外務省東亜局東欧課作成
戦時日ソ交渉史 全2巻
揃定価55,000円(揃本体50,000円)
ISBN 978-4-8433-2083-9 C3321
A5判/上製/函入
刊行年月 2006年05月
※在庫僅少
本書の内容
●第二次世界大戦期の状況をまとめて概観できる日ソ外交の基本文献
本書は、外務省で作製された調書類に基き、「昭和16年以降昭和20年8月終戦前後に至るころまでの日ソ両国政府交渉の経緯を概観的に記述したもの」(例言より)である。
日ソ間で繰り返された満ソ国境での紛争と、その打開のための日ソ中立条約の日本側提唱、それへの条件としてソ連側提案の北樺太利権解消を中心に、両国の交渉過程が説明される。そして、あわせて独ソ開戦前後の日ソ間の駆け引きも述べられる。
次に「大東亜戦争」前半期、両国とも主戦線保持の必要から中立条約に基づく均衡が成立する。しかし、くすぶる満ソ国境画定問題と同盟国からみて敵国に当る相手への、両国間に潜在する敵対意識が緊張をも生む複雑なバランスについて叙述される。
その後、戦局がソ連に有利、日本に不利に推移するなかで、これが両国交渉にも反映する。日本側の特使派遣のソ連側拒否、懸案の北樺太利権問題が北洋漁業問題とも連動して、結局のところ日本側の全面譲歩の形での決着を見た経過が綴られ、その後も拡大する両国の緊張関係が、日本側のソ連への希望的観測、それに対するソ連側の中立条約廃棄と着々と進められる対日参戦準備が描かれ、8月9日払暁のソ連軍の攻撃によってひとつの結末を迎えた戦時日ソ交渉史の全体が概観される。
【本書の特色】
◆『自大正十四年至昭和十五年 日ソ交渉史』(昭和17年、外務省欧亜局)につづく日ソ関係史の基本文献(原本は昭和41年3月、外務省欧亜局東欧課作成。)
◆第2次世界大戦期の日本の対ソ外交を概観することができる。
◆長く非公開であったが、近年公開された文献である。
戦時日ソ交渉史 上巻
定価27,500円
(本体25,000円)
ISBN978-4-8433-2084-6 C3321
※在庫僅少
例言/目次
総 論
◆第1章◆
独ソ開戦前後に於ける日ソ関係
(昭和16年1月~12月)
第 1 節 日ソ中立条約締結交渉問題
第 2 節 独ソ開戦に伴う中立条約
第 3 節 満ソ・満蒙間国境画定問題
第 4 節 日満ソ蒙間国境紛争事件
第 5 節 日満ソ間抑留人員及び物件返還交渉
第 6 節 日ソ通商貿易協定交渉問題
第 7 節 シベリア経由欧亜貨物輸送問題
第 8 節 極東水域における航空危険区域及び浮遊機雷に関す
る日ソ間交渉経緯および気比丸事件
第 9 節 ソ連船舶向けルーブル資金送付問題
第 10 節 ソ連船舶乗組員抑留問題
第 11 節 査証及び公館待遇
◆第2章◆
大東亜戦争勃発以降における日ソ関係
(昭和16年12月~18年9月)
第 1 節 大東亜戦争に関連する日ソ中立問題
第 2 節 防御海面の設定、航路指定および宗谷、
津軽海峡航行問題
第 3 節 満ソ・満蒙間国境確定問題
第 4 節 日満ソ蒙間国境紛争事件
第 5 節 日満ソ間抑留人員および物件返還交渉
第 6 節 シベリア経由亜欧連絡問題
第 7 節 日ソ関係雑件
第 8 節 査証および公館待遇
◆第3章◆
北樺太利権問題
第 1 節 独ソ開戦前後における北樺太利権の概況
第 2 節 北樺太石油会社・北樺太鉱業会社共通問題
第 3 節 北樺太石油会社関係問題
第 4 節 北樺太鉱業会社関係問題
第 5 節 坂井組合関係問題
第 6 節 北樺太利権解消問題
戦時日ソ交渉史 下巻
定価27,500円
(本体25,000円)
ISBN978-4-8433-2085-3 C3321
※在庫僅少
◆第4章◆
北洋漁業問題
第 1 節 漁業条約改訂交渉ならびに第7次および
第8次暫定取極の経緯
第 2 節 漁区経営概観
第 3 節 漁業経営上および条約の解釈上生じた諸事件
◆第5章◆
特使派遣交渉以後の日ソ関係
(昭和18年9月~20年4月)
第 1 節 第1次特派使節派遣交渉
第 2 節 重要物資供給問題
第 3 節 中国問題と中立条約
第 4 節 ソ連領立入本邦船の武器搭載問題と
中立条約(付、神明丸撃沈事件)
第 5 節 第2次特派使節派遣交渉
第 6 節 国境画定問題(付、通商問題)
第 7 節 第3次特派使節派遣交渉
第 8 節 第27回十月革命記念祝典におけるスターリン演説
第 9 節 中立条約廃棄通告
◆第6章◆
戦争終結前後における日ソ交渉
第 1 節 広田、マリク会談
第 2 節 宋子文の訪ソと佐藤大使の申入れ
第 3 節 近衛公派遣申入れ
第 4 節 ソ連の宣戦通告
第 5 節 ソ連の参戦
付 表
1)北樺太東海岸石油試掘図
2)昭和18年(1943年)度租借漁区表
3)日ソ間重要会談日付順一覧表(中立条約成立後終戦まで)
4)日ソ両国に駐在の両国公館
解 題 竹内 桂