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新聞で見る戦時上海の文化総覧―「大陸新報」文芸文化記事細目 全3巻

書誌書目シリーズ99 
新聞で見る戦時上海の文化総覧―「大陸新報」文芸文化記事細目 全3巻

[編著] 大橋毅彦 [編著] 竹松良明 [編著] 趙夢雲 [編著] 山﨑眞紀子 [編著] 鈴木将久 [編著] 木田隆文 [編著] 関根真保 [編著] 松本陽子

揃定価110,000円(揃本体100,000円) 
ISBN 978-4-8433-3938-1 C3300
B5判/上製/函入
刊行年月 2012年05月

関連情報

本書の内容

収録件数およそ28,500件。文芸記事をはじめ、美術、音楽、演劇舞踊、新聞出版、放送メディアや各文化機関・団体の動向に関するもの、さらには広告の言説に至るまで、戦時上海における文化動向を鳥瞰すべく編まれた、上海発行の日本語日刊新聞「大陸新報」(1939年1月〜1945年9月)の文芸文化記事細目。

【序にかえて】  大橋毅彦

 日中戦争期における上海の文化動向を捉えるにあたって注目すべき現地発行の日本語新聞として「大陸新報」がある。すなわち、1939年1月1日に創刊され1945年9月10日付のものまで確認できるこの日刊新聞を取り上げての考察は、文学、音楽、演劇、映画といった領域において徐々に進められてきた。だが、そこでの当該資料の扱われ方は、いきおいそのうちのどれかを主たる専門とする研究者のさらに絞り込まれた問題関心に添うかたちとなって個別的、単発的なものとならざるを得ない状態が続いてきたのも事実である。
 このたび刊行する本書は、そうした状況をふまえて、戦時上海における文化動向がまずは鳥瞰できることを目的として編まれた。そのために集めた記事の件数は、連載小説から短歌・俳句の投稿にいたるまでの文芸記事をはじめとして、映画、美術、音楽、演劇舞踊、新聞出版、放送メディアなどのジャンルに含まれるものや、各文化機関・団体の動向に関するもの、さらには広告の言説に至るまで、ほぼ28,500件に上る。
 そうして、これらの膨大なデータは、それをもとにした研究が、これまで以上に多彩な発想と方法とによって展開していかれることを約束する。たとえば執筆陣に目をやれば、そこにはこの新聞への寄稿によって文学者としてのスタートを切った者もいれば、上海での長い逗留体験を背景にして登場してくる書き手もいる。また、絶大な人気を博したものからほとんど注目されていないものに至るまでのさまざまな選択基準によって、中国の文芸作品や文化が翻訳・紹介されていく動きを追っていけば、その当時の日中文化交流の実態に対する新たな関心が生じてくるだろう。さらに、ある記事の言説と他のそれとの間に論争的な性格が生じていることに細目を繰っていて気づけば、従来この新聞に下されていた「国策新聞」という評言一辺倒では律しきれない感触も伝わってこよう。こうしたアプローチを可能にし、戦時下の上海文化界を動かしているいくつもの力線を明視するための武器となるのが、この『新聞で見る戦時上海の文化総覧 —「大陸新報」文芸文化記事細目』なのである。(関西学院大学教授)

【本書の特色】

●現在国内で確認できる「大陸新報」から、およそ28、500件の記事を掲載
 上海で発行された日本語日刊新聞「大陸新報」(1939年1月日〜1945年9月10日)の文芸文化に関する記事細目、約28、500件を収録。
●戦時上海の文化動向を鳥瞰
 文芸記事をはじめ、映画、美術、音楽、演劇舞踊、新聞出版、放送メディアや、各文化機関・団体の動向に関するもの、さらには広告の言説に至るまで、戦時上海における文化動向を鳥瞰すべく編まれた、文芸文化記事細目。
●別巻に充実した人名索引を付す(第二回配本)
 文芸記事の執筆者に限らず、映画、美術、音楽、演劇舞踊から座談会まで。それらにかかわる人名をすべて網羅。
●当時の文化界を動かした様々な力線を明視するためのツール
 収録された膨大なデータは、それをもとにした研究が、これまで以上に多彩な発想と方法とによって展開していかれることを約束する武器である。

◆『大陸新報』について
 『大陸新報』とは、日本占領期に、当時「中支那」とも呼ばれた華中地域で、日本の陸海軍及び外務省と興亜院の肝いりで設立された「国策新聞」である。上海に本社を置き、朝日新聞が積極的に協力し、そのスタッフも多く同社から送られたという。一九三九年一月一日に創刊。一九四五年九月までの六年半の間刊行。同地域の有力邦字新聞として、また戦時下の新聞統合で『上海毎日新聞』を併合することで(一九四三年二月)、「中支那における唯一の邦字新聞」(同社社告より)となる。同地域、特に上海の情勢および日常のディテールを詳細に伝える紙面と大陸を中心とした戦局、特に汪兆銘政権の動向も頻繁に取り上げる。
 国際的に孤立していた戦時下の日本とは違い、国際情報が飛び交う上海にあった『大陸新報』から日本を取り巻く国際的雰囲気も窺える内容。また、当時著名な作家(片岡鐵兵など)の小説も掲載され、戦時下の文学研究の欠落を埋める側面を持ち、言論統制の厳しい日本内地と比べ、比較的に自由な上海を拠点とした日本の文学者、知識人の活動や中国側知識人との戦時下の「交流」を知る手がかりともなる。戦時研究における貴重資料である。

書誌書目シリーズ99 新聞で見る戦時上海の文化総覧―「大陸新報」文芸文化記事細目 第1回配本 全2巻(上巻・下巻)

刊行年月 2012年05月 揃定価88,000円 (揃本体80,000円) ※分売不可 ISBN978-4-8433-3918-3

【上巻】1939(昭和14)年〜1941(昭和16)年
【下巻】1942(昭和17)年〜1945(昭和20)年

書誌書目シリーズ99 新聞で見る戦時上海の文化総覧―「大陸新報」文芸文化記事細目 第2回配本 全1巻(別巻[索引])

刊行年月 2012年10月 定価22,000円 (本体20,000円) ISBN978-4-8433-3937-4

【別巻】索引