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記号化される日本

記号化される日本
—台湾における哈日現象の系譜と現在—

[著] 張 瑋容

定価8,800円(本体8,000円) 
ISBN 978-4-8433-5680-7 C3036 NDC:361
A5判/上製/カバー装/284頁
刊行年月 2020年03月

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本書の内容

台湾の日本オタクの歴史を繙き、台湾人の親日感情の構造を分析する。

「哈日族」(日本の現代大衆文化を好む台湾の若年層=台湾の日本オタク)の動向について歴史を繙き、フィールドワークと理論的分析を重ねながら、台湾人の親日感情の構造を分析する。「日本化」⇒「脱日本化・中国化」⇒「日本化」というマクロ的な流れの中で、台湾人の中の多様な日本のイメージの変化を「記号化」として読み取ってゆく。

目次

序 章 問題の所在と本書の目的
1.研究背景
2.研究視座
3.研究方法と研究対象
4.本書の構成
▼第一部▲………………哈日現象の系譜
第1章 新聞記事にみる哈日現象の展開と変容
1.新聞記事にみる哈日現象の展開と変容
2.哈日現象の再定義
第2章 断続的に存在する〈日本〉
1.植民地期における日本の記号化
2.戒厳令期における〈日本〉表象の変容
3.哈日現象との断続
まとめ
▼第二部▲………………哈日現象の現在
第3章 歴史と現代が混合する台北西門町
1.台北西門町の昨今
2.台北西門町の現在:2012〜2017
3.西門町の重層的な景観:ジェンダー化と序列化の消費空間
第4章 オタク文化で特徴づけられる台北地下街
1.台北地下街の概略
2.台北地下街の現在:2012〜2017
3.男性オタクを中心とする消費空間
第5章 哈日族のライフストーリー
1.男性アイドルを妄想する女性ファン:AさんとCさん
2.女性アイドルグループを「追っかける」男性ファン:FさんとGさん
3.女性アイドルに対する女性ファンの視線:DさんとEさん
4.〈日本〉に囲まれる生活を生きる女性オタクBさん
5.成人向けゲームの「プロ」:Hさん
6.声優も愛する男性オタク:IさんとJさん
7.「脱哈日」後も〈日本〉との関係性が続くKさん
まとめ
▼第三部▲…「〈日本〉への愛着」の体系
第6章 哈日族の妄想とセクシュアリティの構築
1.哈日族のグッズコレクション
2.グッズに投影されるファンの欲望と妄想
3.哈日族の〈日本〉を巡る集合的想像
第7章 現代台湾社会における〈日本〉の位置づけ
1.本土化とグローバル化にみる〈日本〉
2.〈日本〉への眼差しを解く
まとめ
終 章「日本の記号化」の系譜にみる親日感情の重層的構造
1.はじめに
2.本書を振り返って
3.「日本の記号化」から見いだす親日的な社会構造とその形成の系譜
4.「〈日本〉への愛着」の解析:重層的構造を持つファンタジー
5.おわりに

本書の特色

●台湾の「哈日現象」を、歴史、フィールドワーク、社会学理論などによって多角的に分析。
●豊富なフィールドワークやインタビューは理論化を補強しつつ、読者に具体的な事象を伝える。
●日本のポップカルチャーの東アジアへの発信についても貴重な情報を提供。

張 瑋容
1983年台湾生まれ。2018年にお茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科博士後期課程ジェンダー学際研究専攻修了。博士(社会科学)。お茶の水女子大学基幹研究院リサーチフェローを経て、名古屋大学男女共同参画センター研究員。主要論文に「<日本>をめぐるファンタジー:ドラマ『おっさんずラブ』の台湾人ファンの言説分析から」(『年報カルチュラル・スタディーズ』第7号:pp. 73-94、2019)」、「台湾人『哈日族』の生活構築にみる<日本>をめぐるファンタジー—哈日族のグッズコレクションに着目して—」(『新社会学研究』第2号:pp.135-154、2017)、“Exploring the Significance of 'Japaneseness': A Case Study of Fujoshi's 'BL Fantasy' in Taiwan.” (Maud Lavin, Ling Yang, and Jing Zhao, eds., Boys' Love, Cosplay, and Androgynous Idols: Queer Fan Cultures in Mainland China, Hong Kong, and Taiwan. Chapter 9: pp. 179-194, 2017, Hong Kong: Hong Kong University Press)など。

NDC:361