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戦後千島関係資料 全4巻

北海道立文書館所蔵
戦後千島関係資料 全4巻

[監修・解説] 黒岩幸子

揃定価107,800円(揃本体98,000円) 
ISBN 978-4-8433-5559-6 C3321
刊行年月 2019年07月

関連情報

本書の内容

敗戦直後、ソ連による占領を記録した「千島及離島ソ連軍進駐状況綴」、および領土復帰をめぐる行政資料を収めた文書群。

敗戦直後、千島列島内の役場と根室支庁との連絡を収録した「千島及離島ソ連軍進駐状況綴」は、近年、北海道立文書館に移管され、閲覧が可能となった。この史料は、ソ連による千島占領を記録した日本側唯一のものであり、北方領土問題の起点を研究する上で、極めて価値が高い。この他にも、道立文書館は領土復帰を目指す道行政や元島民からの陳情、漁民の安全操業等に関する史料を所蔵しており、これらも北方領土をめぐる歴史研究には欠かせない。本資料集は、平和条約締結に向けて日露両国が動きを見せている昨今、考察の材料を広く提供するために、出版するものである。

刊行にあたって         黒岩幸子

 第二次世界大戦末期に対日参戦したソ連は、日本によるポツダム宣言受諾後の一九四五年八月一八日に北千島に侵攻、九月五日までに歯舞群島を含む千島全島を占領した。今なお日ロ間の最大の懸案である領土問題の発端である。
 北海道立文書館が所蔵する簿冊五点を影印形式で全四巻に収めた本資料集は、敗戦直後から一九六四年までの約二〇年にわたる、千島をめぐる主として北海道の状況を赤裸々に示すものだ。北海道根室支庁(四点)と北海道総務部(一点)が作成した簿冊には、島民の聴取記録、電報、陳情書、決意書、声明文、各種会議の議事録、行政書類、千島の概要を示すデータ、日ロ外交に関する情報など多岐にわたる文書が集録されている。合わせて二、二〇〇頁に及ぶこれらの貴重な資料は、日ロ領土問題に関する基本文献の一つと言えるだろう。
 特に『千島及離島ソ連軍進駐状況綴』(第一巻)は、占領直後の緊迫した状況を島民自身が伝える唯一の公文書として永久保存されている。第二〜四巻は、「千島の放棄」を定めたサンフランシスコ平和条約(一九五一年)と「平和条約締結後の二島(色丹・歯舞)引き渡し」を明記した日ソ共同宣言(一九五六年)をめぐる関係者の動きを明らかにする。
 講和会議前の道内は、立場によって返還要求の範囲が、南千島、千島全島、樺太千島の三つに分かれて一致しない。日ソ共同宣言後は、冷徹な現実を受け入れて二島返還に望みを託すが、その実現は年を経るごとに遠のく。資料からは、国際情勢や日ロ外交に翻弄される元島民や漁業者、また対応に苦慮する根室や北海道の姿が浮かび上がる。
 その重要性にも関わらず、本資料集にまとめられた文書がこれまで注目されなかった理由は二つある。まず、一九六〇年代後半から日本政府が「北方領土返還」で国論を統一し、メディアもこれに迎合したことだ。「南千島」という呼称は禁じられ、四島返還以外の主張は封じられた。次に、学者や専門家が国際政治や日ロ外交の枠組みだけで領土問題を論じ、肝心の当事者や地元に関心を払わなかったことだ。
 本資料集の刊行を歓迎し、研究者だけでなく、領土問題に関心をもつ人々に広く読まれることを願いたい。そして、領土研究の新たな地平が切り拓かれ、さらには問題解決へ向けた柔軟な思考が生まれることを期待してやまない。
(岩手県立大学教授)

◆本書の特色◆

●ソ連軍による千島占領を記録した日本側唯一の史料。
●戦後、北海道の行政における「北方領土」認識が形成される過程を示す。
●元島民からの陳情や歎願、集会の報告等を含み、初期の領土返還運動を記録する。
●第四巻に解説を収録し、史料解読の一助とする。

北海道立文書館所蔵 戦後千島関係資料 第1巻 千島及離島ソ連軍進駐状況綴

刊行年月 2019年07月 定価26,950円 (本体24,500円) ISBN978-4-8433-5560-2

「千島及離島ソ連軍進駐状況綴」
敗戦直後から昭和二一年春にかけての択捉、国後、色丹各島、歯舞諸島から根室支庁への電報、根室支庁から北海道庁への報告、脱出者からの聴取書等。

北海道立文書館所蔵 戦後千島関係資料 第2巻 千島に関する資料/会議関係

刊行年月 2019年07月 定価26,950円 (本体24,500円) ISBN978-4-8433-5561-9

「千島に関する資料」
昭和二五年三月、田中敏文(北海道知事)「千島返還懇請に関する所見」北海道議会「北海道附属島嶼たる南千島及び歯舞諸島復帰懇請趣意書」/昭和二〇年一二月一日「北海道附属島嶼復帰懇請陳情書」「千島列島概況」等。
「会議関係」
昭和三一年九月三日「領土復帰対策協議会状況」/昭和三二年一月二六日「諸島返還協議会開催」/昭和三二年四月二三日「色丹帰—住対策協議会総会並に物故慰霊法要開催状況」等。

北海道立文書館所蔵 戦後千島関係資料 第3巻 昭和三十二年度 領土復帰関係書類

刊行年月 2019年07月 定価26,950円 (本体24,500円) ISBN978-4-8433-5562-6

「昭和三十二年度 領土復帰関係書類」
昭和三二年八月、参議院外務委員の視察、元島民からの「決意書」「歎願書」、「色丹島歯舞諸島帰住希望者状況」等。

北海道立文書館所蔵 戦後千島関係資料 第4巻 自昭和三十三年 陳情要望事項に関する綴/解説

刊行年月 2019年07月 定価26,950円 (本体24,500円) ISBN978-4-8433-5563-3

「自昭和三十三年 陳情要望事項に関する綴」
昭和三一年八月二〇日、北海道「千島歯舞諸島復帰に関する要望書」/昭和三四年八月「領土並に安全操業に関する根室管内の基本方針」/昭和三六年九月一日根室支庁「拿捕漁船に対する措置」/昭和三六年九月二八日、大量拿捕緊急対策住民大会「大量だ捕緊急対策についての陳情書」等。