漢字文化研究叢書 1
中国の文字世界
定価9,350円(本体8,500円)
ISBN 978-4-8433-6057-6 C1387
A5判/上製/カバー
刊行年月 2021年07月
本書の内容
現代中国における最新の漢字研究書を集成
発行 樹立社
発売 ゆまに書房
「漢字文化研究叢書」とは
漢字の起源、字体・字形の変遷、音の変化などの中国の漢字研究、および書道芸術、漢字と民間習俗など近年の中国における漢字文化に関する研究の成果を広く日本語で読める形で順次刊行するものです。
目次
●第1章 文字:人類の偉大なる発明
原始文字/古典文字/アルファベット文字
●第2章 中国の文字の大きな視野(上)
漢字の進化/漢字の構成/漢字の規範/漢字の簡化
漢字の魅力/漢字文化圏
●第3章 中国の文字の大きな視野(下)
少数民族の文字/失われた少数民族の古い文字
●第4章 文字と伝統文化
漢字と国家統一/文字と社会習俗/漢字の忌字
年号・諡・廟号/女書の習俗/文字崇拝
●第5章 文字と文学芸術
文は字を以て点睛する/文字の面白さ/漢字の美しさ
漢字と書法/漢字と彫刻/漢字と篆刻/文字と音楽、舞踊
●第6章 文字の記録と伝播
文字の記録/文字の伝播
●第7章 文字の伝承
文字の教育/啓蒙の識字教科書/字書の創意/文字の危機
●第8章 文字と関連ある国家レベル無形文化遺産代表項目と各省レベル無形文化遺産代表項目
各民族の文字/文字の書写道具と媒体/文字の保存と伝播
文字関連に関する伝説/文字関連の芸術
「漢字文化研究叢書」刊行のことば 藪 敏裕
中国では近年の経済発展とともに、自らのアイデンティティーを再確認するため自国の伝統文化に関する研究が盛んになっています。なかでも漢字及び漢字に関わる文化については、中国文化の核心と捉えられており、数多くの研究者が情熱を傾けて研究しています。
漢字そのものの研究に関していえば、二十世紀初めにおける殷墟からの甲骨文発見が新たな研究を進化させる起点となりました。日本においても多くの漢字研究が行われることとなりました。さらに、一九七〇年代以降になると甲骨文字や金文に加え簡牘などに記された先秦期から漢代にかけての文字資料が数多く出土し、古代中国研究に新たな展開がもたらされています。これらの新出の文字資料は多くの漢字研究者たちの関心を呼び起こしており、現在中国の漢字研究は活況を呈している状況にあります。これらの出土文字資料には既存の伝世文献とかなり内容が近いものも含まれており、思想的な研究のみならず漢字の原義研究や上古音の研究等様々な分野において従来の説の修正が求められています。
本叢書では、漢字の起源、漢字の字体・字形の変遷、漢字音の古代から近世音までの変化などの中国の漢字研究、そのほか書道芸術、漢字の民間習俗などの近年の中国における漢字文化に関する研究成果も収めて順次出版する予定です。 (岩手大学教授)
●特にお薦めしたい方
中国研究者、漢字文化と関連の深い日本古代史〜中世史研究者、仏典・声明・記紀万葉の研究者、書道家、書道愛好家及び大学図書館・研究室、公共図書館。