行/1942年
      解 説

日中戦争期「対日協力政権」 第1回配本 全5巻

刊行年月 2020年07月(予定) 定価105,600円 (本体96,000円) ISBN978-4-8433-5758-3 C3321

日中戦争期「対日協力政権」 第1巻 北支那 臨時増刊 冀東自治一週年紀念号(高木翔之助編)/冀東政権の正体(高木翔之助)/冀東から中華新政権へ(同)

刊行年月 2020年07月(予定) 定価22,000円 (本体20,000円) ISBN978-4-8433-5760-6

『北支那 臨時増刊 冀東自治一週年紀念号』 高木翔之助編・北支那社発行/1936年
『冀東政権の正体』 高木翔之助著・北支那社発行/1937年
『冀東から中華新政権へ』 高木翔之助著・北支那社発行/

日中戦争期「対日協力政権」 第2巻 冀東綜覧 北支経済資料(増補版・神田隆介)

刊行年月 2020年07月(予定) 定価22,000円 (本体20,000円) ISBN978-4-8433-5761-3

『冀東綜覧 北支経済資料』増補版 神田隆介著・東洋事情研究会、巌松堂書店発行/1937年

日中戦争期「対日協力政権」 第3巻 蒙疆読本(小林知治)/察南自治政府史(察南政庁資料科編)

刊行年月 2020年07月(予定) 定価16,500円 (本体15,000円) ISBN978-4-8433-5762-0

『蒙疆読本』 小林知治著・国防攻究会発行/1939年
『察南自治政府史』 察南政庁資料科編・察南政庁発行/1941年

日中戦争期「対日協力政権」 第4巻 維新教育概要(維新政府教育部顧問室編)

刊行年月 2020年07月(予定) 定価26,400円 (本体24,000円) ISBN978-4-8433-5763-7

『維新教育概要』 維新政府教育部顧問室編・発行/1940年

日中戦争期「対日協力政権」 第5巻 国民政府要覧 昭和十七年・中華民国三十一年版(新武漢社編)

刊行年月 2020年07月(予定) 定価18,700円 (本体17,000円) ISBN978-4-8433-5764-4

『国民政府要覧 昭和十七年・中華民国三十一年版』 新武漢社編・発行/1942年

日中戦争期「対日協力政権」 第2回配本 全5巻

刊行年月 2021年01月(予定) 定価103,400円 (本体94,000円) ISBN978-4-8433-5759-0 C3321

日中戦争期「対日協力政権」 第6巻 華北合作社運動史(福田政雄)/浙江省経済便覧(浙江省連絡部編)

刊行年月 2021年01月(予定) 定価29,700円 (本体27,000円) ISBN978-4-8433-5765-1

『華北合作社運動史』 福田政雄著・華北合作事業総会発行/1944年
『浙江省経済便覧』 浙江省連絡部編・浙江省連絡部第二科発行/1944年

日中戦争期「対日協力政権」 第7巻 孔子論(池宗墨)/王道経綸論集(池宗墨著・川崎三郎編)

刊行年月 2021年01月(予定) 定価16,500円 (本体15,000円) ISBN978-4-8433-5766-8

『孔子論』 池宗墨著・新東洋社、東洋事情研究会発行/1936年
『王道経綸論集』 池宗墨著、川崎三郎編・大東亜協会発行/1941年

日中戦争期「対日協力政権」 第8巻 亜細亜の明日を語る(王子恵)/盟邦の友へ(林柏生著・藤田秀雄訳)/新生中国の政治指標(伍澄宇著・宮坂政治訳)

刊行年月 2021年01月(予定) 定価25,300円 (本体23,000円) ISBN978-4-8433-5767-5

『亜細亜の明日を語る』 王子恵著・亜細亜書房発行/1938年
『盟邦の友へ』 林柏生著・藤田秀雄訳・郁文社発行/1942年
『新生中国の政治指標』 伍澄宇著・宮坂政治訳・泉書房発行/1944年

日中戦争期「対日協力政権」 第9巻 中日事変各要点詳論(温宗堯)/誅將救国論 全世界に告ぐ(同)/新中国の建設(同・徐本謙訳)

刊行年月 2021年01月(予定) 定価16,500円 (本体15,000円) ISBN978-4-8433-5768-2

『中日事変各要点詳論』 温宗堯著・出版者不明/1939年
『誅將救国論 全世界に告ぐ』 温宗堯著・昭和書房発行/1939年
『新中国の建設』 温宗堯著・徐本謙訳・東亜公論社発行/1940年

日中戦争期「対日協力政権」 第10巻 中国新聞の理念と批判(中華民国政府宣伝部中央報業経理処編)/大東亜戦争と新聞工作(同)/新聞の組織と其の実践(同)/解説

刊行年月 2021年01月(予定) 定価15,400円 (本体14,000円) ISBN978-4-8433-5769-9

『中国新聞の理念と批判』 中華民国政府宣伝部中央報業経理処編・発行/1941年
『大東亜戦争と新聞工作』 中華民国政府宣伝部中央報業経理処編・発行/1942年
『新聞の組織と其の実践』 中華民国政府宣伝部中央報業経理処編・発行/1942年      解 説