ゆまに書房YUMANI SHOBOU ONLINE

本書の内容

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●政治、社会、経済、文化、娯楽、生活………。常に時代性を映してきた『週刊朝日』。その創刊号（大正11年2月）から昭和20年8月26日号までの目次を総覧。

【本書の特色】
●創刊号から終戦までの全目次を網羅
大正デモクラシーと都市中産階級の増加を背景に、本格的に出発した週刊誌というメディアの先駆けである『週刊朝日』の総目次。創刊号（大正11年2月25日号）から終戦の昭和20年8月26日号までを収録。
※創刊号から第４号までは『旬刊朝日』。
●便利な執筆者索引
膨大な本誌の中の記事を通覧し、また、さまざまな手がかりにも有用な執筆者索引を下巻に付す。
●社会の変遷が一目瞭然
大正デモクラシー、昭和初期のモダニズム、そして戦争へとなだれていく時代の姿を政治、社会、経済、文化、娯楽、生活といった多様な記事のタイトルを見ることで把握することができる。
●文学研究にも貢献
週刊誌がひとつの発表の場として発達していく過程を知るとともに、意外な作家、意外な作品の存在を発見することが出来る。
●未開拓分野の基礎データ
メディア史、ジャーナリズム史研究の中で、未開拓と言っていい「週刊誌」の分野の研究の基礎的データを提示する。

本書「序にかえて」より　　　　　黒古一夫
　・・・蘇峰は、『国民之友』の成功の余勢を駆って一八九〇(明治二三)年二月一日『国民新聞』を創刊するが、『国民之友』から『国民新聞』へという民友社(徳富蘇峰)の歩みこそ、この国のマス・メディア(ジャーナリズム)及びそれを享受する読者の発展を象徴するものであったと言っていいだろう。
　そのような「文化・言論の大衆化」、別な言い方をすれば「大衆化社会」の実現は、・・・第一次大戦前後の、経済的な発展を背景とした「大正デモクラシー」と後に呼ばれた民主主義的・自由主義的な風潮によって、さらに強力に推し進められた。・・・
　その意味では、すでに欧米のメディアで一般化していた「weekly」を模倣した「週刊誌」がこの時代に登場したのも、必然であったと言えるだろう。『週間朝日』が、一九二二(大正一一)年二月二五日の創刊時に『旬刊朝日』(発売元　大阪朝日新聞社)として出発しながら、五号(同年四月二日号)から週刊に踏み切ったのも、その後ずっとライバル誌となる『サンデー毎日』(創刊同年四月二日　発売元　大阪毎日新聞)が創刊当初から週刊誌として発行されたことが強く影響したのだとも思われるが、やはり「大正デモクラシー」に象徴される大衆化社会の現象(風潮)が後押しした結果と考えられる。つまり、日刊新聞と月刊雑誌との中間に位置する「週刊」(旬刊)というメディアの在り方が、時代の風潮に見合うようになったということに他ならない。『旬刊朝日』が創刊当初から「旬刊」(後に「週間」)欄では一〇日間に起こった国内外の事件報道と解説を、「インサイド」欄では随筆、小説、賀、音楽、教育、出版、家庭・育児、等々の文化情報を、また「経済旬刊」(後に「週間経済」)では経済レポートという三部だてになっていたのも、時代がそのような構成を要請したと考えられる。・・・
　今回、これまで誰もが手を付けなかった「週刊誌」の「目次」を「一覧＝データ」として提供することができたのは、ひとえに山川恭子の真摯な研究の賜物である。これによって、これまで等閑視されてきた大正から昭和(戦前)にかけての「大衆文化」の一側面が明らかとなり、「大衆文化」からの日本近代史研究、あるいは近代文学史研究、近代メディア研究も進むのではないか、と思う。その意味でも、この「一覧＝データ」作成は画期的な労作である。その一端に参加できた者として、素直にこの労作の成就を喜びたい。