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井伏鱒二という姿勢

井伏鱒二という姿勢

[著者] 東郷克美

定価3,080円(本体2,800円) 
ISBN 978-4-8433-4098-1 C3093
四六判/上製/カバー装/320頁
刊行年月 2012年11月

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本書の内容

文学的精進を続けた文豪・井伏鱒二の全文業に迫る

 大正・昭和・平成、三代にかけて、倦まず弛まず文学的精進を続けた文豪・井伏鱒二の全文業に迫る。
 処女作「幽閉」(名作「山椒魚」の原型、大正一二年)から不朽の名作「黒い雨」(昭和四一年)、晩年の大作「鞆ノ津茶会記」(昭和六一年)まで、井伏文学の主要作品・詩を論じている。
 昭和初期、井伏文学は「余裕と飄逸とユーモアの文学」と評されたが、太平洋戦争を挟んで、大きな変貌を遂げてゆく。戦後の井伏は鋭い現実批判にかりたてられて、多くの傑作を書き残した。その変貌の過程を、著者は鋭い作品分析を通して明らかにしてゆく。「井伏鱒二の青春」(昭和四十年)から「井伏鱒二と甲州」(平成二十三年)まで、実に四十五年をかけて執筆された、多くの井伏論のなかから、著者自ら十五篇を精選した井伏文学探究の書である。

目次

≪井伏鱒二≫の出発 ― 山椒魚の悲しみ
「くつたく」した「夜更け」の物語 ―「文学青年窶れ」の時代
改稿という方法 ―「山椒魚」と「鯉」の成立
川と谷間の文学 ― 裏返されたモダニズム
「さざなみ軍記」論 ― 逃げていく記録
「多甚古村」の周辺 ― 谷間から海辺へ
「へんろう宿」小論 ― 作品の奥行について
「悪夢」としての戦争 ― 流離と抵抗
戦後の変貌 ― 太宰治の死まで
聞書きという姿勢 ―「山峡風物誌」を読む
「まげもの」の世界 ― 鞆ノ津というトポス
井伏鱒二と甲州 ― 釣りと文学
「黒い雨」再考 ― 自然の治癒力あるいは言葉の戦争
「厄除け詩集」の効用 ― 三日不言詩口含荊棘
文体は人の歩き癖に似てゐる ― 追悼