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西崖 中国旅行日記

西崖 中国旅行日記

[著] 大村西崖 [編修] 吉田千鶴子 [編修協力] 後藤亮子

定価6,380円(本体5,800円) 
ISBN 978-4-8433-4981-6 C3070
A5判/上製/クロス装/函入
刊行年月 2016年01月

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本書の内容

東洋美術史学の発展に大きく寄与した学者大村西崖が遺した日中文化交流の記録を初めて公刊。

刊行のことば   吉田千鶴子(東京芸術大学教育資料編纂室)

 大村西崖(おおむら・せいがい 一八六八〜一九二七)は明治、大正から昭和にかけて東洋美術史学の発展に大きく寄与した学者である。膨大な著述を成し、学識は国内外に知られており、とくに名著の誉れ高い『東洋美術史』の中国美術の部分は『中国美術史』として中国で今日まで刊行が重ねられている。  
 西崖が念願の中国旅行を果たしたのは晩年の大正十年のことで、同十五年までに引き続き四回中国へ行き、その日記を残した。第一回旅行の日記は非常に記述が詳細で、他は簡略だが、内容の豊富さは圧倒的だ。政治的、社会的に決して平穏とはいえない中国に乗り込んで有力な学者やコレクター、画家のもとを訪ね、所蔵の名画を見、写真師に撮影させ、古書を購入し、その間に遺跡の見学もし、まさに獅子奮迅の勢いで中国美術の膨大な資料を手にしたばかりか、自ら推進していた文人画復興運動の一環として現代文人画家の作品と略歴、潤例をも集めた。帰国するやそれらを東京美術学校その他で展示し、音に聞く名画が実際はどのようなものであるか、また、中国で活躍中の画家はどういう人たちかを初めて日本人に知らせたのであった。  
 西崖が旅行目的を十分果たし得たのは北京の金城、陳師曽、上海の王一亭、呉昌碩、唐熊らを初めとする友人たちや中国通の日本人たちの熱心な協力があったためだ。日記は当時の中国人と日本人の親密な交流のさまを彷彿とさせる。

目次から

・第一回旅行日記 (大正十年十月〜同十一年一月)
・第二回旅行日記(大正十二年四月)
・第三回旅行日記(大正十三年五月)
・第四回旅行日記 (大正十三年十二月〜同十四年一月)
・中国旅行日記巻末覚え書き
・第五回旅行日記 (大正十五年四月〜同年五月)
・中国旅行手記
・人名録
・附録「支那歴遊談」「若いお方に」 (大村西崖)
・解説「西崖と中国」(吉田千鶴子)
前半生の足跡/東洋美術史学・仏教学/文人画復興運動/中国旅行—今関天彭、羅振玉、廉泉、日華絵画聯合展覧会/中国旅行日記/第一回中国旅行—出発〜朝鮮〜北京、金城と陳師曽、上海〜帰国/帰国後の活動—蒐集写真の展示(支那名画写真展覧会)、現代中国画展、図本叢刊/第二回中国旅行—西湖有美書画社/第三回中国旅行/第四回中国旅行/第五回中国旅行/終焉
・解説「中国美術と西崖 —美術史学と美術市場」(後藤亮子)
美術史家西崖/明清絵画の評価と中国美術伝来の波/中国美術市場と西崖/日中文化交流と西崖
・後書き

本書の特色

■東京美術学校教授・東洋美術史研究家大村西崖(一八六八〜一九二七)の中国旅行に関する日記・手記を翻刻(原資料は東京藝術大学所蔵)。 ■日記に登場する人物約三四〇名の情報を掲載(「人名録」)。
■作品撮影・蒐集経緯の記録と、当時の日中両国の美術家・コレクター等美術関係者、文化人との交友録。
■日中戦争までの一九二〇年代日中文化交流史研究の基礎資料。