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• 「昭和初期美術年鑑集成」のカタログはこちらです。（pdf/2,289KB）

本書の内容

美術番付から美術年鑑へ―。その過渡期に刊行された昭和初期の貴重な美術年鑑を集成。

※このページ上部の「刊行年月」は、第２回配本の刊行年月を表示しています。

■監修者
　五十殿利治　筑波大学大学院教授
■解説者
　齊藤祐子　美術史家
（※本データはこの書籍の刊行時のものです）


刊行にあたって
　江戸にはじまり昭和までその伝統が脈々と受け継がれた「番付」に代わり、昭和初期、一九二〇年代になると、さまざまな「美術年鑑」の編纂が試みられた。
　「年鑑」が編まれる背景には、美術界というマーケットの存在と、そこに関わる人々のあいだの、等質な情報を共有したいというニーズがある。それとともに編纂者側の、たとえば『日本美術年鑑』（中央美術社編）の監修をつとめた石井柏亭が「将来美術史を編もうとする人々や、何事か美術に関する調査をしようとする人達にとってこれが如何に有力なドキューマンとなるであらうかは言ふ迄もない事である」（一九二五年版「緒言」）と述べたように、同時代の美術現象についての「記録」がそのまま途切れることなく「歴史」に接続しているという意識も存在していよう。
　一方、『英文日本美術年鑑 The Year Book of Japanese Art』は、国際連盟協会（一九二四年四月発足、会長渋沢栄一）の下に設置された学芸協力委員会から一九二八（昭和三）年に創刊した。この英語による日本美術年鑑は、必ずしも同時代の日本の美術状況に重きを置いたものではなかった。それはその刊行が、一九三二（昭和七）年までの五年間??ちょうど一九三三（昭和八）年の国際連盟脱退、翌三四（昭和九）年の国際文化振興会設立の直前までであったことからも、多分に対外文化宣伝という文脈で捉え返される「記録」なのである。
　今回の復刻集成を機に、これまでの日本近代美術史研究で言及されることの少なかったこれらの「日本美術年鑑」が、あらためて検証されることを期待したい。 （ゆまに書房編集部）