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働く人々のキャリア発達と生きがい
―看護師と会社員データによるモデル構築の試み
定価3,080円(本体2,800円)
ISBN 978-4-8433-3352-5 C1011
A5判並製/カバー
刊行年月 2010年04月
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本書の内容
多様な実証例にもとづき、働く人々にとっての「生きがい」を検証する。
働く人々の「精神的な健康や豊かさ」を総称するキーワードとして「生きがい」という概念を用い、われわれの成長=キャリア発達が、個人の「生きがい」感の獲得に貢献することができるか、貢献できるとすればどのようなものであるのか、を産業・組織心理学的な視点からの実証研究をもとに検討する。また、両者の関係が明確になったとすれば、働く人々や産業界にどのような提言が可能なのかを探っていく。
目次
はじめに
◆第1部◆ キャリアと生きがい
第1章 キャリア
第1節 キャリア
第2節 キャリア発達
第3節 キャリア発達を促進する要因
第4節 キャリア発達は何をもたらすのか
第2章 働く人々の生きがい
第1節 「生きがい」という言葉とその使われ方
第2節 生きがいの概念:
生きがいは何を意味するのか
第3節 生きがいの類似概念
第4節 生きがいの構成要素と尺度
第5節 働くことと生きがい:
生きがいと働き甲斐
◆第2部◆ 実証研究
第3章 実証研究の枠組み
第1節 先行研究とその要約
第2節 本研究の概要
付 表:質問紙 看護師対象の質問紙
第4章 働く人々の心理的well-beingとキャリア
第1節 職務満足感と生活満足感
第2節 キャリア満足感
第3節 キャリア発達
第4節 キャリア発達の促進に影響を与える要因
第5章 メンターとメンタリング
第1節 メンタリングの機能分類
第2節 メンタリングの受領と属性
第3節 メンタリングとキャリア満足感の関係
第4節 メンタリングとキャリア発達
◆第3部◆ モデルの検証とまとめ
第6章 [メンタリング—キャリア発達—生きがい]モデルの検証
第1節 予備調査による分析
第2節 生きがいを変数としたパスモデルの検討 —第6研究を用いた検証
第3節 会社員に関する検証
第4節 パス解析の結果の考察と課題
第7章 働く人々の生きがい感の構造について
第1節 生きがいの評価と対象
第2節 生きがいを構成するもの
第3節 モデルの構築
第8章 [キャリア発達—生きがい]
モデルと組織の対応:まとめにかえて
第1節 本研究の要約
第2節 組織はいかに対応すべきか
第3節 今後の課題
おわりに
「働く人々にとっての「生きがい」を検証する」 小野公一
「人はなぜ働くのか」 これが最初の著作『職務満足感と生活満足感』(白桃書房、1993)執筆の問題意識であった。その後20年近くが経とうとしている。
働くことの最大の目的が賃金にあるにせよないにせよ、今日のように多様な価値観が氾濫する時代にあっては、われわれは賃金以外にも多様な働く理由を挙げるであろう。ハーズバーグの言うところの「達成」や「承認」、「責任」など、すなわち職務満足要因に代表される「働くことの意味」や「働き甲斐」である。これらは極めて「自己実現」的な考え方とされているが、仕事を円滑に進めることを可能にする、人的な支援関係から得ることのできる精神的な健康や豊かさについても目を向ける必要があるのではないだろうか。すなわち、職務満足感に対するメンターやソーシャル・サポートなどの人間関係を通した、キャリア発達への影響の検証である。
本書の目的は、そのような問題意識をもとに、働く人々の「精神的な健康や豊かさ」を総称するキーワードとして「生きがい」という概念を用い、われわれの成長=キャリア発達が、個人の「生きがい」感の獲得に貢献することができるか、貢献できるとすればどのようなものであるのか、を産業・組織心理学的な視点からの実証研究をもとに検討することである。また、両者の関係が明確になったとすれば、働く人々や産業界にどのような提言が可能なのかを探っていく。
著者紹介
小野公一(おの・こういち)
1951年生れ。亜細亜大学経営学部教授。(1980年、亜細亜大学大学院博士課程後期単位取得退学。1980年、(株)社会調査研究所入社。1983年亜細亜大学経営学部講師。現在に至る。)専門は人事・労務管理、産業・組織心理学。職務満足感、キャリア発達とメンタリング、職場における人的支援(ソーシャル・サポート)などについての実証的な研究を行っている。著書に、『「働く女性」のライフイベント』ゆまに書房(馬場房子と共著)、2007年。『キャリア発達におけるメンターの役割』、白桃書房、2003年。『職務満足感と生活満足感』、白桃書房、1993年。