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日中関係史資料叢書2 中国紳士録 全2巻

日中関係史資料叢書2 中国紳士録 全2巻

[監修] 金丸裕一

揃定価52,800円(揃本体48,000円) ※分売不可
ISBN 978-4-8433-2383-0 C3321
A5判上製/函入
刊行年月 2007年04月

関連情報

本書の内容

日中双方の収録総計13,300余名。
周到な準備を行い、「北中南支官民各層」を網羅した貴重情報群。

刊行のことば        金丸裕一
 中国現代史には、いくつもの波乱が渦巻いている。満洲事変による東北部の分離、日中戦争と日本の実質的占領、「光復」後の内戦による中国と台湾の分裂、中国本土における急激な左傾化に端を発する内乱、台湾における「外省人支配」と白色テロなど、その具体例は枚挙にいとまがないだろう。
 したがって、日本現代史ではあたりまえのように行うことができる作業であり、歴史分析には必須の前提ともいうべき「人物研究」が、ごく少数の有名人を除いて、なかなか難しい現状が存在していた。
 特に、今回の復刻対象たる『中国紳士録』が扱う日中戦争下中国占領地(傀儡政権支配地域)で活躍した人物は、ほどなくしての日本敗戦にともない、引き揚げや留用(現地機関での雇用延長)、また対日協力者としての処分など、歴史の「陰」に埋もれた感がある。英雄だけで歴史が創造されたり、革命家や民族主義者ばかりが時代を生きてきたわけではない。なんらかの縁でこの人名録に姓名が記録されていることを、わたくしは大切にしたいと考えている。
 本書に収録される人物は約一三、三〇〇余名、生年から出身学校・職歴まで個人史にかかわる情報がカバーされている。いったいどのような類型の日本人が中国に在住していたのか? あるいは対日協力者に共通した背景が存在するのか否か? さらに、継続して人物観察を進めたならば、一九四五年の敗戦、あるいは一九四九年の「革命」がもっていた断絶性と連続性の問題に対しても、優れて実証的な事例が提供されるであろう。 
 編集にあたったのは、当時「満蒙資料協会」という団体を主宰していた中西利八である。彼は、『満洲紳士録』や、在中国各種企業・官庁名簿とでもいうべき『満華職員録』の他、日本国内においても大量の人名録を編纂・出版していた人物であるが、彼の経歴はまったく明らかにされてこなかった。その簡単な謎解きは「解説」に譲るとして、いずれにせよ本書の復刻によって、前記二種類の人名録に加え、中西が関与した「中国三部作」は、すべて手軽に利用できるようになったといえよう。
 大方による、本書の批判的活用を願う次第である。

【本書の特色】
●一次資料が乏しい戦争期(一九四二年刊行)の日本勢力圏の人物像を伝える資料。

●現地調査を含め二年近く周到な準備を行い、総計一三、三〇〇余名の「北中南支官民各層」を網羅して編纂された当時の貴重な情報群。

●詳細な記事内容(職名・生年月・出生地・本籍・続柄・学歴・経歴・趣味・宗教・家族・住所等)に肖像写真を掲げることで、中国の日本勢力圏におけるヒトの動向(特に民間の活動)が日中双方にわたり浮き彫りとなる紳士録。

中国紳士録 本書を編集・刊行した中西利八(号・未耕)は、大正期からさまざまな人名録を手がけてきた。『中国紳士録』は、中西が主幹を務める満蒙資料協会が先に刊行した『満洲紳士録』第二版(昭和一五年七月)の附録として最初刊行され、好評を博した。これを受けて本格的な紳士録を刊行すべく、再版計画を立て現地調査に半年、全原稿の照会編集に一年二ヶ月、二年近くを要して刊行されたのが今回復刻する『中国紳士録』(昭和一七年七月)である。「在華日本国吏高等官以上―中国及蒙古政府全官庁官吏薦任官以上」、「在中国日本主要会社並中国主要公司」「在日本対中国関係主要会社」の重役又は主任級以上等の官民にわたる日中双方の人物を一三、三〇〇余名収録する。本書は戦時下中国の日本勢力圏における民間人の手になる貴重な文献資料である。
 なお、中西利八については不明の部分が多いので、関係者からの連絡をお願い申し上げたい。
※本書の続編としいたしまして上海興信所編『中華全国中日実業家興信録』(昭和一一〈民国二五〉年)の刊行を予定しています。ご期待下さい。