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せんせいスイッチ 1
びわこん・レポート 【new!】
中高生が触れて学んだ関係性の授業
定価2,420円(本体2,200円)
ISBN 978-4-8433-7146-6 C3337
四六判/288頁
刊行年月 2026年05月(予定)
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本書の内容
違和感は宝。「本物」に触れて考えた、心と体の自己決定について、中高生の本音を収録。
本書は2021 年から2023 年にかけて全国81 校の中学校・高等学校で実施した体験型プログラム「びわこんどーむプロジェクト」の記録です。
〈びわこんどーむプロジェクト〉とは
学校という集団学習の場で、コンドームに実際に触れる体験を通して、性・関係性・自己決定について考える機会を届ける教育実践プロジェクトです。2021年から2023年にかけて、全国81校の中学校・高等学校で実施し、延べ10,957名の生徒が参加しました。
教材〈びわこんどーむ〉とは
学校での配付・体験を前提に開発された自主練習用のコンドーム教材です。琵琶湖オオナマズをモチーフにしたデザインを採用し、生徒が手に取ることへの心理的ハードルを下げつつ、教材として扱うことを重視して設計されています。パッケージおよび付属資料には、性・同意・避妊・人権に関する基礎情報を掲載しています。
もくじ
はじめに 教科書に載っている「コンドーム」、生徒に触らせますか?
・中学3年生のオーストラリアで起きた出来事
・「ちゃんと教えてきた」はずだった
・「「コンドームって何なんですか?」「中学のときに聞きたかった」
・習うより 触って慣れよう コンドーム
第1章 前例は、こうして生まれた
・「コンドーム指装着ペアワーク」の夜明け
・プロジェクトを動かした「4人」のキーパーソン
・はじめて承認した管理職は「元同僚」
・コンドーム・ワークは「正課授業」
第2章 「空気を読む文化」と「同調圧力」を、学びの力に変える
・なぜ「学校」にこだわるのか
・情報過多時代、「ひとりで抱える」性の悩み
・「問い」が閉じる、AI の落とし穴
・学校は、問いを「他者」に開く場所
・多様性は、配置するだけでは立ち上がらない
・タブーは、「学びのエンジン」に反転する
・大人数だからこそ生まれる、「安心安全」
・慎み、節度、思いやりが、「確かな力」へ
第3章 他人の性は、教育できない
・学びが立ち上がる環境を、学校につくる
・「性」とは、心とともに生きること
・学校にコンドームが登場する意味
・自分と他者に、向き合える場
第4章 学びを成立させる、環境と設計
・ねらい①:多様性が「立ち上がる」環境づくり
・ねらい②:当事者意識が「生まれる」身体経験
・ねらい③:違和感が「言語化される」内省の時間
・「びわこんどーむ」講演会の基本構成(90 分間)
・通常授業でも可能な実践
第5章 液の交換ゲームが可視化する、関係性のリアル
・「自分は感染しない」を揺るがす体験
・液の交換ゲーム「HIV 感染じわじわ拡がるゲーム」の方法
・液の交換は「二人のあいだ」で起きている
・同意がない「交換」はセックスとは呼ばない
・予防を「選択肢」として考える
・失敗したとき、知識は最大の防御となる
第6章 触れた瞬間、当事者になる
・だから、コンドームに触れる
・「教えない」が、生徒の学びをひらく
・自分の感覚を、他者の前で確かめる
・生徒も教員も、話していい環境
第7章 全国1万人の中高生にコンドームを配ってわかったこと-アンケート結果分析-
・教材「びわこんどーむ」とは
・「びわこんどーむプロジェクト」とは
・Q1 コンドームの存在を“知る”のは今回が初めてですか?
■学年によって大きく異なる「存在認知」
■教科書が担っているのは「名前を知る」段階まで
■「知らなかった」ことが授業設計に与えた影響
■「ふざける」が学習行動に変わるとき
・Q2 コンドームの実物を“見る”のは今回が初めてですか?
・Q3 コンドームの実物に“触る”のは今回が初めてですか?
■実物に「出会う」機会は、学校に強く依存している
■「見たことすらない」まま、判断の場面を迎える構造
■実物に触れることで初めて生じた判断の変化
■「一度でも触れること」の意味
・Q4 学校でコンドームの装着方法を学習したことを肯定的に捉えていますか?
■装着方法の学習は、9割以上が「肯定的」と回答
■手指装着ペアワークは「貴重な体験」として受け止められていた
■「肯定的ではない」生徒も、学習の必要性は否定していない
・Q5 学校でコンドームが「配付」されたことを肯定的に捉えていますか?
■ コンドーム配付は約9割が「肯定的」と回答
■「女子には不要」という認識はごく少数にとどまった
■否定的な理由に浮かび上がったのは「家族」という存在
・Q6 教材「びわこんどーむ」のパッケージで印象に残った項目はどれですか?(最大三つまで選択可)
■教材パッケージで、何が強く印象に残ったのか
■高校段階で現れる順位の逆転──避妊という現実への集中
■「触れて学ぶ」ことは、方法ではなく経験として記憶された
■性別による受け止め方の違いについて
■本設問の位置づけ──教材全体に目を通すための仕掛けとして
・Q7 コンドームの装着方法を学習するのに適当な学年はいつだと思いますか?
■「学ぶ必要はある」、ほぼ全員が一致した
■「義務教育が適当」という回答が示す、早期学習へのニーズ
■「自分が学んだ学年」を基準にする判断
■「小学校低学年」を選択した生徒の理由
■「小学校高学年」を選択した生徒の理由
■「学校で学習する必要はない」を選択した生徒の理由
■「小学校低学年」と「学校で学習する必要はない」の共通する感情
■「受験」という判断材料
■性別による選択理由の差異
■生徒たちが判断に用いた「向き合えるタイミング」
■背景に隠れているものを、読み取るために
・Q8 任意欄
■感謝の言葉が示した「機会そのもの」の意味
■「学校だから学べた」という現実感
■抵抗感や改善点こそ重要なデータ
■「触れた経験」が使用語彙を変えた
■タブーの空気がほどけ、未来の行動へつながる
・はじめて見えてきた学びの輪郭
第8章 プロジェクトでわかった〈タブー〉の正体
・「びわこんどーむ」を学校現場に呼び込んだ担当教員の姿
・男性教員が少数派になった理由
・学校で「性」を引き受けてきた教員たち
・男性教員はどう関わったのか
・高校から中学へ広がった理由
・「障壁はなかった」という結果を、どう読むか
・無理せず引き受ける現場と進む
・とある中学校が示した、「障壁」の動かし方
・タブーの正体は「責任の所在」だった
第9章 「びわこんどーむ」伝道師たちの声
・覚悟を引き受けた現場で起きたこと
[寄稿] 生徒の心に響く性教育講座(栗東市教育長 今井義尚)
[寄稿] 「性と生について考える授業」のバドンを繋ぐ(滋賀県立国際情報高等学校 保健体育科 中野麻紀子)
[寄稿] 教師の味方、びわこんどーむくん(北海道平取高等学校 保健体育科 貝出千春)
[寄稿] 攻めた授業(びわこ成蹊スポーツ大学 サッカー部コーチ 石部元太)
[寄稿] 先生方の熱意により実現した定時制高校での実践(NPO 法人HIKIDASHI 代表 保健師/ 思春期保健相談士 大石真那)
[寄稿] 「学校では教えてくれない性教育」から「学校で〝も〟教えてくれる性教育」へ(三重県度会郡南伊勢町立南勢中学校 養護教諭 中世古さゆり)
[寄稿] 私も中学生の時に教えてほしかった! !(滋賀県立水口東中学校 教頭 奥美智子)
[寄稿] 実践! びわこんワーク(助産師/さくらい助産院開業 櫻井裕子)
[特別寄稿] 問いと対話の性教育(教育社会学者 福島創太)
第10章 主役は生徒たち。
・生徒たちは、すでに未来を見ている
・性教育を受けてこなかった人の判断
・生徒たちの声の中に、「正解」はある
・「当たり前」は、こうして社会に染み込む
・「性教育」という言葉の、手前に置きたかったもの
生徒からの質問集( 講演後の「振り返り通信」より)
あとがき びわこんどーむくんと、偶然の出会いに導かれて。
謝辞
〈著者〉 清水美春
滋賀県生まれ。
京都大学 高大連携特定職員。立命館大学大学院 先端総合学術研究科一貫制博士課程。
元滋賀県立高校教諭(教員歴19 年)。保健体育科教諭として進学校での実践を重ね、現職参加制度を利用し青年海外協力隊(JICA) としてケニアで2 年間エイズ対策に従事。その後、夜間定時制高校および滋賀県教育委員会勤務を経て、現職。大学院では文化人類学専攻。中学校・高校ならびに大学・教員研修において外部講師として講演を実施。思春期保健相談士。〈びわこんどーむプロジェクト〉代表。
