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上海電力産業史の研究

上海電力産業史の研究

[著] 王樹槐 [訳] 金丸裕一 [訳] 山腰敏寛 [訳] 星野多佳子

定価6,380円(本体5,800円) 
ISBN 978-4-8433-3063-0 C3021
A5判上製
刊行年月 2010年10月

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本書の内容

世界で初めての本格的中国電力産業史の実証研究

◆本書の特色◆
●日本語で読むことのできる最初の本格的中国電力産業史研究。
●台北中央研究院「南港学派」碩学・王樹槐教授の論考、ついに邦訳。
●中国エネルギー産業史のはじめての通史的実証研究。
●モダン上海を支えた電力の歴史がはじめて明らかになる。


『上海電力産業史の研究』刊行にあたって    金丸裕一
 中国電力産業史研究について、なぜ従来ほとんど実証的研究が存在していなかったのか?この問題は、すなわち史料の所在状況と密接な関係を持つ。
 中国国民党が共産党との内戦に敗北する予感が走るや、故宮博物院の重要文化財や、あるいは国立中央図書館の善本類が、逸早く台湾へと疎開した経緯は、広く人口に膾炙している。しかし、かかる「文化財」のみならず、政治的「資源」もまた、同じ時期から台湾へと運び込まれた。それらの文書群の中において際立っているのが、電力関係史料である。
 現在、この分野を研究するに際しては、台北の中央研究院近代史研究所に赴いて一次史料を閲覧する作業が前提となっており、当該分野の所蔵史料は、南京の中国第二歴史档案館(公文書館)のそれを、圧倒的に凌駕している。
 王樹槐教授は、長く中央研究院近代史研究所に奉職、研究室を档案館1階に構え、郭廷以教授の系譜に位置づけられる実証研究の碩学である。
 本書は、大量の一次史料の批判的活用を前提とした、世界でもはじめての上海電力産業史に関する実証であり、特に1930年代以降に「急成長」を遂げた民族系発電所の経営が、具体的データに基づいて詳述されている。
 現在に至ってもなお、「没落から衰退、社会主義改造」という旧い図式で描かれた綿工業通史などわずかな成果が日本語で閲読可能という状況下、『上海電力産業史の研究』において指摘される様々な事実は、1990年代に本格的に展開した「1930年代中国資本主義発展論」に対しても、大いなる反省を促す内容となっている。
 中国電力産業という基幹部門について、日本文で閲読できる最初の本格的な研究という評価には、なんぴとも異論ははさめないものと思われるのである。(財団法人東洋文庫研究員・立命館大学教授)


[著者]
王樹槐 台湾中央研究院近代史研究所研究員
(※本データはこの書籍の刊行時のものです)

目次概略(予定)

著者まえがき
第1章 上海・華商電気公司の発展 1904年-1937年
第2章 上海・閘北華水電公司の電気事業 1910年-1937年
第3章 上海・閘北水電廠の民営化をめぐる抗争 1920年-1924年
第4章 浦東電気公司の発展 1919年-1937年
第5章 上海・翔華電気公司 1923年-1937年
第6章 滬西電力公司の設立をめぐる交渉 1932年-1935年    
解題
訳者あとがき