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本書の内容

※一部に品切れの巻がございます。

我が国初の、総合的地方別方言研究！

【本書の特色】
●各地方の方言の全貌を俯瞰する、我が国初の総合的地方別方言研究。
●全体を記述的研究ー１.方言概説・総論、２.音韻、３.アクセント、４.文法、５.語彙の記述的研究、６.言語地理的研究及び７.社会言語学的研究の７分野に分類。
●１～７を単独で読めばそれぞれの分野における特徴が、通して読めば方言研究の歴史が一目でわかる仕組み。
●散在する近代から現代までの雑誌掲載方言研究論文を中心に、地方別に編集。

■監修のことば「過去の方言研究を集大成」
　　　　　　　　　　　井上史雄（東京外国語大学教授）
　日本の方言学は研究水準が高く、どんな土地についても一応の報告が出ている。だから、各地の方言を知るには、現地に足を運んで話し手から聞き出すのもいいが、これまでの研究文献でもかなり詳しく分かる。それに今は共通語化が進んで、昔のことばをとどめる理想的な話し手を見つけるのはむずかしい。方言使用は衰退して、人跡未踏の秘境で変わった方言を今から発見する可能性はまずない。ということは、そろそろ過去の方言研究を集大成して、さらに新たな研究に踏み出す時期にさしかかっているとみてよい。
　日本の方言研究の特徴は、文献目録が整っていることである。方言論文は数が多いが、関係者の作った明治以来の文献目録があり、また毎年「国語年鑑」に収録される。一部はパソコンでも検索できる。だから文献名を探すのは楽なのだが、最後の難関があった。論文そのものが入手しにくいことだった。あまり部数の多くない学術雑誌や研究室誌などに載るものは、探す手間が大変だった。現物は手元にない、大学にもない。国会図書館には足を運ぶ時間がない。論文を読んでいる時間より、探して見に行く時間のほうが長いくらいだった。
　今回我々は各地の方言についての論文の復刻を企てた。これによって論文そのものに目を通しやすくなる。名のみ有名で入手因難だった名論文をそのままの形で読むことができる。また埋もれた論文が世に出る効果もあろう。
　収録論文の選択基準には、気を遣ったつもりである。まず論文の質で判断した。また内容のつりあいを考慮し、総論・音韻・文法・語彙などの記述的研究に、言語地理学的・社会言語学的研究も加えた。各地の方言の様子がそれぞれ一冊で分かるように心がけた。
　読者の対象は、まず大学・高校や地域の公共図書館の利用者である。各地の方言について詳しく知りたいという要望に応えることができるだろう。次にことばの研究者。書斎・研究室に専門図書館を持ったと同じ効果があるだろう。少しでもお役にたてれば幸いである。