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• 「台湾金融経済月報」のカタログはこちらです。（pdf/2,537KB）

本書の内容

台湾銀行が1929年10月～1945年１月に発行した『台湾金融経済月報』全183号に、前身の『台北卸物価調』の部分を加えて復刻。金融・経済統計や経済ニュース、経済動向を分析する論文などを所収。昭和期の植民地台湾の経済動向を示す基礎文献であり、東アジア史研究においても有用な資料です。

刊行にあたって
立教大学経済学部助教
谷ヶ城秀吉
価格情報や統計データは、経済分析の基本的なデータである。しかし、従来の台湾経済史研究は、記述データにのみ依存する傾向が強く、客観的数値に基づくこれらのデータは多くの場合、看過されてきた。一方、近年、尾高煙之助ほか編『アジア長期経済統計1　台湾』(東洋経済新報社、二〇〇八年)が刊行され、経済分析に有用なデータを提供しているが、長期経済の把握を目的とした同書の価格表示は年単位でなされており、個別具体的な経済事象を実態的に検証する場合には問題が生じる。
今回刊行する『台湾金融経済月報』には、台北の品目別卸売物価、各銀行の科目別預金貸出金残高、会社新設・払込・減資・解散、官設道の運輸実績など、多岐にわたる価格情報・統計データを月単位でコンパクトにまとめられており,簡便かつ有益である。『台湾金融経済月報』の刊行が、資料の制約が問題とされた日本植民地研究の進展に少しでも貢献できれば幸いである。

●多様で示唆に富む「調査研究」論文・記事(昭和11年2月号から)
◆調査研究
　資源開発と拓殖会社〔序言/拓殖会社の沿革/新会社の機構及其業務/拓殖会社創設に関する民間の意見二、三/東洋拓殖会社に就て/東洋拓殖会社と台湾拓殖会社/業務と資金供給問題/結語〕
　南方経営と台湾銀行(守永元理事談)
◆財界録事
　財政及金融/米/砂糖/芭蕉実/茶/水産/製氷/対岸事情/其他
◆各地経済事情
　台湾一般(昭和10年下半期中)/高雄(昭和10年下半期中)/桃園(昭和10年下半期中)/台湾一般(昭和10年12月中)/高雄(昭和10年12月中)/大阪(昭和10年十二月中)/福州(最近)
◆台湾金融経済文献目録
◆読者の回答に就て(続)
　追加作成すべき統計/追加すべき記事/印刷、用紙、体裁其の他
●充実した金融経済統計資料(昭和11年2月号から)
　1台湾銀行券発行高及補助貨流通高
　2各銀行金利
　3台北T/T売為替相場及倫敦紐育銀塊相場
　4東京T/T売為替相場米英為替及倫敦金塊相場
　5手形交換高及不渡手形
　6各地手形交換所組合銀行勘定〔預金科目別/貸出科目別/預金銀行別/貸出　銀行別〕
　7各銀行預金貸出金残高〔総額/預金科目別/貸出金科目別/日本勧業銀行貸出金科目別/台湾貯蓄銀行預金貸出金科目別〕
　8各銀行重要物産放資額及残高
　9各銀行為替取組高
　10各銀行島外為替取組高品別〔台湾内地間/台湾外国間〕
　11信用組合概況
　12郵便貯金
　13郵便為替高扱高
　14振替貯金取扱高
　15官設鉄道運輸(本線)
　16倉庫貨物出入残高
　17貿易
　18昭和10年中重要物産放資額
　19昭和10年中各銀行為替取組高
　20昭和10年下半季中重要物産放資額
　21昭和10年下半季中各銀行為替取組高
　22昭和10年中各銀行島外為替取組高品別〔台湾内地間/台湾外国間〕
　23昭和10年下半季中各銀行島外為替取組高品別〔台湾内地間/台湾外国間〕
　24昭和10年中郵便貯金
　25昭和10年下半季中郵便貯金
　26昭和10年上半季中郵便貯金
　27昭和10年中官設鉄道運輸(本線)
　28昭和10年下半季中官設鉄道運輸(本線)
　29昭和10年上半季中官設鉄道運輸(本線)
　30昭和10年中倉庫貨物出入高
　31昭和10年下半季中倉庫貨物出入残高
　32昭和11年1月中会社調〔新設/解散/払込/増資/減資/社債償還〕
　33産業資料
　34昭和11年1月中台北物価指数〔品別/種類別/平均対照〕
　35台北卸物価調(昭和11年1月31日現在)

本書の特色
●昭和前期台湾の月別経済データ。台湾経済史研究の基礎資料。
●統計のみならず、分析・研究記事は、植民地台湾の経済・産業・社会の研究に役立つ。
●本復刻版では全183号に、その前身の『台北卸物価調』の一部を付す。
●主要記事目次及び解題を付す。