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鶚軒文庫蔵書目録 全2巻

書誌書目シリーズ88
鶚軒文庫蔵書目録 全2巻

[監修・解説] 朝倉治彦

揃定価58,300円(揃本体53,000円) ※分売不可
ISBN 978-4-8433-3064-7 C3300
A5判/上製/函入
刊行年月 2008年10月

関連情報

本書の内容

東京帝国大学教授であった医師・土肥慶蔵が収集した蔵書、鶚軒文庫の和漢書の全貌。

昭和四(一九二九)年に作成された自筆稿本『鶚軒文庫蔵書目録 和漢書分類之部』(国立国会図書館所蔵)を二分冊にして復刻。鶚軒文庫とは、東京帝国大学教授であった医師土肥慶蔵(一八六六~一九三一)が収集した蔵書の総称。土肥が収集した資料の対象は幅広く、『鶚軒文庫蔵書目録』では「第一門 総記」「第二門 哲学」「第三門 法制・経済・社会」「第四門 史伝」「第五門 地理」「第六門 文学・語学」「第七門 医学・本草」「第八門 理学・博物」「第九門 芸術・諸芸」「第十門 雑誌・雑書」と分類がなされている。
土肥慶蔵の没後、その蔵書の大部分は三井家が購入し、のちに三井文庫内の一文庫となるが、戦後の財閥解体の影響で散逸。現在では東京大学総合図書館(「第七門 医学・本草」全冊)、国立国会図書館(「第六門 文学・語学」のうち日本人による漢詩文集七、八九八冊)、東京医科歯科大学附属図書館(土肥家より購入したドイツ語の医学書が中心)、カリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館などに所蔵されている。散逸した鶚軒文庫の和漢書の全貌を示す資料として貴重。

土肥慶蔵(どひ・けいぞう)

慶応二(一八六六)年、越前武生藩の藩医五世石渡宗易の次男として福井県越前府中松原(現・武生市)に生れる。明治十三(一八八〇)年、十五歳で兄とともに上京。同年、東京大学医学部予科に入学、呉秀三・富士川游と相知り、文学・医史学にも強い関心を持つようになる。明治十八(一八八五)年、医学部本科に進学。明治二十二(一八八九)年、母方の叔父土肥淳朴の養子になる。明治二十四(一八九一)年、帝国大学医科大学を卒業、附属第一医院外科医局に入局し、近代外科の父スクリバの助手となる。明治二十六(一八八三)年、文部省留学生として渡欧。ウィーン大学で皮膚科学・黴毒学を学び、パリ大学で泌尿器外科を修める。明治三十一(一八九八)年帰朝、東京帝国医科大学助教授として新設の皮膚病黴毒学講座を担任し、同年主任教授となる。明治三十二(一八九九)年、吉原貸座敷組合病院長に就任。明治三十三(一九〇〇)年、日本皮膚病学会の設立に参加し、会長となる。明治四十(一九〇七)年、日本花柳病予防学会を創設。大正十五(一九二六)年、東京帝国大学を退職。昭和三(一九二八)年、日本性病予防協会押上簡易診療所院長に就任。昭和六(一九三一)年十一月六日、肝臓癌のため死去。著書に『皮膚病黴毒図譜』『皮膚科学』『世界黴毒史』『鶚軒游戯』『乙丑周遊記』などがある。