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叢書・近代日本のデザイン 明治篇 全9巻

叢書・近代日本のデザイン 明治篇 全9巻

[監修・解説] 森仁史 [解説] 緒方康二 [解説] 北澤憲昭 [解説] 橋本優子 [解説] 山崎達文

揃定価176,000円(揃本体160,000円) 
ISBN 978-4-8433-2669-5 C3370
A5判・B5判(第1巻・第7巻)上製/クロス装/函入
刊行年月 2007年11月

関連情報

本書の内容

それぞれの時代の歩みを希少な原典で再現。近代日本の造形文化とその固有性を浮彫にする画期的シリーズ。

画像 : 『図案月報』より

監修のことば       「デザインする志」 森 仁史

日本の近代文化が西欧の影響のもとに展開してきたことは紛れもない事実である。しかし、それが常により進んだものをそのまま受容してきたという単純な構図だったのではなく、日本の側にもともとあった特性や個性によって様々に選択され、個々に受容の様相を異にしてきたことが明らかにされてきている。つまり、最近の研究成果は近代日本の造形文化がどのように固有なものだったかをはっきりさせてきているのだ。
 とくにデザインの領域では、いわゆるモダンデザインこそが真理なのだという戦後生まれの固定観念によって、日本のデザインの歴史を真摯に振り返ることが阻害されてきた。あるいは、そうした遺産にあえて目をふさいできた。しかし、グローバリゼイションの動きは日本の個性をデザインにどう表現するかという問いかけとなって再び自らに問い直され、日本デザインの出自に眼を向ける必要が増してきている。
 そこでこの度、日本近代デザインの歩みをそれぞれの時代の原典によって再現しようと考えた。つまり、かつての先人がなしとげた成果と意図をそっくりそのまま現代の読者に届けようというのである。この精査が可能となったのもまた、最近のデザイン史研究の成果であり、本シリーズはこれら最新の研究動向に基づいて取捨選択されている。多くの人々の真剣な学習や不断の追及によって成し遂げられた仕事はそのままでも今も現代人の感覚を撃つことができるかもしれない。しかし、我々にとって再び手軽に手にとることができるようになったこれらの成果から、今日の課題に応えるものをつかみだすことこそ、先人の志を受け継ぐもっとも正当なまた価値ある仕事のように思える。
 願わくばより多くの読者にこれらの資産が届けられ、多くの稔りを得んことを。

推薦文 「有意義かつ喜ばしい復刻版の刊行」 柏木 博(デザイン評論家)

日本の近代デザインの歴史に目が向けられたのは、さほど古いことではない。せいぜい、三〇年ほど前のことだ。当初はどのような文献や資料が、デザイン史に深く関わっているのかを判断することも手探りの状態であった。
 今回、復刻される文献は、日本の近代デザイン史上、きわめて重要な位置を占めるものがすでに精査されており、今後のデザイン史研究に大きく貢献するものとなる。誰もが、手軽に文献資料を入手できることは、研究の深化にかかわってくる。多くの、とりわけ若い研究者が、文献資料の探査の手間なく、むしろそれらの新たな解読にこそ力を注ぐことができるからだ。
 日本の近代デザインは、デザインという領域からの「近代」の解明にほかならない。近代の近代性とは何かを問うことが、脱近代が語られている現在こそなされるべきだろう。そうした意味においても、この復刻版の刊行は、有意義でありまた喜ばしいことである。

【本書の特色】

◆造形文化の深層に迫る
明治以来の真剣な取り組みの中から、日本デザインのオリジナルな発想や源泉を読み取ることができる。

◆近代日本のデザインを総括
戦後はモダンデザイン偏重だったため、殆ど省みられなかった近代日本のデザインを総括的に見渡すことができる。

◆高い資料価値
日本デザインの個性が求められている現在の風潮にとって、格好の参考資料となる。

叢書・近代日本のデザイン 第1巻

定価18,700円 (本体17,000円) ISBN978-4-8433-2670-1 C3370

[解説]緒方康二 [解説]森仁史 [解説]山崎達文

◆納富磐一・森山守次[序文]
納富介堂翁事蹟 大正十一年
明治六年ウィーン万博以来のデザイン指導者の伝記。おもに陶磁器産業に従事。
◆畑 正吉[著]
工芸の先覚者 納富介次郎先生 昭和十二年頃(私家版)
◆河原五郎[編]
河原徳立翁小伝 昭和四年(非売品)
納富と明治三十三年パリ万博出品を準備し、後に瓢池園を運営し、以後長く陶芸界に影響を及ぼした指導者の伝記。
◆農商務省商工局[編]
欧米各国美術工芸図案ニ関スル報告 明治四十二年
英、仏両国連合博覧会ニ於ケル装飾美術ニ就イテ(白瀧幾之助)/英国ニ於ケル応用彫刻ニ就テ」(高村光太郎)/白耳義国ニ於ケル美術工芸品意匠図案(武石弘三郎)/米国ニ於ケル流行ノ洋灯ニ就テ(小川三知)

叢書・近代日本のデザイン 第2巻

定価17,600円 (本体16,000円) ISBN978-4-8433-2671-8 C3370

[解説]北澤憲昭

◆植田豊橘[編]
ドクトル・ゴットフリード・ワグネル伝
大正十四年、博覧会出版協会(非売品) 
明治初期の博覧会を中心にした資料集。ワグネルの答申書などを含む。

叢書・近代日本のデザイン 第3巻

定価18,700円 (本体17,000円) ISBN978-4-8433-2672-5 C3370

[解説]森仁史

◆横井時冬[編]
日本工業史 明治三十一年(訂正再版) 吉川半七 
明治まで国内の存続した各種の伝統技法産地の来歴と現状を詳細に記述。

叢書・近代日本のデザイン 第4巻

定価13,200円 (本体12,000円) ISBN978-4-8433-2673-2 C3370

[解説]森仁史

◆谷口香 ・鈴木瑞雄・田中幽峰[著]
工芸図鑑 一・二・三 明治二十四年 田中治兵衛
◆河浦謙一[編・発行]
図案月報 第一号 明治二十八年、吉沢商舗陳列館
『工芸図鑑』は日本の様々なジャンルの古典から図案や意匠を木版画で採録したもの。『図案月報』は海外で評判となった工芸品をやはり木版で再録した出版物。いずれも輸出を目指した製品づくりに供せられた。

叢書・近代日本のデザイン 第5巻

定価24,200円 (本体22,000円) ISBN978-4-8433-2674-9 C3370

[解説]橋本優子

◆下田歌子[著]
家政学 上・下 明治二十六年 博文館
身分制解体とともに新しい礼儀作法の規範を模索し、自由になった家事運営への合理的取り組みが開始された。今日から見れば保守的だが、この時期にあっては充分革新的な内容。後の生活改善に継承される。

叢書・近代日本のデザイン 第6巻

定価16,500円 (本体15,000円) ISBN978-4-8433-2675-6 C3370

[解説]緒方康二

◆島田佳矣[著]
工芸図案法講義 明治四十四年(初版)大正四年(四刷)興文社
明治三十四年以来ながく東京美術学校図案科で教鞭をとった著者の教科書。どちらかといえば伝統保守的な立場の内容。

叢書・近代日本のデザイン 第7巻

定価37,400円 (本体34,000円) ISBN978-4-8433-2676-3 C3370

[解説]緒方康二

◆小室信蔵[著] 松岡 壽[校閲]
一般図案法 明治四十二年(訂正再版) 丸善株式会社
明治期のデザイン教育で普及した教科書。著者の小室は自然描写から抽象化する便化を理論化した。
◆大日本図案協会[編]
おだまき 明治四十年
明治期の図案教育のシステムを概念化した図表。小室信蔵の推進した教育法のシステム一覧。
◆東京高等工業学校[編]
東京高等工業学校二十五年史 明治三十九年
ワグネルの建言によって生まれた実業教育学校の初期の活動を回顧。

叢書・近代日本のデザイン 第8巻

定価14,300円 (本体13,000円) ISBN978-4-8433-2677-0 C3370

[解説]森仁史

◆杉本文太郎[著]
日本住宅 室内装飾法 明治四十三年 建築書院
著者の杉本はこれ以後も何度も同様の手引書を執筆している。身分制解体とともに武家の作法が模倣されていく時期のありさまを知ることができる。

叢書・近代日本のデザイン 第9巻

定価15,400円 (本体14,000円) ISBN978-4-8433-2678-7 C3370

[解説]森仁史

論文選 明治篇
【収録論文】「会頭佐野常民演説」(『工芸叢談』明治十三年)/林忠正「高岡銅工ニ答フル書」(『龍池会報告』明治二十年)/今泉雄作「図按法」(『国華』明治二十七年)/浅井忠「巴里消息」(『ホトトギス』明治三十三年)/浅井忠「図案の線に就て」(『小美術』明治三十七年)/「神坂雪佳氏の意匠工芸談」(『図案』明治三十五年)/『巴里万国博覧会臨時博覧会事務局報告 下』第十章第三節 本邦部(明治三十五年)/河原徳立「仏蘭西博覧会に就て」(『日本美術協会報告』明治三十四年)/前田香雪「意匠図案の話」(『日本美術協会報告』明治三十年)/井出馬太郎「素人図案研究者の為め」(『技芸之友』明治三十九年)/黒田天外「京都に於る美術工芸革新の機運」ほか(『京都美術』明治四十四年)/板谷波山「京都附近の陶器と其特徴」(『美術之日本』明治四十四年・四十五年)/「我国将来の建築様式を如何にすべきや」(『建築雑誌』明治四十三年)/小川三知「米国に於けるステインドグラス」(『美術新報』明治四十五年)/川辺正夫「亜米利加の話」(『東京美術学校校友会月報』(明治四十五年)/明治大正工芸史資料 其の一(『帝国工芸』昭和四年:稲葉七穂「並河靖之氏に就て」 宮川恒助「初代眞葛宮川香山の作風と其特徴」 飯田勝美「故加納夏雄先生に対する追慕の寸感」 平田宗雄「平田宗幸略伝」 福井千尋「初代陶壽伝」 吉野富雄「白山松哉翁の事ども」)/明治大正工芸史資料 其の二(『帝国工芸』昭和四年:梅澤隆眞「柴田是眞略記」 伊藤陶山「故伊藤陶山小伝」 塚田秀暎「塚田秀鏡略伝」 木内半古「木内喜八翁の話」 久保田米僊「久保田米僊略伝」 間部時雄「ステインドグラスの先覚者小川三知氏」)/明治大正工芸史資料 其の三(『帝国工芸』昭和四年:井上勝只「陶工井上斎高小伝」 駒井音次郎「故駒井音次郎略伝」 川之辺一朋「川之辺一朝略伝」 池田泉哉「池田泰眞略伝」 薄拙太郎「橋口清君の思出」)/明治大正工芸史資料 其の四(『帝国工芸』昭和五年:川島信三郎「帝室技芸員故川島甚兵衛翁の追憶」 谷紀三郎「父竹本隼太夫を語る」 海野建夫「海野美盛小伝」 平山復二郎「平山英三略伝」)/「名工」(社団法人大阪府工芸協会『昭和九年五月 創立十周年記念録』昭和九年)