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民国期中国における賀川豊彦の受容(1920-1945)【new!】
―新聞と雑誌資料による研究
定価5,500円(本体5,000円)
ISBN 978-4-8433-6875-6 C3016
A5判/並製/カバー装
刊行年月 2024年12月
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本書の内容
キリスト教に基づく 社会運動家として名高い 賀川豊彦の思想は、 同時代の中国で如何に受容されたか。 日本・中国・米国の新資料を駆使して、 賀川の知られざる一面に光を当てる。
賀川豊彦(1888-1960)は、大正・昭和期にかけてキリスト教精神に基づき、労働者・農民・貧困者の救済活動を展開していたことで、現在でも高い評価を保っている。一方で、賀川は戦前、8回にわたり中国を訪問し、現地のキリスト教会指導者や政治家と積極的に交流を重ねていたことは、あまり知られていない。また、台湾や香港へも何度も渡航し、伝道や講演に励んでいた。
本書は、こうした賀川と中華圏との関りについて、日本・中国の新聞・雑誌等はもとより、台湾の中央研究院や米国のイェール大学、プリンストン神学院における新発見の資料によって、その思想的影響を明らかにし、同時に評価の分かれる側面をも考察するものである。
この課題に対し、以下の視点よりアプローチする。
(1)1920-40年代の中華圏における日本からの思想受容史モデルを確立する。
(2)これまで希薄であった、中華圏における賀川の活動と相手からの反応を明らかにする。
(3)賀川の活動を日本史・世界史の中に位置づけ、歴史教育における新たな視点を提供する。
賀川は、キリスト教への深い理解や社会運動の実践、中国のキリスト者との対話を通じて、中国での信仰運動の理論的支柱として受容された。一方で、賀川の日本の植民地主義への肯定的な発言は反発をも招き、その評価は二面的なものとなった。
目次
序 章
第I部 戦前・戦中の中国における賀川の交流活動
第一章 賀川と黄日葵―五四期の北京大学学生訪日団団員黄日葵の「贈賀川豊彦先生」を中心に
第二章 「神の国運動」と「五カ年運動」―賀川と誠静怡の関係を中心に
第II部 戦前・戦中の中国における雑誌や新聞からみる賀川像
第三章 民国期の中国における賀川に関する報道―『東方雑誌』と『大公報』を中心に
第四章 民国期の中国における賀川に関する報道―『大陸報』を中心に
第III部 台湾・香港における賀川の交流活動とその受容
第五章 『台湾日日新報』からみる賀川と台湾の関係―大正期・昭和戦前期の台湾訪問を中心に
第六章 賀川と香港―賀川は香港の新聞や雑誌にどのように報じられたか
終 章
補 論 第一章 賀川豊彦の社会思想及び民国期中国の知識人の評価と受容
あとがき/参考文献/索引
*本書は、公益財団法人賀川事業団雲柱社による2023年度第8回出版助成を受けて刊行されるものです。
庾凌峰(ゆ・りょうほう) 1991年中国湖南省生まれ。2020年に兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科博士課程修了。博士(学校教育学)。立命館大学BKC社系研究機構社会システム研究所客員研究員を経て、現在、安徽大学外国語学部講師、南開大学日本研究院ポスドク研究員。