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戦争の記憶と女たちの反戦表現

戦争の記憶と女たちの反戦表現

[編] 長谷川啓 [編] 岡野幸江

定価2,592円(本体2,400円) 
ISBN 978-4-8433-4783-6 C3091
四六判/並製/320頁
刊行年月 2015年06月

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本書の内容

戦後70年―戦争の危機と核の時代に向けて発信する反戦女性文学論集。

刊行にあたって──

 21世紀を迎え、だれもが戦争も暴力もない世紀の到来を期待したはずだった。だが9・11同時多発テロ以降、アメリカはテロへの報復としてタリバン政権掃討から対イラク戦争へと突き進み、2003年の戦闘終結宣言以降も火種は治まることなくくすぶり続けている。こうした状況のなか、かつて15年戦争において、加害と被害の経験を同時に持つ国であるはずの日本も、アメリカおよび列強への動きに歩を合わせていると言わざる得ない。
 かつて戦争下の総力戦体制下において女性たちもそのほとんどが何らかの形で戦争協力を行った苦い経験を持っている。そうした女性たちと、それを先導した女性作家たちの戦争責任を検証するなかで見えてきたのは、女性たちが二流国民として抑圧されている存在であるからこそ主体的に国策を担い、自らの自己実現や女性解放への希求すらも国家にからめとられていったという皮肉な実態だった。
 しかしその一方で、女性作家たちは、国家の要請からはみ出し、それと抗争する抵抗の表現を紡ぎ出していたことも忘れてはならない。この21世紀の新たな状況を手探りで生き始めた私たちにとって、この1冊が、文学に何ができるかを改めて問いなおす一つの手がかりとなるであろう。

【収録内容】

     <戦時下の抵抗とアジアへのまなざし>
「宮本百合子『鏡の中の月』『雪の後』『播州平野』をめぐって―戦争ファシズムと女性」 岩淵宏子
「平林たい子・『敷設列車』から『盲中国兵』へ―帝国の狭間で消された記憶」 岡野幸江
「佐多稲子のアジアへのまなざし―反復される戦争の記憶と反戦の言説」 長谷川 啓

     <戦争の傷跡と「敗戦」を生きる女たち>
「林芙美子論の試み 厭戦から平和への意志―『雨』『吹雪』『河沙魚』」 尾形明子
「日々の暮らしに根付く反戦メッセージ―壺井栄の『二十四の瞳』と『母のない子と子のない母と』を中心に」 小林裕子
「三枝和子の「女と敗戦」三部作」中山和子

     <「核」の時代と向き合う>
「情緒的反戦意識の行方─被爆作家・大田洋子の場合」 黒古一夫
「ポスト「戦後」の表象─大庭みな子『浦島草』論」 清水良典
「空虚の密度を見つめて─林京子論」 永岡杜人
「米谷ふみ子と反戦─ヒロシマ・ナガサキから〈ふくしま〉以後へ」 北田幸恵

コラム/戦争に関する女性文学年表(沼田真里・編)