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植民地期台湾の銀行家・木村 匡

植民地期台湾の銀行家・木村 匡

[著] 波形昭一

定価3,080円(本体2,800円) 
ISBN 978-4-8433-5111-6 C1023 NDC:338
A5判/並製/カバー
刊行年月 2017年01月

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本書の内容

幕末に生まれ戦中期まで生きた、一人の植民地銀行家を通して、植民地時代の台湾経済史の実態を詳細に分析。

 木村匡は、幕末の1860年(安政7年)に仙台藩士の子弟として生まれたが、戊辰戦争での負け組みのため、強い志を持ちながらも中央官庁での立身出世の道を阻まれ、未知の新領土台湾の官界=台湾総督府の官僚となった。が、20世紀初頭、学閥がものをいう官界に見切りをつけ、民間での活動に舵を切り替え、三十四銀行台湾総支配人、台湾商工銀行頭取にまで登り詰め、特に台湾商工銀行を内地の上位銀行に引けを取らない銀行にまで育て上げた。しかし、1923年(大正12年)新高・嘉義両行との合併に失敗し多額の不良債権を生んだ責任をとり、1926年(大正15年)郷里に帰還。その後は郷里のために尽くし、宮城県町村長会長の重責をも担い、1940年天寿を全うした。  
 本書は、「植民地銀行家」というキーワードに導かれ、経済史家としての著者の目から木村匡の銀行家としての実績を詳細に分析するとともに、帰郷後の生き方までを射程に入れて描いた、一個人の生涯に寄り添った一大伝記である。  
 そして、その生涯を描くことにより著者は一つの日本近代史を描いた。

●特におすすめしたい方 台湾史、日本近代史、経営史・経済史・企業史の研究者、大学・公共図書館など。

目次

目 次
口絵 木村匡と愛馬巌手号(大正15年3月於台北)
はじめに1
第1章 生い立ちと文部省入省
1―1 生い立ちと青年期の日々11
1―2 文部省入りの経緯26
1―3 文部省での活動29
第2章 台湾総督府官僚への転身と活動
2―1 文部省から台湾総督府へ41
2―2 植民地官僚としての活動51
2―3 台湾総督府を退官55
第3章 三十四銀行台北支店長・台湾総支配人としての活動
3―1 銀行家への転身67
3―2 不良債権整理の強行70
3―3 マスメディア対応の苦心75
3―4 支店経営の立て直し81
3―5 練達の銀行家へ86
第4章 台湾商工・台湾貯蓄両行の合同と頭取就任
4―1 三度目の台湾行き91
4―2 台湾貯蓄銀行と台湾商工銀行の設立経緯93
4―2―1 台湾貯蓄銀行の設立経緯93
4―2―2 台湾商工銀行の設立経緯95
4―3 新・台湾商工銀行の成立と頭取就任101
第5章 台湾商工銀行の経営戦略と業容
5―1 木村頭取の銀行経営姿勢115
5―2 積極的な店舗展開と人事異動117
5―3 内地コルレス網の開拓・拡張126
5―4 預金・貸出金の増進とその構造128
5―4―1 預金128
5―4―2 貸出金136
5―4―3 本支店間の資金調整140
5―5 損益状況と利益金処分146
第6章 銀行合同の失敗と頭取退任
6―1 銀行合同の経緯と合同後の経営不振153
6―2 援助問題と巨額不良債権の発覚163
6―3 巨額不良債権の整理と頭取退任167
第7章 台湾における社会活動―大正協会を事例に―
7―1 大正協会の設立と台湾同化会問題175
7―2 大正協会の設立経緯と活動183
7―3 台湾議会設置請願運動と大正協会191
第8章 帰郷後、晩年における社会活動
8―1 帰郷、桃生郡北村村長に就任199
8―2 (株)仙都ビルの設立と三越の仙台進出209
8―3 吉田高等女学校初代校長に就任220
8―4 東北振興運動から国民精神総動員運動へ223
8―4―1 宮城県町村長会長として東北振興運動の舵とり223
8―4―2 桃生郡連合青年団長として国民精神総動員運動へ228
第9章 驚異の著述・論述活動
9―1 自由民権運動期の論説235
9―2 『森先生伝』に込めた敬慕の情242
9―3 「朗読演説」と著述・論述活動250

おわりに257

木村匡 著述・論述目録267

索引291

NDC:338