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関連情報

• 「膝栗毛文芸集成　第2期　全17巻」のカタログはこちらです。（pdf/6,249KB）
• 膝栗毛文芸集成　第1期　（十返舎一九作品）　全12巻
• 膝栗毛文芸集成　第3期　（滑稽本・合巻・演劇・歌謡・明治 編）　全11巻

本書の内容

滑稽本、合巻、雑俳・狂歌、絵本、歌謡など、「膝栗毛もの」の文学作品を現存最良の底本で集成。第2期では、十返舎一九作品以外の滑稽本を集成。

刊行によせて　　　　　　　中村正明

　『道中膝栗毛』は、享和二（一八〇二）年の初編刊行当初から非常に人気を博し、何十年にもわたって続編が書き継がれて大流行した滑稽本である。そればかりか、メディアミックスも盛んに行なわれ、合巻化されたり、一枚摺の錦絵化、歌舞伎化や落語・講談の種にもなった。明治以降になると、映画、ドラマ、漫画など様々なメディアでも描かれるようになっていった。現代においても弥次喜多の知名度は高いと言えよう。
　そうした膝栗毛人気に乗じて、『道中膝栗毛』刊行と同時代においても、非常に多くの影響作・亜流作が産み出されたことは案外知られていない。それら、所謂「膝栗毛もの」は、一九自身の作品を除いてその全貌はほとんど解明されておらず、尾崎久弥と中村幸彦による総括的な概説は整っているが、どのような作品がどれほどあったか全く手つかずのままなのである。 　
　本企画では一九作品を手始めとして、数多い「膝栗毛もの」の文学作品を簒集し紹介していく。それは、江戸時代のみならず、明治の世における新時代の「膝栗毛もの」をも網羅するもので、滑稽本に限らず、合巻や雑俳・狂歌、絵本、歌謡にも及んでいる。 　
　十返舎一九の編んだ膝栗毛もの作品を集めた第一期に続いて、今回の第二期は、いよいよ一九の影響を受けて別作者が著した作品、特に滑稽本をまとめて収録するものである。それらは、江戸に限らず、京都・大坂・名古屋など様々な土地で版行されており、全国的な「膝栗毛もの」人気の拡大を確認できる証左ともなっている。
　かかる「膝栗毛もの」文芸の通史的な集成によって、それを享受した読者層　—江戸庶民という新興の文学読者たち—　の興味嗜好が判明していくわけであり、文化遺産としても珍重されるものとなるであろう。

本書の特色

●第1期の『道中膝栗毛』など十返舎一九による作品に続き、第2期以降は他の作者によるいわゆる「膝栗毛もの」の系譜を辿る。第2期は滑稽本をまとめた復刻集成。
●収録に際しては、文学史的に重要なものや稀覯書を中心とし、さらには珍奇な写本なども収録する。
●尾崎久弥、中村幸彦など先賢の研究により明らかにされ、江戸文学の中の一分野を画する「膝栗毛もの」について、その全容を示すことを企図している。
●各作品については、収録巻の巻末に編者による詳細な解題を付す。