近代東アジア美術留学生の研究
―東京美術学校留学生史料―
定価3,850円(本体3,500円)
ISBN 978-4-8433-3061-6 C3070
A5版上製/函入
刊行年月 2009年02月
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本書の内容
東アジアの近代化と美術交流の歴史。その貴重な記録の集大成。
明治維新以後、西欧文化を積極的に取り入れて急速に近代化を進めたわが国には、東アジア諸地域(特に中国、朝鮮、台湾)から多数の留学生が訪れた。留学の状況は、中国と日本占領下の朝鮮・台湾および中国東北部(旧満州)とでは様相を異にし、また、政治情勢の変化を反映して各地域それぞれに異なった推移を示すが、いずれにせよ、留学生の大多数は、わが国の教育機関を介して主として西欧の先進技術を学び、それぞれの地域の近代化の担い手となったのであった。〈中略〉
東アジアの近代史は日本の帝国主義的侵略ということを抜きにしては語れず、近代美術にも侵略政策が或る影を落としているのは事実である。そのことは日本との美術交流の研究を阻む大きな要因となっていた。しかし、日本の敗戦から半世紀以上が過ぎて人々の意識も変わり、東アジア諸地域において自国の近代美術史にも関心が寄せられるようになってきたためか、近年、美術留学生に関する資料収集を目的として来日する研究者が跡を絶たない。それは、近代美術史を研究する以上、その是非の評価はひとまず措き、まず客観的に進展の経緯を把握しておく必要があり、そこでは日本留学生の問題が非常に重要となるからである。そうした研究者たちに基礎資料を提供でき、そして、今後彼らと提携して研究を進めることができれば、相互により有意義な成果が得られるに違いない。本書がそのための一助となれば幸いである。(「はじめに」より抜粋)
【著者紹介】
吉田千鶴子
東京芸術大学美術学部教育資料編纂室
【本書の特色】
●昭和戦前期に東京美術学校(現、東京芸術大学)へ留学し美術教育を受けた、中国をはじめとするアジア諸地域からの留学生について、同大学所蔵資料を基にした、著者の長年にわたる調査研究の集大成。
●東京芸術大学附属図書館および美術館が所蔵する、卒業制作(自画像)などの関連図版約二一〇点をモノクロで収録。
目次より
第1章 留学生受入れに関する一般規則
第2章 各科志願状況・西洋画科(油画科)へ集中
第3章 初期留学生(中国・朝鮮・台湾以外)について
第4章 中国人留学生
1.中国人留学生受入れ前史(日本をモデルとした中国の教育改革/中国人の東京美術学校参観/東京美術学校出身の教習たち)
2.東京美術学校留学生(在籍状況/学外活動/帰国後の活動/中国東北部の留学生)
第5章 朝鮮人留学生
1.朝鮮における日本人美術家の活動(朝鮮美術展覧会開設以前)
2.朝鮮と東京美術学校
3.朝鮮美術展覧会(鮮展)と東京美術学校(鮮展創設/派遣審査員の人選/鮮展派遣審査員/鮮展その後)
4.美術教育施設
5.在鮮東京美術学校卒業生
6.留学生に関する規定
第6章 台湾人留学生
1.日本留学の奨励
2.台湾における日本人美術家の活動(台湾美術展覧会開設以前)
3.台湾と東京美術学校
4.台湾における新しい美術運動
5.台湾美術展覧会(台展)と東京美術学校(台展創設/台展創設と正木直彦/派遣審査員の人選/台展派遣審査員)
6.美術教育施設
第7章 その他諸外国の留学生
第8章 東京美術学校以外における状況
1.美術学校・工芸学校・画塾・研究所
2.参 考
東京音楽学校/東京芸術大学
東京美術学校外国人留学生名簿
中国(東北部以外)/中国東北部/朝鮮/台湾/その他諸外国
参考図版
初期留学生および中国人留学生/朝鮮人留学生/台湾その他の留学生
参考文献・史料
御詫びとお願い 2009年3月 株式会社ゆまに書房
吉田千鶴子著『近代東アジア美術留学生の研究―東京美術学校留学生史料―』(2009年2月25日発行)につきまして、出荷したものの中に、「参考図版」の一部分に印刷時の汚れおよびキズがある本が混入していることが判明いたしました。
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