HOME書籍検索 > 米沢藩興譲館書目集成 全4巻

米沢藩興譲館書目集成 全4巻

書誌書目シリーズ90
米沢藩興譲館書目集成 全4巻

[監修] 朝倉治彦 [編集・解説] 岩本篤志 [解説] 青木昭博

揃定価75,600円(揃本体70,000円) 
ISBN 978-4-8433-3250-4 C3300
A5判/上製/函入
刊行年月 2009年08月

関連情報

本書の内容

直江兼続の蒐書にはじまるといわれる米沢藩ゆかりの蔵書目録を集成。その蔵書はいまなお、米沢の地に伝わり、中世の学問の息吹や上杉鷹山によって設立された興譲館や好生堂といった近世を代表する学問所の気風を伝えている。往時の蔵書の全貌とその変遷とに接近することを可能とした貴重な書目集。

画像:「官庫御書籍目録」(米沢市上杉博物館蔵)元禄十二年、藩主の命をうけて作成された書目

【本書の特徴】
●藩校興譲館や江戸藩邸など関係各所で作成された元禄期から昭和初期にいたる主要な書目を収録。書目には貸借記録や書籍に関する注記が付されていることもあり、書誌学的、史料的価値が高い。

●これまでほとんど研究に利用されてこなかった書目(四目録、林泉文庫寄贈書及書目)を収録しており、藩の蔵書管理や書籍の聚散過程があきらかになる。

●個々の書籍の来歴や蔵書群の形成を把握しやすくするため、主要書目を対象とした書名索引を付した。米沢藩旧蔵書の研究のほか、近世大名の蔵書や藩校研究等にも至便である。

[編集・解説]岩本篤志(新潟大学助教)
[解説]青木昭博(米沢市教育委員会郷土資料主査)
(※本データはこの書籍の刊行当時のものです)

刊行によせて        村野隆男(市立米沢図書館長)

 このたび、米沢藩および藩校興譲館の蔵書目録が、初めて影印本として刊行されることに、大きな喜びを抱くとともに、まことに時宜を得た縁というものを感じる。
 米沢における蔵書の嚆矢は、直江兼続の蒐集に遡る。兼続は文武兼備の将として著名であるが、特に学問・詩文に優れたといわれ、遺された資料からは、兼続の書籍に対する並々ならぬ思いが伝わる。中でも、妙心寺の南化和尚との親交は深く、その蔵書を書写する姿を賞嘆され、京都五山に伝わった貴重な書籍を数多く譲り受けたことが知られる。また、慶長十二年には京都要法寺にて「文選」を活字印刷したことも名高い。さらに兼続晩年の元和四年には、米沢に禅林寺(後に法泉寺と改名)を創建、蒐集した書籍を置いて藩の学問道場とし、禅林文庫と称した。
 禅林文庫は後に米沢藩の蔵書となり、その一部は元禄十年に四代藩主上杉綱憲が創建した学問所に引き継がれ、さらには安永五年に九代藩主上杉治憲(号・鷹山)が創設した藩校興譲館に引き継がれた。米沢の学問・教育の基盤となり、後の人材の育成に大きく寄与したのである。
 明治時代になって、興譲館の蔵書は私立米沢中学を経て興譲館財団に移管され、明治四十二年には、その蔵書を基に財団法人米沢図書館が開館した。その場所は由緒ある法泉寺境内であった。その後図書館は、昭和十三年に米沢市に移管され市立米沢図書館と改称、同二十九年には米沢城址に面する南堀端町に新築移転した。引き継いだ貴重書類は「珍書」として大切に保管し、昭和三十三年に本格的な学術調査が実施され、その成果として『米沢善本の研究と解題』が上梓された。その際、解題が付された貴重な書籍は「米沢善本」として整理され、昭和六十年に米沢市の文化財に指定されている。
 市立米沢図書館は、昭和五十年に置賜総合文化センター内に移転して今日に至っているが、今秋には開館百周年を迎える。また、本年は大河ドラマ「天地人」が放映され、直江兼続の名が全国的に認知された。こうした記念の年に本書が刊行されることに縁を感じるのである。
 本書には元禄期から昭和初期にいたるまでの主要な蔵書目録が収められ、往時の蔵書群の全貌を伝えると共に、現在の蔵書に至る変遷を知る上でも格好な書目集といえよう。初公開の「林泉文庫寄贈書及書目」や、これまで研究に殆ど利用されてこなかった「四目録」が収録されることも注目される。また、書名索引が付され、利用者の便宜が図られたことも好ましい。本書の刊行によって、米沢藩の学問・教育の研究や書誌学等の研究が、より一層進展することを期待したい。
 これらの蔵書目録に載る書籍のうち、一部は残念ながら散逸の憂き目にあったが、良好な状態で当館に伝来するものも多い。その経緯は前述のとおりだが、米沢の学問尊重の気風を示すもので、先人の熱意と努力に敬意を表したい。また、米沢の文化遺産として、今後も保存と活用に力を注いでいくことが当館の責務であると強く認識しているところである。
 最後に、監修を仰いだ朝倉治彦先生と、編集にあたられた岩本篤志先生、刊行いただいたゆまに書房に謝意を表する次第である。  (平成二十一年七月吉日)

★「編集部便り」より   ―「便り」と書誌書目シリーズ (編集部E.Y)―

「便」という字から何を連想しますか。
 『ロハス・メディカル』という病院に置かれている雑誌を見たとき、はっと思いました。そこには、「排泄物に対して、なぜ「便り」という文字が使われているのか考えてみると、興味深いものがあります」とありました。
 そうだったのですね。「便」は、見えない体調を知らせてくれる、重要な身体の「たより」だったのです。
 この記事を読んだとき、思い当たることがありました。
 私は、『書誌書目シリーズ』を担当することがありますが、このシリーズの意味についてときどき、史料の所蔵者や書店の営業の方に聞かれます。
 その都度、これは日本の出版文化史の足跡を集めていくものです、史料の少ない出版文化史を、遺された書物の書目や書誌から再構築していくものです、などと申し上げるのですが、なかなか分かっていただけないのではと思っていました。
 が、この「便り」という字で気がつきました。
 無味乾燥に見える蔵書目録は、出版文化史の「便り」だったのではないか。

 2009年刊行の『米沢藩興譲館書目集成』(編集 岩本篤志、解説 岩本篤志・青木昭博)は、昨年ブームとなった直江兼続の蒐書にはじまる米沢藩の蔵書目録を集めたものと言えば、少しは親しみもわくかと思いますが、古書マニアの方々には「米澤藏書」印や「米沢善本」の名が広く知られています。
 解説では、11点の蔵書目録の書写年代や各目録中の同一書物の変遷を手がかりに、米沢藩の蔵書がどのように形成されていったのかが明らかにされています。書物が納められていた場所ごとに蔵書群の変遷の道筋が示されます。「藩邸系」(江戸藩邸麻布中屋敷にあった書物)、「支侯系」(支藩の米沢新田藩にあった書物、但し空間的には麻布藩邸内)、「学館系」(藩校興譲館とその前身の学問所にあった書物)、「官庫系」(国元の藩のくらにあった書物)の4群です。
 宋元伝来の貴重な古本がどんな道筋を辿り、現在も市立米沢図書館にあるのかを知るのは、ちょっと胸躍るタイムトリップではないでしょうか。 (2010年2月)

米沢藩興譲館書目集成 第1巻 米沢藩官庫書目

刊行年月 2009年08月 定価18,360円 (本体17,000円) ISBN978-4-8433-3251-1 C3300

元禄十二年の「官庫御書籍目録」をはじめ、麻布藩邸や上杉支侯邸、藩主の御文庫など藩関係各所の書目を収録。

米沢藩興譲館書目集成 第2巻 興譲館書目

刊行年月 2009年08月 定価16,200円 (本体15,000円) ISBN978-4-8433-3252-8 C3300

藩校興譲館の変遷がわかる絵図とその書目を収録。藩校閉鎖までに蓄積された蔵書の全貌があきらかになる。

米沢藩興譲館書目集成 第3巻 明治の興譲館書目/索引

刊行年月 2009年08月 定価15,120円 (本体14,000円) ISBN978-4-8433-3253-5 C3300

明治政府の命で作成された書目をはじめ、藩校の蔵書を引き継いだ私立米沢中学校の書目を収録。明治初期から末期までの蔵書のゆくえをうかがうことができる。

米沢藩興譲館書目集成 第4巻 林泉文庫書目/解題・解説

刊行年月 2009年08月 定価25,920円 (本体24,000円) ISBN978-4-8433-3254-2 C3300

◇解題・解説(岩本篤志)「米沢藩と藩校興譲館の蔵書目録について」
◇解説(青木昭博)「市立米沢図書館の蔵書と現在の興譲館本」

興譲館旧蔵書をはじめ、古書・古文書蒐集につとめた米沢図書館長伊佐早謙氏の「林泉文庫」は、彼の没後、上杉家に寄贈され、昭和十三年に新制の市立図書館に寄託された。収録したのはその際に作成された書目。「林泉文庫」は戦後、米沢図書館の他、山形県内各所に分売された。