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勘定奉行・川路聖謨関係史料 全6巻

江戸幕府勘定所未刊史料集
勘定奉行・川路聖謨関係史料 全6巻

[監修] 大口勇次郎 [解題] 吉川紗里矢

揃定価129,600円(揃本体120,000円) ※分売不可
ISBN 978-4-8433-4625-9 C3321
A5判/上製
刊行年月 2015年12月

関連情報

本書の内容

川路聖謨と勘定所の極めて貴重な未刊史料。

佐渡奉行や奈良奉行、勘定奉行を歴任した川路聖謨の未刊史料と、江戸幕府の財政と地方支配を担った勘定所の未刊基礎史料を併せて収録。

【全巻の構成】
●第1巻●[画入]川路聖謨一代明細書/江州道中記事録/江州庄村地境出入
●第2巻● 御勘定所要録 1
●第3巻● 御勘定所要録 2
●第4巻● 御勘定所要録 3/御勘定所勤方並御代官諸入用拝借等
●第5巻● 御勘定所条例 1
●第6巻● 御勘定所条例 2/贈従四位川路聖謨遺書目録

● 特におすすめしたい方  日本近世史、幕政史、経済史、地域史、村落史、法制史の研究者・研究室、大学図書館ほか。

刊行にあたって お茶の水女子大学名誉教授 大口勇次郎

 川路聖謨(かわじ としあきら、一八〇一〜六八、享和元年〜慶應四年)は、無役の小普請組から身を起こし、勘定方の出役、支配勘定の仕事ぶりを認められ、勘定吟味役に抜擢され、佐渡奉行、奈良奉行、大坂町奉行などを歴任し、嘉永五年には勘定奉行に昇進し海防掛を兼任するなど、幕末の地方行政や外交交渉に功績のあった幕臣である。安政の大獄で失脚、免職・隠居を命ぜられ、その後中風を発症し病床にあったが、江戸開城を前にして割腹のうえ、短銃で自尽したという。  在職中の日記は、刊行されたものも多いので、よく知られているが、ここでは勘定方に勤務中に筆写した『御勘定所要録』など、勘定方が所轄する仕事を遂行するのに必要な先例として多数の触書や行政文書を収めた書物を収録した。  勘定所に保管されていた文書類は散逸し、その全貌を知ることは出来ないが、その内一部分は、これまで勘定方に勤務した人物によって筆写されて今日に伝えられたものがある。  一つは、勘定方で、書類の整理を命ぜられていた大田南畝が、勤務の合間に興味のある古文書を筆写した古文書集で、書物蔵の近くにある竹橋御門の名に因んで「竹橋余筆」と題したものである。もう一つは、幕府の奥右筆や勘定方に勤めた向山誠斎が、勘定方の収蔵庫にある史料を筆写した「向山誠斎雑記」である。南畝や誠斎は、勘定所の収蔵書類を閲覧できる立場を利用して、自らの関心に従って筆写したのであるが、聖謨の場合は、勘定吟味役や勘定奉行として、勘定方の職務を執行する立場から、先例の細部を知るために、  必要があって役所に備付けの書物を筆写して、個人用のものとしたものであろう。「誠斎雑記」にも、延享二年の年次入りの御勘定所勤方目録という類書が見られるが、聖謨が残したものは幕末期に現用されていた書物と思われる。  この他に、聖謨が、近江国の村境争いの裁定のために、現地に赴いた時の「道中記」と「地境出入」一件の史料を収めた。また、聖謨が初めて役所に出仕したときから、晩年に勘定奉行兼海防掛として長崎に向かうときまでの、出勤の姿や公務出張の際の行列の姿を描いた「一代明細書」を収めているが、これは江戸時代の武士の身分を視覚的に表わした記録として貴重であろう。  史料の解題は、川路聖謨の勘定方の仕事に造詣があり、本書の収載史料の選択に携わってこられた吉川紗里矢氏が担当している。

【本書の特色】

●江戸幕府財政を担った勘定所の関係史料
江戸幕府勘定所は、江戸幕府の財政を担い、幕政機構のなかでも重要な役所である。しかし、幕府史料は明治維新の混乱や、関東大震災でほとんどが灰燼に帰してしまった。近年、大野瑞男氏により、大老や老中の家に残された幕府財政史料を中心に『江戸幕府財政史料集成』(上下巻)が編まれた事は画期的であった。今回の史料は、検地・年貢といった幕府の地方支配の根幹に関わる基礎史料を集めたものである。

●勘定所役人の政治常識を知る
今回の史料は、幕末、勘定奉行を勤めた川路聖謨の自筆写本であり、勘定奉行の所轄事務を検地、取箇、道中などに分けた法令を収めた、「御勘定所要録」(東京大学史料編纂所所蔵)を中心とし、その欠文を「御勘定所条例」(東京都公文書館所蔵)で補った。これらの史料から、勘定所役人の政治常識を伺うことが可能である。

●川路聖謨の立身出世模様をカラーで収録
上記の史料を残した川路聖謨の画入一代記も収録する。勘定吟味役、佐渡奉行、小普請奉行、大坂町奉行、勘定奉行などの要職を歴任し、出世していく川路の人生が絵巻物のように観られる貴重資料である。近世の人々が見た幕僚イメージを目の当たりにすることができる。

収録史料

◆『川路聖謨文書』未収録史料
●第一巻●  
一、「[画入]川路聖謨一代明細書」 (全一冊、カラー、宮内庁図書寮文庫所蔵)  
川路聖謨の経歴を絵入りで示した資料。聖謨は勘定所の諸役、評定所留役、勘定吟味役、佐渡奉行、奈良奉行、大坂町奉行、勘定奉行へと立身出世していったカリスマであり、その奈良奉行までの様子が鮮やかな行列図で見て取れる。また、佐渡奉行として日本海を渡る船の行列図は貴重かつ壮麗である。
二、「江州道中記事録」 (全一冊、宮内庁図書寮文庫所蔵)  
三、「江州庄村地境出入」 (全二冊、国立国会図書館所蔵)  
「江州道中記事録」は、川路聖謨が江戸から近江へと出張した文政八年(一八二五)正月二十八日から八月十六日までの日記である。この道中日記は川路史料の中でも最も古く、既刊の『川路聖謨文書』にも未収録であった。彦根藩・宮津藩の村境争論を契機にこの出張は行われ、二十五歳の若き川路聖謨が見事解決した史料である。幕府役人からみた幕府・藩・地域との折衝を垣間見られる史料でもある。「江州庄村地境出入」はその時に用いられた書状などを収録した史料である。

◆川路聖謨旧蔵書の勘定所史料
●第二巻〜第四巻●  
四、「御勘定所要録」 (全一〇冊、東京大学史料編纂所所蔵)  
五、「御勘定所勤方並御代官諸入用拝借等」 (全一冊、宮内庁図書寮文庫所蔵)
●第五巻・第六巻●  
六、「御勘定所条例」(全五冊、東京都公文書館所蔵)  
七、「贈従四位川路聖謨遺書目録」 (全一冊、宮内公文書館所蔵)  
四から六の三点は勘定所の書付・触書・達などの先例を収録した史料。その内容は検地・年貢・普請・金蔵・道中方・寺社修復金・鷹場など多岐に渡る。川路聖謨は勘定所の諸役を歴任した人物であり、その職務を全うする上で役職情報を書き留める必要性があった。川路自筆本は現在、東京大学史料編纂所に「御勘定所要録」十冊、宮内庁図書寮文庫に「御勘定所勤方並御代官諸入用拝借等」一冊が所蔵されている。しかし、今回の出版・調査の過程で、もともとは川路家が上記の両書を「御勘定所要録」十一冊として所有していたことが明らかになった。本書は双方合わせての出版となり、川路家が旧蔵していた状態の完本十一冊を収録する。「御勘定所条例」は内容が川路自筆の「御勘定所要録」に類似した史料であり、その参考資料として収録した。また、「贈従四位川路聖謨遺書目録」は、川路家から宮内省図書寮へ川路聖謨遺書が移管された際に作成された目録である。「昭和五年度 臨時部 用度費 川路聖謨書購入費」(宮内公文書館所蔵)や川路柳虹の『黒船記』によれば、昭和五年、柳虹(聖謨の子孫)が聖謨の研究向上・再評価のために提供した。移管当時の聖謨旧蔵史料の全体像が分かる蔵書目録。