帝国日本と植民地大学
定価13,200円(本体12,000円)
ISBN 978-4-8433-4456-9 C3021
A5判/上製/函入/624頁
刊行年月 2014年02月
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本書の内容
京城帝国大学と台北帝国大学を中心とする日本の植民地大学の制度と理念、学知と機能、そして遺産と外縁を、学際的視点から解明する。
本書は、京城帝国大学と台北帝国大学を中心とする日本の植民地大学の制度と理念、学知と機能、そして遺産と外縁を、学際的視点から解明するものである。帝国日本の植民地高等教育機関については、これまで散発的な言及はなされてきたものの、纏まった本格的研究は限られた範囲でしか存在しなかった。しかしながら、近年ようやく、日本・韓国・台湾において、それぞれの視点から植民地期の知的制度を実証的に解明しつつ、戦後への継承関係を内在的に捉える研究動向が生まれてきている。こうした動向を踏まえたうえで、本書では、実証的な大学史研究としての水準を満たす研究を遂行すると同時に、統治構造や帝国的認識空間の位相を視野に入れた政治的・社会的文脈のなかに植民地大学の機能を位置づけ、問題の広がりの多様性を浮き彫りにすることを目指している。また、第二次大戦終結後の韓国・台湾・日本における高等教育機関や学知への影響や、米国州立大学をモデルにして設立されながら復帰後日本の国立大学として編入された琉球大学の事例など、関連する事例との比較史的視点も重視する。
目次
はじめに 酒井 哲哉
序 章 植民地大学をめぐる研究状況
植民地大学比較史研究の可能性と課題――京城帝国大学と台北帝国大学の比較を軸として 松田 利彦
第Ⅰ部 植民地大学の制度と理念
植民地帝国大学のエートス――台北帝国大学初代総長幣原坦の思想形成 瀧井 一博
植民地に大学ができた!? 呉 密 察
京城帝国大学の創設 松田 利彦
京城帝国大学医学部における「医局講座制」の展開 通堂あゆみ
植民地主義と立憲主義の齟齬と共振――二つの「台大憲法学」を素材に 松平 徳仁
第Ⅱ部 植民地大学の学知と機能
台北帝国大学文政学部の土俗・人種学教室におけるフィールドワーク 中生 勝美
台北帝国大学文政学部南洋史学の成立と展開 松田吉郎・陳 瑜
尾高朝雄と植民地朝鮮 金 昌 禄
「京城」の清宮四郎――『外地法序説』への道 石川 健治
第Ⅲ部 植民地大学の遺産と外縁
大鶴正満と台北帝国大学――ある寄生虫学者の軌跡 飯島 渉
国立ソウル大学校医科大学の成立過程に見る植民地高等教育の「人的遺産」 石川 裕之
研究所という装置――学知における戦争と脱植民地化 酒井 哲哉
京城帝国大学からソウル大学へ
――ランドグラント大学としてのミネソタ大学の関与と米韓関係から見た帝国的遺産 浅野 豊美
琉球大学の「日本復帰」 大浜 郁子
付 録
1・植民地大学関連年表 朝鮮編 石川 裕之
2・植民地大学関連年表 台湾編 松田 吉郎
3・植民地大学文献目録 朝鮮編 通堂あゆみ
4・植民地大学文献目録 台湾編 中生 勝美
5・植民地大学関係アーカイブズ紹介 朝鮮編 通堂あゆみ
6・植民地大学関係アーカイブズ紹介 台湾編 中生 勝美
7・国際日本文化研究センター共同研究会「帝国と高等教育―東アジアの文脈から」一覧
松田 利彦
あとがき 松田 利彦
人名索引
事項索引