HOME書籍検索 > 新聞『日本』附録 明治中期分県地図

新聞『日本』附録 明治中期分県地図

新聞『日本』附録 明治中期分県地図
―付・中国/朝鮮/露西亜―

[監修] 清水靖夫 [監修] 有山輝雄 [編集・解題] 髙木宏治

定価75,900円(本体69,000円) 
ISBN 978-4-8433-3089-0 C3025
A3判上製/函入
刊行年月 2009年02月

関連情報

オンライン書店

オンライン書店で『新聞『日本』附録 明治中期分県地図 ―付・中国/朝鮮/露西亜―』の情報をチェックする

本書の内容

二十世紀初頭の日本を示す、我が国最初の新聞附録全国道府県地図。

新聞『日本』が1901(明治34)年1月25日より1903(明治36)年12月27日にかけ、附録として発行した各県別の地図(47道府県および台湾)を全て収録。地図裏面の「重要統計」も掲載する。また、同時期の『日本』の附録である中国、朝鮮、露西亜の地図も付す。

【本書の特色】

●短期間に集中的に発行された日本全国の分県地図であることに地図史上大きな意義があり、その全コレクションを収録する。
●20世紀初頭の日本の姿が地図の形で示され、地図裏面の各県重要統計も含めて、地理学、地方史、交通史、産業史などの研究に多くの示唆を与える。
●陸羯南の『日本』がこうした全国の分県地図や中国、朝鮮、露西亜の地図を附録として発行したことは、新聞史の上で注目すべきことである。
●本復刻板は、原則として原寸(A2判)で掲載。解題・解説を付し、また、裏面の重要統計の項目一覧を付す。

刊行にあたって       清水靖夫(日本国際地図学会評議員)

 本地図集の大部分を占めるのは、わが国最初の新聞附録の分県地図である。分県地図とは、都道府県別に図葉毎にまとめた地図の総称であり、この様式は現在に続いている。陸羯南の持つ思想の背景として、故郷そして日本地域の全てを、人々に認識させようと考え地図の作製を考えたとするのは、穿ち過ぎであろうか。
 廃藩置県後の混乱が、一段落着いたのが明治二十(一八八七)年、奈良県が大阪府から分離独立した年でもあった。また、市制・町村制が公布されたのが二十一年(翌年施行)であり、この時作られた市町村が現在に連なる行政単位の基本になっている。民間の地図製作者も、それまでの国郡図的なものから、新しい道府県別の地図の製作に着手したのは、二十年代の後期になってからであった。
 この分県地図は、道府県の区画と市町村が、ようやく人々の生活に直接関わるようになった時期に当り、明治三十年代中頃の三年間に全ての道府県について刊行されたのは興味深い。地図にはすべての市町村と主要交通路、主な名所・旧跡や山岳が描かれている。裏面には、その道府県の統計、解説、地域の説明が書かれ、道府県についての理解を助けている。また、この時期は国際情勢を反映し、日本も近隣諸国との間に緊張状態を形成、すでに日本の領域内に在った台湾を含め、朝鮮、露西亜を地図として包含している。
 明治中期の国内、周辺を見る上で興味深い地図群である。
 地図の表現は、地名のほか交通路や地形(地貌)で、地形は当時一般的に使われていたケバ表現だが、これはおおよその山地を表している。地図の製作には多くの時間が必要で、近年まですべて手書き(製図)であり、短期間に刊行するために数人の編集者(地図職人)を動員し、その特徴(個性)の見えるのも楽しい。
 全ての市町村名は網羅されているが、一部を除き個々の集落名までは記入されていない。また、当時の最新データを使用するべく努力したようで、例えば東京府では、三多摩は既に東京府になっているが、北部の保谷地域(西東京市の一部)は未だ埼玉県である。
 極く一部の地名に誤記があるが、止むを得まい。
 この分県地図は、新聞社が附録として地図を添付した先駆けとなった。その後の主要新聞が附録としていくのは、分県地図もあったが、東京や大阪などの大都市、東アジア地域への日本の進出を表した大陸物が多くなる。第二次大戦時の地図の統制により、全ての民間地図関係者に枠がはめられていく中で、新聞社による附録地図は、一部を除きこの時終焉をむかえている。

【収録地図の詳細】

No.  名 称     西暦 明治年月日 縮尺(分の1)
1  北海道管内全図   1903 36.04.15  1,200,000
  千島                3,600,000
2  青森県管内全図   1901 34.08.15  450,000
3  岩手県管内全図   1901 34.09.18  400,000
4  宮城県管内全図   1901 34.10.03  400,000
5  秋田県管内全図   1901 34.16.27  400,000
6  山形県管内全図   1901 34.04.25  320,000
7  福島県管内全図   1901 34.09.04  300,000
8  茨城県管内全図   1901 34.11.22  300,000
9  栃木県管内全図   1901 34.10.17  300,000
10 群馬県管内全図   1901 34.11.03  300,000
11 埼玉県管内全図   1901 34.04.03  210,000
12 千葉県管内全図   1901 34.12.03  300,000
13 東京府管内全図   1901 34.01.03  190,000 
  伊豆諸島             7,000,000
14 神奈川県管内全図  1901 34.03.13  190,000
15 新潟県管内全図   1901 34.05.10  500,000
16 富山県管内全図   1901 34.05.25  250,000
17 石川県管内全図   1901 34.16.13  400,000
18 福井県管内全図   1901 34.08.01  300,000
19 山梨県管内全図   1902 35.02.20  250,000
20 長野県管内全図   1901 34.02.21  400,000
21 岐阜県管内全図   1902 35.10.16  400,000
22 静岡県管内全図   1901 34.12.25  300,000
23 愛知県管内全図   1902 35.01.23  250,000
24 三重県管内全図   1902 35.11.20  400,000
25 滋賀県管内全図   1902 35.09.28  250,000
26 京都府管内全図   1903 36.08.07  300,000
27 大阪府管内全図   1903 36.03.25  200,000 
  大阪市全図             50,000
28 兵庫県管内全図   1903 36.10.22  450,000
29 奈良県管内全図   1903 36.09.25  250,000
30 和歌山県管内全図  1903 36.11.18  350,000
31 鳥取県管内全図   1903 36.01.21  260,000
32 島根県管内全図   1902 35.12.20  500,000
33 岡山県管内全図   1903 36.07.15  350,000
34 広島県管内全図   1903 36.12.20  350,000
35 山口県管内全図   1903 36.05.30  400,000
36 徳島県管内全図   1903 36.11.29  250,000
37 香川県管内全図   1903 36.12.27  200,000
38 愛媛県管内全図   1903 36.08.29  500,000
39 高知県管内全図   1903 36.02.25  400,000
40 福岡県管内全図   1902 35.04.26  350,000
41 佐賀県管内全図   1902 35.04.16  200,000
42 長崎県管内全図   1902 35.03.26  500,000
43 熊本県管内全図   1902 35.03.12  400,000
44 大分県管内全図   1902 35.07.08  400,000
45 宮崎県管内全図   1902 35.16.11  400,000
46 鹿児島県管内全図  1902 35.05.23  500,000 
  奄美群島              200,000
47 沖縄県管内全図   1902 35.09.10  400,000
  先島諸島              1,200,000
48 台湾総督府管内全図 1901 34.07.12  800,000
49 北清事件参考地図 1901 34.01.01  5,000,000
50 最新朝鮮地図   1902 35.01.01  2,500,000
51 露西亜全図    1903 36.11.03  12,600,000
52 旅順付近新地図  1904 37.08.15  100,000