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在中国居留民団史集成 第1期・全6巻【new!】

在中国居留民団史集成 第1期・全6巻【new!】

[編・解説] ゆまに書房編集部

定価126,500円(本体115,000円) 
ISBN 978-4-8433-6063-7 C3321
A5判/上製/カバー装
刊行年月 2021年07月

関連情報

本書の内容

辛亥革命、満洲事変、日中戦争等、 多くの政変・戦乱や伝染病、天災、 そして中国人との友好・対立の荒波に生きた 在華居留邦人の詳細な記録。

刊行にあたって     ゆまに書房編集部

 明治三十年代から敗戦までの間、上海、天津、奉天等、中国の諸都市には居住する日本人の自治的団体=居留民団が存在した。これらの団体は当初、自発的な結社として日本人会、日本人倶楽部等を自称していたが、明治三十八年に、居留民団法が施行されるに伴い、法人格を認められるに至った。居留民団は現地日本人に対し管理する権限を有し、現地における日本人社会の中核を成した。
 一部の居留民団は、一定の周年や活動の一区切りを以て、自らの歴史を記録した『年史』、『記念誌』、『発展史』等の公式史を作成し、その宣揚に努めた。本シリーズでは、これらのうち、上海、南京、安東、吉林、チチハルにおける居留民団の公式史を収録する。
 これらの資料は、日本人の居住開始の経緯、生計の確立、道路や水道、学校等の公共施設の設立・運営等、現地で生活するための施策に奮闘した歴史を伝えている。また、農作物の不作や大規模な自然災害、伝染病の流行等、多くの困難にも見舞われており、現地の日本人が対応に苦慮した事跡は、現代から視ても興味深いであろう。
 本シリーズにおいて最も大きなテーマは、現地中国人社会との関係である。広大な租界を有した上海を別とすれば、中国人社会の中で孤島のように存在していた居留民会にとって、現地中国人との協調・協力は不可欠であった。しかし、居留民会の存在した時代の中国は、政変や革命、戦争が相次いだため、中国人との対立や軋轢も頻繁に発生した。たとえば、国民革命の時期における南京では、日本製品のボイコットや日本人に対する排斥行為が相次ぎ、情勢が不穏になるにつれて一時的な引揚も余儀なくされたことが語られている。
 こうした政治的事件は、新聞や外交文書も多く記録している所である。しかし、現地に生きた日本人だからこそ知りえた事実は何だったのだろうか。こうした点に、侵略・被侵略に留まらない日中関係史への視角があるはずである。本シリーズの刊行により、基層レベルにおける研究の深化を期待する。

【本書の特色と収録内容】

●上海、南京、安東、吉林、チチハルに存在した日本人の居留民団が、大正〜昭和戦前期に発行した公式史を収録。

●日本人の居住開始の経緯、現地領事館の活動、公共施設の整備、日本人学校の設立、自然災害や伝染病への対応など、日本人が中国で生活するために行った努力を伝える。

●居留民団の所有する文書や在住者からの聴き取りを情報源としており、他の史資料には見られない記述を豊富に含む。

●辛亥革命、北伐、満洲事変、日中戦争等、多くの政変・戦乱が発生した時期において、現地中国人との間で発生した摩擦を克明に記録。

●居留地における住居、企業、神社、学校等の施設、及び居留民会の中心となった人物等の写真を多数掲載。

在中国居留民団史集成 第1巻 上海居留民団三十五周年記念誌 上巻 

刊行年月 2021年07月 定価28,600円 (本体26,000円) ISBN978-4-8433-6064-4

▼第一巻〜第三巻▲
[著・発行]上海居留民団………………………………………………一九四二年
上海居留民団三十五周年記念誌 上・中・下

本書は上海居留民団に関し、最大にして最も基本的な公式史である。「三十五周年」という数字は、太平洋戦争の開戦により、日本側が租界の実権を手中に収めた時期に合わせたことに因む。本書の特徴は、民団の事業の概略を記す他、「重要事項摘録」として明治三十八年から昭和十七年までの極めて詳細な年表を掲載し、上海の日本人社会に関する事細かな事象を確認するのに至便な作りとしている点である。なお原書は全一巻であるが、編集にあたり三分巻とした。

在中国居留民団史集成 第2巻 上海居留民団三十五周年記念誌 中巻

刊行年月 2021年07月 定価16,500円 (本体15,000円) ISBN978-4-8433-6065-1

在中国居留民団史集成 第3巻 上海居留民団三十五周年記念誌 下巻

刊行年月 2021年07月 定価19,800円 (本体18,000円) ISBN978-4-8433-6066-8

在中国居留民団史集成 第4巻 南京日本居留民誌

刊行年月 2021年07月 定価17,600円 (本体16,000円) ISBN978-4-8433-6067-5

[著]庄司得二 [発行]南京居留民団……………………………………一九四〇年
南京日本居留民誌

著者は大正十三年以来南京に定住し、現地邦人の歴史を知悉していたことから、昭和十四年に南京版『大陸新報』に連載した「南京居留民誌」を一冊にまとめたのが本書である。本書は明治末年より邦人の経済発展が続く一方で、中国人との軋轢も顕著となり、特に北伐に伴い発生した南京事件(昭和二年)では、現地人の視点で見た被害の状況を記録している点では、極めて貴重な証言を提供する。なお、日中戦争における「南京大虐殺」には言及はない。

在中国居留民団史集成 第5巻 安東居留民団十年史

刊行年月 2021年07月 定価22,000円 (本体20,000円) ISBN978-4-8433-6068-2

[著・発行]安東居留民団法実施十週年記念会………………………一九一九年
安東居留民団十年史

安東(現在の丹東)は日本向けの木材輸出で栄えた都市であり、日露戦争後の明治三十八年より日本人の居住が始まった。本書は居留民団の成立十周年を記念して編纂されたものであり、その情報源の多くを民団の保存する書類に拠っている。木材産業振興のために道路、橋梁等の建設に努力した事が強調されており、これはインフラ整備に民団が強い力を持った事実を示している。

在中国居留民団史集成 第6巻 吉林日本人発展史/斉々哈爾日本居留民会三十年史/解説

刊行年月 2021年07月 定価22,000円 (本体20,000円) ISBN978-4-8433-6069-9

[著]松本藤太郎 [発行]吉林日本商工会議所…………………………一九三六年
吉林日本人発展史

日本人の吉林市在住三十周年を記念して出版されたもの。著者は、現地日本人の発展が、満鉄の拡張とともにあったことを強調しており、本書は企業城下町の歴史として読むことができる。また、情報源としてオーラル・ヒストリーを重視しているのも、他書には見られない特色である。
[著・発行]斉々哈爾日本居留民会……………………………………一九三七年
斉々哈爾日本居留民会三十年史

日露戦後より「満洲国」建国までを描く。チチハルは満洲の西北部に位置するため、本書の内容もロシア革命や奉ソ紛争など、中露間で発生した変動に関する記述が多い。また、ペストの流行が猖獗を極めたため、防疫に腐心した歴史は、現代から見ても興味深い。